2021年3月15日、フォルクスワーゲン グループはオンラインイベントの「POWER DAY」を開催し、2030年に向けた電気自動車のバッテリーと充電インフラの戦略を発表した。
フォルクスワーゲン グループが今回掲げた目標は、電気自動車をできるだけ多くの人々にとって魅力的で身近な存在にするためのもの。そこで、バッテリーのコストを下げるとともに、充電インフラの拡大を図ろうとしている。
電気自動車の価格を押し上げているバッテリーのコストを、エントリーレベルのセグメントで50%、ボリュームレベルのセグメントで30%削減することを目指す。
そのために、フォルクスワーゲン傘下のブランドの電気自動車に搭載するバッテリーの統一化を図るとともに、バッテリーセルの技術開発や、原材料の95%をリサイクルするネットワークを確立する。
需要が急増するバッテリーの生産については、2030年までに6つのバッテリーセル工場を稼働させ、年間240GWh相当のセルを生産する予定だ。
利用者の利便性を図るため、急速充電施設の大幅な拡大にも力を入れる。ヨーロッパでは現在の5倍にあたる18,000カ所の急速充電ネットワークを整備。これには合弁会社のIONITYによるものに加えて、BPと共同で約8,000の充電器を設置。うち計4,000の150kW急速充電器はBPとARALのガソリンスタンドに設置される予定だ。
また、スペインのIBERDROLA社とイタリアのENEL社とも協力して、急速充電ネットワークの充実を図る。
一方、北米ではElectrify Americaと協力して、2021年末までに約3,500の急速充電ステーションを用意。中国でもCAMSとの合弁事業を通じて2025年までに合計17,000カ所の急速充電ステーションを設置する。
他にも、電気自動車を電力網に接続することで、再生可能エネルギーの一時貯蔵先として活用し、電力需要の平準化を目指す。
こうした取り組みにより、フォルクスワーゲン グループはeモビリティ分野で覇権を握りたい考えである。
(Text by Satoshi Ubukata)