2026年1月19日、ドイツ政府は電気自動車(EV)の購入を対象とした新たな補助金制度を公表した。発表を行ったのはドイツ連邦環境省で、制度規模は総額30億ユーロに達する。2023年末でEV購入補助が終了して以降、需要が大きく後退していた同国市場を再活性化させる狙いがある。
本制度は2026年1月1日以降に新規登録される車両を対象とし、EV普及の再加速と低迷する自動車産業の下支えを同時に図る政策として位置づけられている。

補助金終了後に失速したドイツEV市場
ドイツでは、長年EV普及を支えてきた「環境ボーナス(Umweltbonus)」が2023年末で終了した。その結果、2024年以降はEVの新車登録台数が急減し、欧州最大の自動車市場であるドイツにおいても電動化の流れが鈍化した。
政府はこの状況を、気候目標の達成だけでなく、国内自動車産業の競争力や雇用にも影響を及ぼしかねない問題と捉え、補助制度の再設計に踏み切った。
新制度の骨子:生産地不問、全メーカー対象
今回の補助金制度の大きな特徴は、車両の生産国やブランドに基づく制限を設けない点にある。欧州メーカーに加え、中国ブランドを含むすべてのメーカーのEVが、要件を満たせば補助対象となる。
ドイツ連邦環境省は、市場の公正性とEU域内の競争原則を重視した結果であると説明しており、特定の国やメーカーを排除する仕組みは採らない。一方で、国内メーカーが国際競争の中で競争力を高めることも重要な政策目標として掲げている。
所得・家族構成を反映した「社会的段階制」
新制度では、購入者の所得水準や家族構成に応じて補助額が変動する「社会的段階制(soziale Staffelung)」が導入される。EVを一部の高所得層に限定せず、より幅広い層に普及させることを狙った仕組みだ。
補助対象となる世帯の課税所得上限は原則80,000ユーロ以下とされ、子どもがいる世帯では上限が引き上げられる。所得判定は過去2年分の課税所得の平均値を基準とする方式が採用される。
補助金額の具体像
制度の中核となる補助額は以下のように設定されている。
バッテリー電気自動車(BEV)
- 基礎補助額:3,000ユーロ
- 所得ボーナス
- 課税所得60,000ユーロ以下:+1,000ユーロ
- 課税所得45,000ユーロ以下:+2,000ユーロ
- 家族ボーナス:子ども1人につき+500ユーロ(最大1,000ユーロ)
これらを合算した最大補助額は6,000ユーロとなる。例えば、課税所得45,000ユーロ以下で子どもが2人いる世帯がBEVを購入した場合、基礎3,000ユーロに所得ボーナス2,000ユーロ、家族ボーナス1,000ユーロが加算され、満額の6,000ユーロが支給される。
プラグインハイブリッド(PHEV)/レンジエクステンダー車(EREV)
PHEVおよびEREVについても条件付きで補助対象とされる。
- 基礎補助額:1,500ユーロ
- 所得・家族ボーナスはBEVと同様に加算
最大で4,500ユーロまで補助されるが、一定の電気走行距離やCO₂排出量基準を満たすことが条件となる。
気候政策と産業政策の両立を狙う設計
環境省が同時に公開したFAQでは、本制度が輸送部門におけるCO₂排出削減の遅れへの対応策であると説明されている。EV補助金は恒久的な制度ではなく、市場形成を後押しする「移行期の政策手段」と位置づけられており、将来的には車両価格の低下や充電インフラ整備によって補助に依存しない市場の確立を目指す。
一方で、PHEVを補助対象に含めた点については、環境団体から慎重論も出ており、実効性を巡る議論は今後も続くとみられる。
欧州最大市場の政策がもたらす影響
ドイツは欧州最大の新車市場であり、その政策動向は域内全体のEV市場に波及する。原産地不問で最大6,000ユーロという今回の補助制度は、EV需要の回復だけでなく、メーカー各社の製品戦略や価格設定にも影響を与える可能性が高い。
2026年に始動する新制度が、ドイツ市場、ひいては欧州EV市場の流れをどこまで立て直すのかが注目される。
(Text by 8speed.net Editorial Team)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。


