ゴルフGTIとゴルフRを一緒に借り出し、いつものTOYO TIRESターンパイクへドライブに。
僕の好みはというと......
(Photo by M.Arakawa)
ゴルフのスポーツモデルとして人気を二分するGTIとR。その2台を引き連れて、ターンパイクへ......なんて書くと、"ライバル真っ向勝負"の企画みたいですが、実際は撮影がメインのおとなしい(!?)取材で、ターンパイクを軽く流すだけという乗り方でした。それでも、2台のキャラクターの違いははっきりわかり、あらためてそれぞれの魅力に触れることができました。
いまやゴルフの定番スポーツモデルであるGTIと、さらにスポーツ性を際だたせたR。ゴルフ4やゴルフ5の時代とは違い、ボンネット下に搭載するのはともに2L TSIとなりましたが、GTIがFFで、Rがフルタイム4WDという伝統だけは、ゴルフ6になっても変わりません。
エンジンそのものも差別化が図られていて、GTIが211ps/280NmのEA888シリーズを採用するのに対し、Rでは旧型GTIに搭載された200ps版EA113を発展させることで、256ps/330Nmを叩き出しています。これほどの高性能を手に入れると、低いギアでフル加速するような場面では、荷重が減ったフロントアクスルだけでトルクを受け止めるのは難しく、必然的にフルタイム4WDの4MOTIONの出番になります。ちなみに、同じエンジンを積むシロッコRはFFなので、フル加速を試みると、フロントタイヤが暴れ出します。
ゴルフRは、4MOTIONを採用するおかげで、路面がドライであれば256psの大パワーを持て余すことはありません。ただし、4MOTIONの採用により、当然のことながらゴルフRは重量がかさみます。諸元表を見ると、ゴルフGTIの車両重量は1400kgであるのに対し、ゴルフRでは1530kgに達することがわかります。
しかし、車両の重量増よりもエンジンのパワーアップ分が上回るゴルフRは、GTIに比べて明らかに速い加速を見せてくれました。GTIよりも締め上げられた足まわりが、ゴルフRの速さをしっかりと受け止めます。この速さと安心感、安定感がゴルフRの魅力でしょう。
そんなゴルフRからゴルフGTIに乗り換えると、加速はマイルド。それでもスポーティに走るうえではまず不満のないレベルです。一方、ゴルフGTIの魅力といえるのが身のこなしの軽さです。重厚なゴルフRと軽快なゴルフGTI......。結局は、そのどちらを選ぶかということになるんでしょうね。
僕個人としては、スポーツモデルは軽さが命......みたいな"教え"が頭の片隅にあるからか、GTIにより強い魅力を感じています。ただし、もしゴルフRにTT RSのような特別なエンジン(2.5L 直列5気筒直噴ターボ)が載っていたら、大いに迷っていたかもしれません。
ゴルフファミリーの一員だけに、2台のどちらを選んでも高い実用性が確保されるのはうれしいところで、また高性能と低燃費を両立するのもいまの時代にはぴったり! 老若男女が楽しめるスポーツモデルとして、これからも僕たちに夢を見せ続けてほしいと思います。