090314maru012.JPG前回の続きとして、今回は「Cup Car」のオプションパーツについてまとめてみます。







090314maru013.JPG最初のオプションパーツが販売されたのはⅤでのGTI cupが二年目となる06年でした。ということは、初年度の05年はブレーキパッドとタイヤ以外のサーキット走行に関する部分はまったくのノーマルだったということです。ほぼノーマルの状態で「N0(エヌゼロ)クラス」とはいえ、JAF公認レースができてしまう、しかも開催されるのは富士スピードウェイやツインリンクモテギ、岡山国際、SUGOなどの国際規格のハイスピードコースで。素の状態でのレースでも、ドライバーにとって退屈なものはまったくなく、クルマの動きにも「世界基準のファミリーカー」としてのイメージから受けるようなかったるさも無く、十分シリアスなレースができていました。それは、僕らドライバーにとっても新鮮な驚きでした。やはりゴルフのポテンシャルは並大抵のものではないのでしょう。

で、さらにそのポテンシャルを引き上げ、ドライバーのセッティング能力も引き上げるために06年に初めて設定されたのが以下のオプションパーツ。
- 車高調正式サスペンションキット (前後15段調整)Volkswagen Racing)
- 前後スタビライザー(前2段・後3段調整)(Volkswagen Racing)
- エキゾーストシステム (Volkswagen Racing) 
では、その特徴と自分のセッティング経緯をお話していきましょう。

【車高調正式サスペンションキット (前後15段調整) (Wolkswagen Racing)】
これは「ザックスレーシング」が製造しているものでオーバーホールも可能なもの。レース用に開発されたもので構造もポテンシャルもタフな設計ではあるけれども、15段の減衰力を12段程度に緩めれば十分に街乗りにも耐えられるどころか、苦痛はなくクルマにはウトくても乗り心地にはわりとウルさいうちの奥さんでも、言われなければ気がつかないほどでした(笑)
実はこのサスペンションキットに交換した2シーズン目、当たり前のようにタイムアップしたか?というとそんなことはありませんでした。ほとんどのドライバーが前年とあまり変わらないタイムで一様にショックを受けましたそれだけノーマルサスのバランスも高かったということもあります。でもやはり、Ⅴでのデータが無い中でのセッティングはみんなが難しかったのでしょう。僕はゴルフⅡでやっていたように、当たり前のようにフロントを一番堅くして走っていました。たぶん他のドライバーもそうだったと思います。調整したとしてもせいぜい3段緩めるかどうか・・・程度。
これがどうも間違っていると気付いたのは第四戦目のSUGOでした。

090314maru014.JPG僕が面倒を見てもらっている兵庫の「VENTILER (ベンチュラー)」チームの代表であり、07年度、08年度のシリーズチャンピオンであり、いろんな意味で(笑)僕が尊敬している浜崎選手もこの時までは同じようなセッティングをしていて、やはりタイムが伸びずに(といっても結果は出していた)苦労していました。その浜崎選手がSUGOで、試しに思いっきり緩る緩るにして走ってみたのがきっかけで、セッティングの方向性をまったく変えていくことになったのです。サーキットでタイムを刻むのに、減衰が緩いことはデメリットばかりではなく少なくともⅤの場合は有効になることもかなりあります。もちろん「最緩る」ではさすがに厳しいですがね(笑)

これをきっかけに最終戦の筑波では、事前に浜崎選手のアドバイスのもと僕が様々なセッティングを試し、ほぼベストともいえるセッティングを見つけることができました。これは二人のドライビングスタイルが近かったからこそできたことでした。このセッティングのおかげで07年度最終戦の筑波では、浜崎選手がエキスパートクラス、僕がクラブマンクラスでダブル優勝できたのだと思います。

前置きが長くなりましたが、このサスペンションキットの場合、一番締めたところから8段戻し辺りを中心に調整していくのが良いようです。単純に真ん中にしたわけではなく、筑波の1ヘアピンのような回り込むコーナーでは緩い方がグッと回頭性が上がりブレーキングのトラクションもかかるけれども、それでは最終コーナーやダンロップではつらい。何度も調整していった結果がこの「8段目」。とは言っても、人それぞれのドライビングスタイルもあるし富士スピードウェイのようなハイスピードなコースではまた違ってくるので、あくまでも「参考」程度にお考えください。ただ「緩い」ことは悪い事ばかりではないことだけはぜひ覚えていてほしいと思います。

ちなみにリアについては一番堅くしています。Ⅴの場合は特にリアサスペンションの構造上、今までのゴルフよりもさらに安定志向(一般公道では大切なこと)になっているために、サーキットでタイムを削るためにはリアが必要以上に粘られるのはデメリットになるケースが多いためだからです。空気圧もフロントは標準的な「2.3キロ」に比べ、リアは「3.5キロ」前後にしています。(いずれも温感で)リアの空気圧は尋常ではないけれども、「New Beetleカップ」や「Lupoカップ」でも基本的にはたいていのドライバーが当たり前のようにしてきた空気圧セッティングです。でもこれは苦肉の策なので、一般道はもちろん(路面の摩擦係数がサーキットと一般道では全然違う)たとえサーキットだったとしてもマネはしないでください。タイヤの負担とコースアウトするリスクが高すぎるので。
(続く)


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