2026年9月12日、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(以下、PEC東京)にて、「PEC東京 5周年イベント『Sportscar Together Day 2026』」が開催された。

「Sportscar Together Day 2026」は、2026年9月12日から13日にかけて欧米ならびにアジアの各PECに世界各地のポルシェコミュニティが集い、ドライビングプレジャーを祝福するイベントだ。
このイベントは、国ごとに趣向が凝らされている点が特徴といえる。日本では、PEC東京が開業5周年を迎えることから「PEC東京 5周年記念イベント『Sportscar Together Day』」と銘打たれた。
PEC東京 5周年イベント「Sportscar Together Day 2026」当日は雨

予約開始からわずか数時間で枠が埋まったという「PEC東京 5周年イベント『Sportscar Together Day 2026』」。当日はあいにくの雨模様となったが、1102名が来場した(来場車両は567台)。

クラシックポルシェを眺めながらPORSCHE DESIGNの腕時計が試着できるのもPEC東京ならでは。

スマートウォッチユーザーも、PORSCHE DESIGNの腕時計が気になるようで、熱心に説明を聞き入っていた。

BOSEのサウンド体験は常に行列が。

本格的なドライビングシミュレーターも大人気であった。

来場者の皆さんも真剣な表情でドライビングシミュレーターを楽しんでいた。

タミヤのRCモデル体験走行会には、当然ながらポルシェが用意されていた。

タミヤのRCモデル体験走行会は親子に大人気。

イベント当日は少し肌寒い時間帯もあり、la marzoccoのブースでコーヒーを楽しむ来場者の姿も見られた。

PEC東京のピットでワークショップが開催された。実車を用いたプロの解説に聞き入る来場者の皆さん。
イベント当日は、屋根がある場所でのステージイベント、TAMIYA RC体験、ドライビングシミュレーター、BOSEサウンド体験、「la marzocco」のエスプレッソマシンの体験コーナー……などなど。雨を気にすることなく楽しめるコンテンツが盛りだくさんであった。




屋外では、PEC東京のコースを使い、ポルシェを運転(あるいは同乗)できる「体験コンテンツ」が行われた(普段は有料であるにもかかわらず、今回は無料!)。どのプログラムが当たるかは抽選で決められ、希望のプログラムが当たった来場者からは大きな歓声があがっていた。
PEC東京のコースであれば、公道ではほぼ不可能なポルシェの挙動を安全に体験できる。ポルシェオーナーはもちろんのこと、一般の来場者にとって相当に刺激的な体験となったはずだ。
メディアラウンドテーブルを開催

イベントの合間に、911および718の商品開発責任者を務めるフランク・モーザー氏(Vice President, Porsche AG)、ポルシェジャパン代表取締役社長 イモー・ブッシュマン氏によるメディア向けラウンドテーブルが開催された。
モーザー氏の来日は3年前の「Sportscar Together Day」以来、2回目となる。

911および718の商品開発責任者を務めるフランク・モーザー氏。
先述したとおり、「Sportscar Together Day 2026」は、2026年9月12日〜9月13日にかけて世界各地のPECで開催された。スポーツモデルの開発責任者であるモーザー氏が来日したのは、日本市場を重視しているからに他ならない。
各メディアからの質問は、ポルシェのスポーツモデルに関することが中心となった。
乗用車における新型車両の型式認証において、2026年11月29日から適用される(販売適用は2027年11月29日から)排ガス規制「EURO 7」を踏まえ、GT3系のモデルがいつまでNAエンジンとして販売されるのか、といった質問が寄せられた。モーザー氏によると、排ガス規制に加えて騒音規制も厳しくなっており、両方を同時にクリアすることが難しい状況にあるという。

ポルシェジャパン代表取締役社長 イモー・ブッシュマン氏。
また、次期718 BoxsterおよびCaymanの今後についても質問が寄せられた。同モデルは、初の電動2ドアスポーツカーとして開発を進めており、軽量化や走行性能、ポルシェらしいデザインに強くこだわっているという。モーザー氏によると、電動化しても2ドアスポーツカーらしさは失われず、真の718になるとの見解が示された。
モーザー氏によると、CarreraからCarrera GTS、GT3、Turbo Sなど、さまざまなバリエーションが展開されている現行型の911において、特に勧めたいモデルは「Carrera GTS」だという。ピュアな911を楽しみたいユーザーには、6速MTのみの設定となる「911 Carrera T」を選んで欲しいと語ってくれた。
余談だが、1996年に入社したモーザー氏にとって、初のカンパニーカーとして貸与された993型の911 Carrera(6MT)には特別な想い入れがあるという。
多彩なステージプログラム

