イギリスのクルマ好きが一同に会すイベント【Speedmachine Festival 2019】の初日、シルバーストーンサーキットのミーティングルームにてRacingLineのディーラーカンファレンスが開催された。
まず冒頭で、マネージングダイレクター(最高責任者)のサム・ローチ氏が、RacingLine社の概要を紹介するプレゼンテーションを行った。
RacingLineはフォルクスワーゲンUKのレースプログラムをはじめとするモータースポーツの運営、クルマにまつわるイベントの運営、特殊車両の開発等の事業を、設立から現在にいたるまで行っている。
フォルクスワーゲン/アウディを対象としたチューニングメニューやカスタマイズプロダクトを手がけはじめたのは7年前から。直近6年間で750%の成長率を遂げ、RacingLineのプロダクトが原動力となって成長したことは一目瞭然だ。
世界中でファンを獲得しているブランドへと成長し、現在でもその歩みを止めること無く、設備投資や開発体制の拡充を図っていることが説明された。
次に、テクニカルダイレクターのマット・ウォーカー氏によって、RacingLineのパーツのプレゼンテーションが行われた。
RacingLineのパーツ群は包括的にラインナップされていて、RacingLineだけで車両のアップグレードを完成できるのが特徴だ。
新商品も数多く紹介され、中でも目玉ともいえるのがブレーキキットのステージ3。6Podのビッグキャリパーに、355mmと380mmの2ピースローターが用意される。優れたストッピングパワーは、ハイパフォーマンス車両にふさわしいアイテムと言える。
また、最新のプロダクトとしてGolf7用のシャーシブレイスが発表された。車両の剛性を高めることを目的としたパーツで、カーボンファイバー製のバーとアルミ製のブラケットで構成される。最大の特徴は、リヤシート後部のラゲッジスペースへ無加工で取り付け可能なことだ。今から発売が非常に楽しみなアイテムである。
その他、Polo GTI ステージ2 エアフローパック、Audi A4(B9)用のインテーク、スタッド&ナットKIT、Audi A5とMQBシャーシ用ドロップリンク等、さまざまな製品が発表された。
午後からのカンファレンスでは、ソフトウェア・エンジニアのベン・ワードル氏によって、OEM+(オーイーエムプラス)のプレゼンが始まった。
冒頭でOEM+は優れたハードウェアの上に成り立つソフトウェアという位置づけであることが説明された。ハードウェアのプレゼンテーションを聞いた後だけに、説得力がある。
OEM+はECU(エンジン コントロール ユニット)チューニングとしては後発となるが、最新のシャシダイナモによる実測、エンジニアの増員、常に新しい車両とECUの解析を日々行うことで、その技術レベルは非常に高い。
ECUチューニングはさまざまな手法があるが、OEM+はプログラムをすべて書き換えることで、最高のパフォーマンスを得ることに成功している。単に最高出力を伸ばすだけではなくトータルバランスを考え、安全マージンを含み設計されているので、ハードェアへの負荷も抑えた仕様となっている。
OEM+はステージ1からスタートして、ステージ2、3への無償のアップグレードも提供している。
うれしいことに、車両のECUをOEM+装着前の状態に戻すことも可能となっている。
さらに、OEM+はTCU(トランスミッション コントロール ユニット)DSGの解析も深く進めていて、多彩なダイナミッククラッチ圧を調整している。ECUとシームレスなギア比の選択により、他社のECUチューニングと比較してより高度なパフォーマンスを実現している。
OEM+の概要の説明の後、さまざまな車種のパワーアップの実例が紹介され、盛り沢山の内容のプレゼンテーションが幕を閉じた。
ほぼ一日を通して行われたRacingLineのディーラーカンファレンスは、終始和やかなムードのなか幕を閉じた。プレゼンテーションを通して、クォリティーの高い製品群と優れた技術力によって裏付けされたチューニングを、確かに感じ取ることのできるカンファレンスであった。
#3へ続く…
(Text by Masato Uchida Photos by Masato Uchida & RacingLine)
■関連リンク
・Racingline Japan
【RacingLine】International Dealer Conference 2019(#1)
【RacingLine】International Dealer Conference 2019(#3)