171010-Saito-01.jpg前回の話題を受けて、今回は「Audi A4 allroad quattro」や「Audi Q5」に採用されている新しいquattroシステムについて掘り下げてみます。 quattroがAudiの魅力に大きな柱のひとつであることはいうまでもないでしょう。Audi=quattro=4WDという図式は、初代quattroがデビューした1980年から始まったわけですが、前にも触れたように、ずっと同じ4WDシステムを使ってきたわけではありません。センターデフの形を変え、さまざまな制御を取り入れながら、進化してきたわけです。

そして、縦置きエンジンのA4シリーズで、ついにセンターデフがなくなってしまったのです! 4WDに不可欠なトランスファーという部分にマルチプレートクラッチが使われ、ここで前後への駆動トルクが振り分けられています。

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面白いのは、リヤへの駆動をなくすことができる点です。これは、マルチプレートユニットの後ろに付けられたquattroコントロールユニットと呼ばれる部分で、後ろへ行くドライブシャフトを切り離し、フロント側だけに駆動トルクが行くように......つまりFFになるんです。

ついでに書いておくと、プロペラシャフトの断続ユニットは、リヤデフ側にもついていて、フロント側が断続するとリヤ側も断続し、回転抵抗の大きなプロペラシャフトとリヤリングギヤの回転を止めます。

Audiはこのシステムによって数%燃費を良くしているわけです。

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いろいろ試しながら走らせてみると、さらにおもしろいことがわかります。

システムの作動を観察してみると、FFがベースでときどき4WDになるのではなく、4WDが基本で、4WDの駆動力や4WDで得られる安定性が必要ないときにFFになるようです。

このあたりの解釈の仕方がオンデマンド4WDではなくフルタイム4WDであるという理由にもなっているようです。

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ちなみに、Audi A3やAudi TTがハルデックスカップリングを使った4WDシステムでquattroを謳っているとおり、オンデマンド式だからquattroではないということではありません。Audi A4に搭載されるquattroを解説した動画があるので貼っておきます。


この動画の中で、後輪に駆動トルクが多めにかかっているような絵が出てきますが、これはたぶん接地荷重を含めた駆動トルクを示したものだと思います。理論的には100:0〜50:50がこのメカニズムの駆動配分の範囲です。メーカーがいう100:0〜0:100は、例えばフロントタイヤが空転したときに瞬間的に0:100になることがあるということで、機構的につくり出せるわけではないのです。

(Text by Satoshi Saito)

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