ステージMCを担当したタレントのユージさんと、バイリンガルMC・ナレーターとして活躍する英美里さん。
「PEC東京 5周年イベント『Sportscar Together Day 2026』」のステージプログラムでは、ご自身も911 GT3(992.2)オーナーでもあるタレントのユージさん、バイリンガルMC・ナレーターとして活躍する英美里さんがステージMCを担当した。
10時のオープニングから16時まで、ステージでは下記プログラムが行われ、多くの来場者が聴き入っていた。

●オープニング
ポルシェジャパン代表取締役社長 イモー・ブッシュマン氏、木更津市の渡辺芳邦市長による挨拶が行われ、イベントがスタート。

ポルシェジャパン代表取締役社長 イモー・ブッシュマン氏。

木更津市の渡辺芳邦市長。
●Porsche 912 Art Car
Sean Wotherspoon(ショーン・ウォザースプーン)氏がデザインを手がけた完全新作となる912 Art Carのアンベールおよびトークショーが行われ、美しい仕上がりに会場からはため息が出るほどであった。

Sean Wotherspoon(ショーン・ウォザースプーン)氏がデザインを手がけた912 Art Car。

トークショーでは、実車を前にショーン・ウォザースプーン氏による作品の解説も行われた。

助手席のシートバックにサインするショーン・ウォザースプーン氏。
●新型Cayenne Electric
ポルシェジャパンのプロダクトチームが、新型「Cayenne Electric」の魅力や特徴を紹介した。この日初めてCayenne Electricの実車を見た来場者も多く、購入を検討しているユーザーにとってまたとない機会となった。

●911 GT3 Artisan Edition
日本限定モデル「911 GT3 Artisan Edition」をテーマに、山下周一氏によるデザイントークおよびスケッチセッションも盛り上がった。トークショー終了後、山下氏の書き下ろした(しかもサイン入り)デザインスケッチをめぐりジャンケン大会が繰り広げられた。見事に勝ち残ったのは小さな女の子だった。

日本限定モデル「911 GT3 Artisan Edition」が間近で見られるのもPEC東京ならでは。

ポルシェAGのデザイナー、山下周一氏。

山下周一氏による「911 GT3 Artisan Edition」のスケッチセッション。

トークショーの際に山下氏が描きあげたスケッチは、ジャンケン大会の結果、小さな女の子が獲得した。
●Transsyberia Rally(トランスシベリア・ラリー) ― Cayenneの歴史
トランスシベリア・ラリーに参戦したフォトグラファー、小川義文氏を迎え、当時のエピソードとともにCayenneの歴史を振り返った。小川氏が撮影したフォトパネルとステージ脇にはCayenne(Transsyberia仕様)の実車が展示され、臨場感あふれるトークショーとなった。

トランスシベリア・ラリーに参戦したフォトグラファー、小川義文氏を迎えてのトークセッション。

ステージの脇にはCayenne(Transsyberia仕様)の実車が展示された。
●Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)
ポルシェの特別なカスタマイゼーションプログラム「Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)」をテーマにしたトークが繰り広げられた。ステージ脇にはGulf Blueのボディカラーにペイントされた911 GT3 RSと、718 Boxter Spyder RSが展示された。いずれも1人のオーナーがオーダーした個体であるという。

ポルシェの特別なカスタマイゼーションプログラム「Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)」をテーマにしたトークセッションは、多くのポルシェオーナーが注目していた。

ステージ脇にはGulf Blueのボディカラーにペイントされた911 GT3 RSが展示された。「Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)」に基づいて生産された個体だという。

こちらの718 Boxter Spyder RSも「Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)」に基づいて生産された個体。911 GT3 RSと同じオーナーが所有する個体とのことだ。
●Felipe Nasr氏トークショー
ポルシェ・ワークスドライバーとして活躍するブラジルのレーシングドライバーFelipe Nasr氏によるトークセッションが行われた。ポルシェオーナーでもあるユージさんによるマニアックな突っ込み、そしてモータースポーツにも精通した英美里さんによる通訳で会場を盛り上げていた。

ポルシェ・ワークスドライバーとして活躍するブラジルのレーシングドライバーFelipe Nasr氏によるトークセッション。
●The Sports Car
ステージプログラムのラストを飾った「The Sports Car」では、メディアラウンドテーブルで取材を行ったフランク・モーザー氏が登壇。911 GT3オーナーでもある松任谷正隆氏によるスペシャルトークショーも大いに盛り上がった。

