ランニングチェンジによりパワートレインやコックピットデザインが変更された「ID.4」をドイツで試乗。その進化は?

フォルクスワーゲンがミュンヘンショーの開幕にあわせて、ID.4のアップデートを公開した。エクステリアデザインについてはこれまでと同じで、一見しただけではこれまでのモデルと、いわゆる2024年モデルを区別することはできない。

一方、コックピットにはかなり手が加えられている。

すぐに気づくのが、ダッシュボード中央のコントロールパネルが様変わりしたこと。タッチパネルがこれまでよりひとまわり大きな12.9インチになったのに加えて、以前はモニターの下に配置されていた空調やドライビングプロファイルなどの物理スイッチが、ソフトスイッチとしてコントロールパネル上段に移され、より簡単にアクセスできるようになった。モニター下部にはエアコンの温度設定と音量調節用のタッチスライダーが残っているが、イルミネーションが搭載されたことで夜間の使い勝手が大幅に向上している。

画像6: 【ミニ試乗記】ID.4 Pro Performance 2024

“ドライバーインフォメーションディスプレイ”と呼ばれるメーターパネルの右に配置されていたドライブモードセレクターは、ステアリングコラムの右側に再配置された。操作方法はこれまでと同じで、レバーの先を回転させることでRとD/Bが変更できる。

これにともない、ワイパーのレバーは、もともとステアリングコラムの左側にあるウインカースイッチに統合された。このあたりは新型「Passat Variant」と共通である。また、ステアリングホイールのデザインも、これまでは音量と早送り/巻き戻しスイッチがともに右側に配置されていたのが、これを左右に振り分けられたことで、誤操作が少なくなるのはうれしい配慮だ。

一番の注目点は、2024年モデルのID.4 Pro Performanceに新開発のモーターが搭載されたこと。「ID.7」にも採用されるこのモーターは、最高出力210kW(286PS)、最大トルク545Nmを発揮。なんと従来に比べて60kW、235Nm増と、大幅な性能向上となった。

この最新モデルを、短時間ではあるがミュンヘン市内で試すことができた。さっそく運転席に移動すると、従来よりも柔らかいシートが、心地よくドライバーを支えてくれる。手前に移動したドライブモードセレクターでDモードを選んでアクセルペダルを軽く踏むと、動き出しこそ穏やかだが、従来型よりも動き出しが軽快で、トルクに余裕ある印象だ。

さらにアクセルペダルに載せた右足に力をこめると、以前にも増して力強い加速を見せる。今回はアウトバーンの速度無制限区間を走る機会があったが、120km/hまでの加速はいうまでもなく、160km/hオーバーでも伸びやかに速度を上げていくのは頼もしいかぎりである。ちなみに最高速の180km/hまで試したが、どの速度域でもストレスない加速が楽しめる。

画像11: 【ミニ試乗記】ID.4 Pro Performance 2024

試乗車には前:235/45R21、後:255/40R21のタイヤが装着されていたが、乗り心地は従来モデルの20インチ仕様よりもマイルドで、より落ち着いた挙動を見せる。これには改良されたDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の効果が大きいと思われるが、さらに個別設定でもっともコンフォート寄りにすれば、きわめて滑らかな乗り味を示すのは驚くばかりだ。

このように短時間の試乗でも性能向上が確認できた2024年モデルのID.4。さらにこのID.4 Pro Performanceでは480WのHarman Kardonサウンドシステムが新たに搭載されたり、AR対応のヘッドアップディスプレイが選べたりと、さまざまなアップデートが図られ、2022年モデルのオーナーとしてはうらやましいかぎりである。

日本には2024年秋冬に導入が予定されているが、果たしてどのような仕様になるか、そして価格は上昇するのか、気になるところである。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Satoshi Ubukata, Volkswagen)

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