100111vas001.jpg今年、日本のフォルクスワーゲンは、未だ低迷が予想される輸入車市場にあって、大いに健闘する気配が濃厚だ。フルモデルチェンジして登場というモデルはないにしても、魅力的なラインナップが構築されること確実だからだ。ある意味、2010年は"本命の年"といえるのではないだろうか。


100111vas009.jpg■"R"モデルの2台がデビュー!

2010年最初に発売開始予定とされるのが、昨年5月に発表され、話題を呼んだシロッコRだ。一昨年、昨年と続けてニュルブルクリンク24時間に参戦、いずれもクラス優勝を果たしたシロッコGT24のストリートバージョンともいえるこのモデルは、2リッターの直4ターボ(ゴルフGTIピレリ、アウディS3にも採用されたEA113系)、最高出力265ps、最大トルク35.7㎏-mというエンジンを搭載、0~100㎞/h6.5秒、最高速250㎞/h(リミッター作動)という性能を誇る。

100111vas007.jpg注目したいのは駆動方式がFFであること。6速MT、あるいは6速DSGを介して、その強烈なパワー&トルクが前2輪に伝えられるわけで、もちろんESPと一体となったEDS、その拡張機能であるXDS(電子制御式ディファレンシャルロック)など、最新のシャシーコントロールシステムが装備されるものの、どういう走り、ハンドリングを見せるのか興味深い。アグレッシブな外観もあって、FFスポーツファンには、堪えられない1台になることは間違いない。

100111vas010.jpg春先にも導入予定とされるのが、このシロッコRと同じエンジン(ただし、最高出力は270ps)を搭載するゴルフR。ご存知のように、昨年のフランクフルトショーでワールドプレミアとなったモデルで、R32の後継。「R」を冠するゴルフは伝統的に"史上最強のゴルフ"であって、公表パフォーマンスも、0~100㎞/h加速が5.7秒(DSG仕様5.5秒)、0~1000m加速が25.4秒、最高速250㎞/h(リミッター作動)と、いずれもR32を上回る。ダウンサイジングコンセプトを実行しながら、性能を向上させ、当然のごとく、燃費、排ガスとも良化させているのがスゴイところ。

100111vas002.jpgコチラの駆動方式は、もちろん最新のハルデックスカップリングを使う4WD。駆動トルクをほぼ100%後輪に振り分けることも可能という4モーションは、もはやスタンバイ4WDではなく、完璧なフルタイム4WDであって、これによってアクティブセーフティだけでなく、車両ダイナミクスも大きく向上しているという。

100111vas012.jpg■今後の主力エンジンを搭載するゴルフとポロ

発売時期はもうひとつ明らかになっていないものの、今年確実に導入されるだろうモデルは、今後、フォルクスワーゲンの主力エンジンになるとされる1.2TSIを搭載するゴルフ・トレンドラインとポロ・ハイラインだ。

100111vas008.jpg燃焼効率アップを目指したスワール効果の実現、また生産コストも重視してSOHCの1気筒当たり2バルブとされたこのオールアルミ製直4エンジンは、最高出力が105ps/5000rpm、最大トルクが17.9㎏-m/1550~4100rpm(いずれもドイツ本国仕様)というスペック。7速DSGとの組み合わせで、ゴルフ、ポロともに最高速は190㎞/hに達し、0~100㎞/h加速は、ゴルフが10.6秒、ポロが9.7秒となっている。燃費のよさ、排ガスのクリーンさはいうまでもなく、早期の導入が実現すれば、優遇税制対象車に なる可能性も高い。

ご存知のように、ベーシックなゴルフは、いつの時代も安全かつ経済的な輸入車を求める合理主義者に強い支持を得てきた。ゴルフ6になってトレンドラインがラインナップから消えていただけに、その復活を待ち望んでいる人は多いはず。また、ポロ1.2TSIに関しては、すでに海外試乗リポートでそのきわめて高い実力が伝えられているだけに、関心を寄せている人が少なくない。いまかいまかと、発表を待ちわびている人が多いと聞く。

100111vas011.jpgこうしてフォルクスワーゲンの今年の導入予定モデルを並べていくと、気がつくのは、いずれもが、それぞれのカテゴリーの、いわば究極を求める人たちにとっては、待ちに待った"本命"というポジションにあるようなクルマばかりということ。それはシッカリとマーケットニーズをつかんだクルマばかりともいえて、今年もフォルクスワーゲンは輸入車市場ナンバーワンの地位キープが確実といえそうだ。

(Text by M.OGURA)

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