140916-W12-2.jpgよく耳にする話として、高級車を買う人は「一番高いの持ってこい!」というらしい......。 Audiの場合、Audi R8を除くと一番高いのがAudi A8シリーズのこのモデル、「A8 L W12 quattro」です。普通は、AモデルよりもSモデルのほうが高額になるんですが、A8シリーズに限っては、S8が1706万円であるのに対し、A8 L W12 quattroは2145万円と、段違いの高さを誇っています。

いったいどんなクルマなんだ......。たまたま試乗車があるというので、恐る恐る借りてみることにしました(笑)

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名前からわかるのは、このクルマがW12エンジンを積んだロングホイールベース仕様ということ。標準ホイールベースの2990mmよりも130mm長いロングは3120mmに達します。おかげで後席はこんなに広く、楽に足が組めてしまいます。ちなみに、バング&オルフセン アドバンストサウンドシステムは標準装着......素敵!

ボディサイズは全長5275×全幅1950×全高1465mmに。マトリクスLEDヘッドライトが睨みをきかすフロントマスクとあいまって、かなりの迫力です!

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搭載されるのは排気量6298ccの12気筒エンジン。12気筒エンジンというと、直列6気筒をふたつ並べてV型にしたV12がポピュラーです。しかし、Audiの12気筒は、V6エンジンをふたつ並べたW型。こうすることでエンジンの全長を短くすることができるので、12気筒でありながらフルタイム4WDが実現できました。

最高出力500ps、最大トルク63.7kgmはS8の4.0 TFSIよりも少し控えめではありますが、どう見てもこのW12のほうがお金がかかっていますよね。

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うっかり運転手を手配し忘れたので(!?)、後席ではなくいつもの運転席へ。ここに座ってしまうと、L(ロングホイールベース)であることはあまり気になりません。でも、このクルマに不釣り合いな僕が、後席に誰も乗せずに運転している姿は、まわりからはどう見られているのでしょう? いつも以上に気になりますが、実際はクルマは見ても、運転手なんて見ちゃいない......案外そんなものかもしれません(笑)

さっそく走り出すと、大排気量のマルチシリンダーエンジンのフィーリングがたまりません! 最近はターボばかりで、自然吸気エンジンの緻密できめ細かなフィーリングはご無沙汰でした。

Lにもかかわらず、運転してみると実際のサイズほど大きい感じがしないのも、このクルマのいいところ。アルミボディのASFによって軽く仕上げられていること(といっても車両重量は2200kgある)、そして、ダイナミックステアリングやリアスポーツディファレンシャル付きのクワトロなどによりクイックな動きを見せるのが、効いているのかもしれません。これで、駐車場を選ばなければ、いうことはないのですが......。

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気になるのが、6.3L12気筒エンジンの燃費。相当すごいんだろうなぁと覚悟していましたが......。

都内のオフィスから一般道で帰宅したときの燃費が5.4km/L。A3 Sportback 1.4 TFSIと比べるとほぼ倍の大食いですが、6.3Lという排気量を考えると、かなり優秀です。

そして、驚いたのが高速燃費。東京〜名古屋を往復しましたが、流れにまかせて走ったところ、往きが9.8km/Lで、帰りが9.5km/Lと、予想をはるかに上回る数字でした。

実はこのW12エンジンには"シリンダーオンデマンド"機構が搭載されていて、あまりパワーを必要としないときには12気筒の半分の6気筒で走ります。メータークラスター内の液晶表示を見ていると、かなりの頻度で6気筒モードに入っており、そのたびに瞬間燃費が10km/L台を示していましたから、これが高速での低燃費に貢献していたのは確かでしょう。

そういえば、以前、S6で岡山に出かけたときも、シリンダーオンデマンド付きの4.0 TFSIエンジンで13km/Lという燃費をマークしましたから、Audiのシリンダーオンデマンド、恐るべし実力です。

ところで、このクラスの高級車を買うVIP客のなかには、新型車が出るとわかると「一番に持ってこい!」という人が少なくないとか。お店にひとりならいいのですが、たまたま何人もそういうVIP客がいたときはどうするのか?

セールスマンいわく「台数が揃ったところで、同じ日に納車します」。なるほどね......。

(Text by Satoshi Ubukata)

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