2022年6月2日、8speed.net読者を対象にしたドライビングレッスン「8speed.net Driving Lesson」を富士スピードウェイで開催しました。
一般道ではなかなか体験できないさまざまなシチュエーションを、安全な場所で繰り返し練習することで運転の基本を学ぶとともに、いざというときに危険を回避する能力を身につけてもらうのを目的にスタートした「8speed.net Driving Lesson」。新型コロナ感染拡大の影響でここしばらく参加募集ができませんでしたが、約2年半ぶりに第6回目を開催することになりました。
会場の富士スピードウェイ第2駐車場(P2)には、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェなど、ゲスト参加も含めて計21台が来場しました。
インストラクターを務めるのは、モータージャーナリストの齋藤 聡さんです。業界屈指のドライビングスキルを誇るばかりか、ドライビングレッスンのインストラクターとしても経験豊富な齋藤さんが、運転の基本をわかりやすく教えてくれます。
さらに、アウディオーナーにはおなじみの須田 力さんが、アシスタントインストラクターを務めました。
レッスンはまずは短い座学からスタート。齋藤さんから、タイヤのグリップの仕組みやESCの働きなど、これだけは知っておきたい運転の基礎知識の説明が行われます。
そして、安全運転の基本として、ブレーキによる危険回避を学びます。いざというときに事故を防ぐには、しっかりとブレーキを踏めるかどうか、また、ブレーキをかけながら危険を避けるようステアリング操作ができるかどうかがカギになります。これを事前に経験しくと、いざというときに躊躇せずにフルブレーキがかけられるのです。
そもそもフルブレーキをかけたことがなかったり、本当のフルブレーキを知らないという人も少なくなりません。それだけに、いざやってみると、ブレーキペダルが踏み切れていなかったり、タイミングが遅かったりと、慣れないと簡単なようで実は難しいんです。
しかし、最初は思うようにクルマを停められなかった人も、走行後にインストラクターからアドバイスを受けることで、数回で理想的なブレーキが踏めるようになっていきました。また、速度と制動距離の関係を知るために、40km/hと80km/hからのブレーキングを体験。飛び出しの多い生活道路ではスピードを落とすことの大切さを実感しました。
フルブレーキができるようになったところで、次は障害物を避ける練習です。現代のクルマにはABSが装着されているので、ブレーキをかけながらステアリングを操作すれば、クルマの向きを変えることができます。いざというときに、ブレーキとステアリングを同時に操作できると、危険を回避できるチャンスは高くなりますので、実践的なセーフティドライブにはとても重要です。
またESCにより、クルマをスピンさせることなく、ステアリング操作だけで障害物を回避するダブルレーンチェンジのテクニックも学びました。
危険回避のプログラムが終わると、次はタイヤの能力を生かして、気持ち良くクルマを曲げるためのテクニックを学びます。
タイヤのグリップには限界があります。加速しながらステアリングを大きく切ると、クルマは思った方向には曲がってくれません。うまく曲がるには、速度調整と前後タイヤの荷重移動、そして、適切なステアリング操作し、いわゆるアンダーステアを出さずに走ることが重要です。
そのコツをオーバルコースの走行で学んでいきます。最初のうちはコースを大回りしてしまう参加者が少なくありませんでしたが、インストラクターからのアドバイに耳を傾け、少しずつ運転を修正することで、スムーズで無駄のないドライビングができるように変わっていきました。今回は参加台数が少なく、そのぶん走行する回数が多くなったこともあり、参加者の上達ぶりは舌を巻くほどでした。
そして午後には、スラロームとオーバルを組み合わせたハンドリングコースでコーナリングの腕を磨きます。走行後には無線でインストラクターのアドバイスが入るので、それを次の走行を生かすことで、参加者の走行スピードが徐々に上がっていくのがわかります。
そして最後はレッスンの仕上げをかねて、ハンドリングコースでタイムアタック。じっくりと練習できたおかげで、最初の頃とは見違えるほどすばらしい走りを見せてくれました。
一般道ではなかなか体験できないさまざまなシチュエーションを安全に体験してもらうことで、皆さんの危険回避能力が高まったり、荷重移動を感じながら運転することで、よりスムーズで気持ちのいいドライビングにつながったり、そして、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの持つ基本性能の高さを、あらためて確認できたり……。参加者の皆さんがそんな体験ができたとしたら、運営スタッフとしてはうれしいかぎりです。
今後も年2回程度を目安にこのようなベーシックコースを開催していくとともに、上級コースの設定を検討していますので、ぜひふるってご参加ください!
(Text by Satoshi Ubukata)