昨年11月に納車されたID.4、オドメーターがほぼ5,000kmになりました。そこで、ID.4の気に入っているところと、いまひとつなところを○と×で挙げていきます。
○ 運転がしやすい
モーターやブレーキの反応をやや穏やかにしたことで、エンジン車から乗り換えても違和感なくドライブができます。EVらしさを前面に出していないので物足りなく思う人もいるでしょうが、長くつきあうにはこれくらいがちょうどいいかも!?
○ 乗り心地が良い
SUVスタイルで、タイヤも20インチを装着していますが、エンジン車に比べて重量が重いぶん乗り心地はマイルドで落ち着いています。私のID.4にはEV用の「Pirelli Scorpion ELECT」が装着されていますが、ID.4とのマッチングは良く、静粛性もまずまずです。
○ 安定感のある走り
背の高いSUVでは走行時に前後方向の動き(ピッチング)や横方向の動き(ロール)が気になりますが、床下に重量物のバッテリーを積むID.4では重心が低いため、動きが安定しています。
○ 余裕ある加速
アクセルペダルを浅めに踏んだときの加速は穏やかとはいえ、発進から余裕ある加速があり、アクセルを踏み込めばまわりを簡単にリードできる加速性能を備えています。しかもアクセルペダルの動きに素早く反応してくれるので、加速時にストレスを感じることはありません。
○ シフトレバーの操作性が良い
フォルクスワーゲンが「ドライブモードセレクター」と呼ぶシフトレバーは、「ドライバーインフォメーションディスプレイ」というメーターパネルの右上に直付けされています。手が届きやすく、視界にも入るのでとても扱いやすく、他のモデルにも展開してほしいと思うほど気に入っています。メーターパネルの斜め上にあるので、ワイパーレバーやウインカーレバーと間違えることがないのもうれしいですね!
○ ハンドリングが軽快
前:1,010kg、後:1,130kgという重量配分と、後輪駆動のおかげで、ID.4のハンドリングはとても自然で軽快感があります。SUVスタイルのボディですが、コーナーを駆け抜けるのが楽しい一台に仕上がっています。
○ ACCがスムーズ
高速道路の渋滞では絶大な威力を発揮するACC(アダプティブクルーズコントロール)。先行車が停止するとそれにあわせて停車し、条件により自動または手動で再発進が可能です。ID.4の場合、停止から約1分以内なら自動で再発進します。その動きもとても滑らか。エンジン車のようにエンジンの停止、再始動がなく、そのたびにショックが伝わることがないのもスムーズさに一役かっています。停車中もエアコンが効くのもうれしいところです。
○ クリープがある
車庫入れなどでは、アクセルペダルに足を載せていなくてもゆるゆる走る“クリープ”があると便利です。EVのなかにはこれがないものもありますが、ID.4ではクリープがあるのでスムーズに車庫入れができます。
○ センターディスプレイが大きく見やすい
ID.4 Proには12インチのセンターディスプレイが装着されています。Golf8の10インチよりひとまわり大きいぶん、CarPlayを使ってナビゲーションアプリを表示したときも大きくて見やすいのが助かります。
○ ブレーキダストが少なく、ホイールの手入れが楽
Golf8に乗っていたときに悩まされたのがブレーキダストの多さ。それがID.4ではほとんど気になりません。走行中のほとんどの場面で、減速には油圧ブレーキのかわりに回生ブレーキを使うからです。洗車がとても楽になりました!
○ Bレンジならアクセルペダルだけで速度調整がほぼ可能
前進時にBレンジを選択すると、アクセルペダルを離したときに回生ブレーキが強力に効きます。これを使うと、アクセルペダルだけである程度の速度調整が可能です。ID.4では、アクセルペダルから足を離してもクルマが完全停止にはいたりませんし、交差点やカーブによっては通過する場合にはブレーキペダルを踏む必要があります。しかし、多くのシチュエーションではアクセルペダルの操作だけで走行できるのでラクですし、慣れると速度の微調整も簡単です。
○ コスパが良い
ほぼ同じ性能の「Audi Q4 40 e-tron advanced」と比べて約50万円安いうえに、メモリー機能付きパワーシート(しかもマッサージ機能付き!)やパノラマガラスルーフ、フォルクスワーゲンサウンドシステムなど標準装備が充実。ダッシュボード上やドアパネル、シートサイドにブラウンの人工皮革を施したことで見た目も上質で、満足感がとても高い仕上がりです。
× パワーウインドーのスイッチが使いにくい
一番の不満が運転席側のパワーウインドースイッチ。省スペースなのか、コスト削減なのかはわかりませんが、スイッチが2つしかなく、リヤドアのウインドーを操作するにはいちいち“REAR”の部分をタッチする必要があります。ドアミラーのスイッチを操作するときに誤って“REAR”を触ってしまうこともよくあります。ドアミラーのスイッチも乗るたびにポジションがリセットされてしまうので、後退時に助手席のミラーを下げるには、いちいちドアミラーのスイッチを“L”にあわせ直さなければいけない煩わしさ。これまでどおりのスイッチで良かったのに……。
× パワーメーターが小さい
シンプルで見やすいドライバーインフォメーションディスプレイですが、加減速を示すパワーメーターが小さくて見にくいのと、走行データが固定され、ほしいデータが見られないことが不満です。
× シートヒーターやステアリングヒーターの操作をするのに、設定画面を開く必要がある
センタークラスター部分のスイッチを極力排したデザインのID.4では、シートヒーターを調整するには、センターディスプレイで設定画面を呼び出す必要があります。ステアリングヒーターの操作も、ステアリングホイール上のスイッチではできません。操作が増えて煩わしいですが、タッチパネルの反応が良く、Golf8のときのようにイライラしないのが救いです。
× FFのGolfに比べるとやや直進性が劣る
Golfの美点として、高速走行時の直進性が極めて高いことが挙げられます。そこから乗り換えると、ID.4はGolfほど直進安定性が高くありません(といっても十分なレベルですけどね)。そのせいか、レーンキープアシストシステム“Lane Assist”を作動させると、ステアリングへの介入が多く、ちょっと不快です。個人的にはLane Assistはほとんど使わないため、あまり影響はないのですが……。
ということで、ほとんど不満はなく、いまのところはID.4の性能にほぼ満足しています。思い切って購入して正解でした!
(Text by Satoshi Ubukata)