ともに911 GT3(992.2、しかも6MT)オーナーである松任谷正隆氏とユージさん。
ともに911 GT3(992.2)オーナーである松任谷正隆氏とユージさんから、モーザー氏に対して鋭い質問が相次いだ。モーザー氏からは「現在のGT3が最後のMT車ではない」という衝撃の発言が。これには会場からもどよめきと拍手が湧き起こった。少なくとも、911に関しては何らかのかたちでMT車が存続する可能性が高そうだ。

実は旧知の間柄だという、松任谷正隆氏とユージさん。
貴重な展示車両がイベントに華を添える

歴代の「RS」が並ぶ光景は壮観だ。
PEC東京にはさまざまなポルシェが展示されているが、「Sportscar Together Day 2026」にあわせて貴重なモデルが一堂に会したことにも触れておきたい。

918 Spyderが展示されたほか、奥のCaymanはなんと運転席に座れることができた。

日本では「ナローポルシェ」と呼ばれる初期型の911も展示された。

3月に開催された「Luft Tokyo」にも展示さえrtaタキレーシングのCarrera 10、第1回日本GPにエントリーした356A。

会場には貴重な959が展示され、注目を集めていた。
959をはじめ、918 Spyder、タキレーシングのCarrera 10、第1回日本GPにエントリーした356A、Carrera RS2.7をはじめ、964RS、993RS、996 GT3 RS、997 GT3 RS 4.0、991 GT3 RS……と、貴重な歴代の「RS」が並ぶ光景は壮観だ。

911 Carerra RS 2.7

911 Carerra RS(964)

911 Carerra RS(993)

911 GT3 RS(996)

911 GT3 RS 4.0(997)

911 GT3 RS(992)

歴代のRSをリヤから眺めてみる。空冷モデルと水冷モデルのボディサイズの違いにも注目。
いずれも個人所有のクルマであり、関係者がオーナーに声をかけて集めたものだ。これほど貴重なスペシャルモデルが日本に棲息していることに改めて驚かされる。と同時に、「PEC東京 5周年イベント『Sportscar Together Day 2026』」にかける関係者の本気度を垣間見たように思う。
いずれもオリジナル度が高く、コンディションも極めて良好と思われる個体ばかり。日ごろからオーナーとのネットワーク、そして信頼関係が成立していなければこれほどのスペシャルモデルを集めることはできなかったはずだ。
まとめ:PEC東京はポルシェオーナーのためだけの施設ではないことを再認識

今回のイベントでは、ポルシェオーナーはもちろんのこと、多くの一般の来場者も会場に足を運んだ。
PEC東京はポルシェオーナーのためだけの施設ではない。貸し切りイベントを除く通常時は誰もが足を運ぶことができる。「日本で一番、ポルシェを感じられる場所」でありながら、レストランやカフェを利用するためだけに訪れてもいいのだ。

レストラン906の入口。

レストラン906は開放的な空間で、ゆったりとくつろげる。

イベント当日のメニュー。

ランチはビュッフェ形式でふるまわれた。

メインディッシュには「木更津ビーフヒレ肉 マスタードワインソース添え」をチョイス。美味しくいただきました。

PECが点在する国の料理が用意され、アレルギー情報もピクトグラムで表示するなど、細部にいたるまで気配りが。
また、PEC東京が施設を構える千葉県木更津市との積極的な関わりにも注目したい。

同市のふるさと納税として、同施設でのドライビング体験を納税の品として購入することも可能だ。親子で参加できるプログラムや、1日PEC東京を貸し切ることが可能なものまで多彩だ。価格帯も17,000円〜17,000,000円までと幅広い。
木更津市の渡辺芳邦市長によると、同市のふるさと納税における売上げの1/3がPEC東京に関する商品だという。さらに、レストラン906のメニューには木更津市で採れた食材が使われており、「地域に根ざした施設」であることが分かる。

現代の「ポルシェ」には、クルマを所有するだけでなく、さまざまなアプローチで同ブランドに触れる機会が用意されている。誰もが知る高級ブランドでありながら、意外なところで身近な存在となりうる。PEC東京がまさにその役割を担っているといえるだろう。

今回、印象的だったことがある。小さなお子さんを連れて参加している来場者が多かったのだ(筆者も、取材のあいまに何度も親子のツーショット撮影を行ったほどだ)。小さなお子さんが楽しめるプログラムや、安全に配慮されたレイアウトがなされており、家族で来場しても充分に楽しめたはずだ。

近い将来、両親に連れられてPEC東京を訪れた子どもたちがやがてポルシェオーナーとなり、「Sportscar Together Day」に参加する光景が見られるかもしれない。

今回の「PEC東京 5周年イベント『Sportscar Together Day 2026』が、次の世代を担うポルシェファンを増やしたことは間違いなさそうだ。
(Text Toru Matsumura & Photos by Porsche Japan / Toru Matsumura)


