091223-20TFSI-01.jpg2009年も残すところあとわずか。振り返ると、フォルクスワーゲン、アウディとも、たくさんのニューモデルが登場しました。そのなかから、印象的だったものを採り上げてみようと思います。

まずはアウディから。

どのニューモデルも魅力的でしたが、僕としてはA4、A5に搭載された新しいパワートレインが、2009年一番の話題ではないかと思います。

新しいパワートレインとは、もちろん、2リッター直列4気筒ガソリン直噴ターボの「2.0 TFSI」とデュアルクラッチギアボックスの「Sトロニック」です。この組み合わせが、エンジンを縦置きするA4/A5シリーズのquattroモデルに搭載されたおかげで、それまで3.2リッターV6しか選べなかったquattroが身近になったことに加え、このクラスとしてはトップレベルの性能と燃費を手に入れたという点で、果たした役割は大きいと思います。

このうち、Sトロニックは、横置きエンジン用がTTやA3スポーツバックに搭載され、縦置きエンジン用の登場が待たれていただけに注目度は高かったのですが、反面、2.0 TFSIは従来エンジンの改良型であり、最大出力は、旧2.0 TFSIから11psアップの211psでしたから、メディアの扱いは地味だったと思います。

しかし、チェックしておきたいのは最大トルクの増加です。旧2.0TFSIが280Nm/1800〜5000rpmだったのに対して、新2.0TFSIは350Nm/1500〜4200rpmと、70Nm、率にすれば25%もの大幅な性能アップを果たしたのです。この結果、3.2リッターV6エンジンを最大トルクで上回ってしまいました。

091223-20TFSI-03.jpgその実現に大きく貢献しているのが、運転状況によりバルブのリフト量を2段階に切り替えるAVS(アウディ バルブリフトシステム)です。
091223-20TFSI-02.jpgAVSそのものは、3.2 FSIエンジンにも採用されていますが、3.2 FSIが吸気バルブ側に搭載されているのに対し、2.0 TFSIでは排気バルブ側に搭載され、ターボに送り出す排ガス圧を調整することで高トルクを得ているところが大きく違います。
その仕組みがどんなものなのかは、僕自身もいまひとつわからないのですが(笑)、ただ、2.0 TFSIのトルクの太さは、乗れば実感できるもので、低回転から強力なトルクを発揮するので運転がしやすく、また、広い回転数で最大トルクを発揮する特性を持つことから、どの回転からでも素早い加速が得られます。

ただ、導入当初は、アクセルオフのあとに再度アクセルを踏み込んだときなどに、反応がワンテンポ遅れることがあり、少し気になっていました。しかし、最新版ではこのあたりが解消しています。組み合わされるSトロニックも、新しいモデルに乗るたびに洗練度を増している印象で、このクラスのパワートレインとしては敵なしの実力を手に入れたといってもいいのではないでしょうか。

最近、A4シリーズでは3.2 FSIがエンジンラインアップから姿を消しました。NAエンジンの気持ちのいい吹け上がりは捨てがたいのですが、これに優るパフォーマンスと低燃費を実現する2.0 TFSIは、まさに時代に要求にかなう新エンジンということで、A4/A5シリーズにとって大きな武器になるはずです。

すでに、日本でもディーザーキャンペーンが始まっているA5スポーツバックにも、このパワートレインが搭載されるようなので、こちらも楽しみです。

(Text by S.Ubukata)

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