Golf8 GTIの購入から10カ月あまり、この日が来るのを心待ちにしていました。愛車に「MCB」を装着しました!

フォルクスワーゲンの走りをさらなる高みへ
フォルクスワーゲンオーナーであればご存じの方も多いでしょう。MCB、すなわち「Motion Control Beam」(モーションコントロールビーム)」は、自動車部品メーカー大手の「アイシン」が開発したボディの変形を抑えるフリクションダンパーです。単にボディの歪みを抑制するのではなく、その振動エネルギーを吸収することによって、クルマ本来が持つ走りの性能を引き出し、安定性と快適性を高めるというものです。
フォルクスワーゲン車用としては、フォルクスワーゲン/アウディファンのためのパーツブランド「maniacs(マニアックス)」が「Motion Control Beam Tuned by maniacs(モーションコントロールビーム チューンド バイ マニアックス)」として商品化し、「Golf7」や「Golf8」、「Golf Touran」、「T-Roc」を世に送り出し、装着したユーザーから高い評価を得ています。
MCBの概要は上のニュースをご一読いただくとして、私としては、Golf8 GTIを中古で購入すると決めたときから、愛車にMCBを装着したいと考えていました。ただ、マイナーチェンジ版のGolf GTI、いわゆるGolf8.5 GTIの登場が控えていたので、Golf8 GTIとGolf8.5 GTIを乗り比べるまでは、愛車のGolf8 GTIには手を加えなかったのです。
そして今年2月にGolf8.5 GTIに初試乗し、内外装のリニューアルだけでなく、走りのブラッシュアップを確認。確実に進化したGolf8.5 GTIに感心する一方、Golf8 GTIのオーナーとしては複雑な思いでした。そこで「打倒! Golf8.5 GTI」を心に誓い(!?)、愛車のGolf8 GTIにMCBを装着することにしました。ちなみに、Golf8用としては、ハッチバック用とVariant用があり、それぞれにGTI(ハッチバックのみ)/R用とそれ以外のグレード用が用意されています。
取り付け作業は、いつものmaniacs STADIUMで行いました。MCB本体はボディ前後に同じパーツを1本ずつ装着します。

まずはフロントから。フロントグリルとフロントバンパーを外して、ボディ側に専用ブラケットを取り付けます。フロント用ブラケットは、もともとある車両ボルトを使って固定するため、基本的にはボディの加工は不要です。ただ、樹脂製パーツが干渉するため、貫通させるために穴をあける必要があります。

このフロント用ブラケットは単にMCB本体を固定する役目を持つだけでなく、MCBの効果を大きく左右する重要なバーツなのだそうです。作業の合間にはmaniacsの工房長・大谷さんから「MCBが本来の性能を発揮できるよう試作を重ねました」という話を伺いました。興味がある方はぜひ下記のブログをご覧ください。

ところで、Golf8 GTI/Rには前後フェンダーに、ブラックの「フェンダーガード」が装着されていて、バンパーを脱着するときにはこれを取り外す必要があります。そして作業が終わったあとにはフェンダーガードを再装着しますが、その際に使う専用設計の両面テープがmaniacsから販売されています。
フォルクスワーゲンからは、あらかじめ両面テープが装着された純正部品のフェンダーガードを手に入れることもできるのですが、専用両面テープを使うことでもともとのフェンダーガードを利用できるうえにパーツのコストも抑えられるというメリットがあります。しかも、両面テープの厚さが絶妙で、フェンダーガードがフェンダーおよびバンパーに隙間なく、美しく密着するのも見逃せません。



リヤはバンパーを取り外さずに作業が可能。リヤのブラケットも、もともとある車両ボルトを使って固定し、そこにMCB本体を固定します。
MCBの装着に要した時間は、前後あわせて2時間弱でした。


Golf8.5 GTIを超えたかも!?
取付作業が完了したところで、さっそく試乗に出かけると、MCBの効果は想像をはるかに超えていました。
走り出してすぐに気づくのが、快適さを増した乗り心地。これまでは路面から細かいショックがボディに伝わっていましたが、MCBを装着してそれが明らかに抑えられています。なかでも、リアから軽くコツコツとショックを拾うのが気になっていましたが、これも見事に解消しました。また、目地段差を超えたときの大きめのショックも巧みにいなしてくれます。
いつも利用する駐車場では、登りのスロープに斜めからアプローチするときにボディからきしみ音が出るのですが、MCB装着後はそれも消えました。
まあここまでは期待どおりというか、想定の範囲内というところでした。驚いたのはハンドリング性能の向上です。高速道路に入り、スピードを上げていくと、ただでさえ優秀な直進安定性がさらに高まり、ステアリングホイールに軽く手を添えているだけで、まさに矢のように突き進んでいきます。タイヤの接地感も格段に高まった印象です。
その一方で、コーナーでは以前よりも明らかに少ないステアリング操作で、面白いようにクルマが向きを変えていきます。その際のロールも抑えられていて、感覚的はほとんどロールしていない印象でした。高速でレーンチェンジするときも動きに無駄がなく、安心してステアリング操作ができました。ステアリングの正確さが向上したことで、Golf8 GTIのウリといえるハンドリング性能がさらに際だつようになったのは、MCB装着の最大のメリットでしょう。
面白いのが、レーンキープアシストシステム"Lane Assist"や同一車線内全車速運転支援システム"Travel Assist"への影響。高速道路で車線を維持してくれるこららのシステムですが、Golfの場合はステアリングホイールに必ず手を添えておく必要があります。その際、システムによる細かい修正舵が気になることがあり、個人的にはアダプティブクルーズコントロール"ACC" はよく利用する一方、Travel Assistはオフにすることが多かったのです。
ところが、MCBを装着後は格段に直進安定性が高まったおかげで、Travel Assist使用時のシステムによる修正舵が激減し、気にならなくなりました。高速道路を使ったロングドライブが、これまで以上に楽になるのは確実です。

なお、maniacsによれば、MCB本来の性能を100%発揮するには1000km程度の慣らしが必要とのこと。今後、慣らしが進むにしたがって、さらに滑らかでしっかりとした乗り味になるそうなので、その変化を見守りたいと思いますが、現時点でもMCBの効果は絶大で、これならGolf8.5 GTIに負けないと確信しています(笑)
慣らしが終わったあかつきには、ワインディングロードに連れ出して、走りの進化を確かめたいと思います。その日が来るのが待ち遠しい!
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)
■関連リンク
・Motion Control Beam Tuned by maniacs (Golf8 Hatchback)