■Golf Cabriolet Prototype ■1/43 ■AVENUE43(Germany)
なかなか珍しい車種が製品化されていました。
初代Golfのオープンモデル、Golf Cabrioのプロトタイプです。
今でも時折り見かける Golf Cabrio、実車は1979年に登場。
一見、ハッチバック版のルーフをカットしただけにも見えますが、実はモノコックシャーシの要所を補強し、特徴的なロールバーを追加することで剛性と安全性を確保しています。
その姿から「ストロベリーバスケット」なんていう呼び方も生まれました。
実際は完成車のルーフを切る訳ではなく、ロールバーより後ろの専用ボディパネルと頑丈な五層構造の幌がドイツ、オスナブリュックにあるカルマン社にて架装されました。
ミニカーを見てみます。少量生産のレジンモデルで、台座に「1976」とあります。
初代Golfの登場は1974年なので、割と早い時期からオープンモデルの検証が始まり、発売まで3年かけたことがわかります。
フロントアーチの後ろには、開発当初から関わっていたカルマンのエンブレム。このエンブレムは、量産モデルにも受け継がれています。
この時点ではロールバーはまだなく、ボディ後半を見ると、Cピラーの名残のような面もあり、文字通り「ルーフをぶった切る」手法で作られたのかも知れません。
テストと検証を重ねて、ロールバーの追加や専用パネルの採用に至ったのでしょう。
量産モデルのリヤフェンダーパネルは、ドア後端からリヤに向けて緩いカーブを描いて跳ね上がっています。
また、テールライトは初代Golfと同じものですが、跳ね上がった後部デザインに合わせ少し高い位置にきています。
このあたりの微妙かつ巧みなデザインで、尻下がりにならない快活な印象を生み出していますね。
ミニカーではトノカバーに覆われていて見えませんが、幌の構造も相当検証が重ねられたと思います。
量産型の幌は五層構造で、閉じた状態での高速走行時に風船のように膨らむバルーンニングを防ぐほか、熱線付きのリヤガラスを装備して耐候性、安全性を追求したつくりになっています。
トランクを開けるボタンの位置も違いますね。
このプロトタイプ、私はウォルフスブルクの博物館で目にしたことがあります。
Golf 2の時代もGolf 1のボディのまま作られたGolf Cabrio。
こうした念入りな開発背景があったからこそ、1979-1993年という息の長いモデルになったと思われます。
ウチにある30歳のカブリオもレストアしてやらないとお肌が……。
das kleine Golfgang(ダス クライネゴルフガング)は、ゴルフのミニカー、"Golf玩具"にまつわるコラム。1974年に実車が誕生して以来、古今東西でつくられてきたゴルフのミニカーたちの小さなボディに垣間見えるストーリーを、小さく紹介しています。101回目以降、ゴルフ以外の水冷VWも紹介していきます