Golfgang Nr.167

小さくても「指先にズシリ」とくるこのゴルフ、素材はダイキャストで1970年代のものと思われます。それほど繊細でもなく、塗装というよりは面相筆で着色されたような「手仕事感」たっぷりのミニチュア。

のどかなホッチキス止めのパッケージには、Handarbeit（手づくり）のハンコが押されています。

しかしながら、この造りで質実剛健な「ゴルフらしさ」を放っているのは、プロポーションがきっちりしているからでしょう。

このKEHI MODELLBAUというお店は現存しており、鉄道模型を主に扱うお店のようです。となると、このゴルフも鉄道のジオラマに置くためのものかと思われますが、Nゲージサイズの自動車よりは大きく、HOスケールには小さい、という微妙なサイズになっています。

かつてベートーヴェンは、ドイツ語の「小川」にあたるBachを、「小川ではなく大海」と称したそうです。高級車でもなかったゴルフが地球全土で愛されるほどのムーブメントを起こし、そのまたミクロの泡に乗ってこんな小さなミニカーがこの極東の地まで流れ着くとは......アイゼナハの模型店主も想像だにしなかったことでしょう。

◆ das kleine Golfgang（ダス クライネゴルフガング）は、ゴルフのミニカー、"Golf玩具"にまつわるコラム。1974年に実車が誕生して以来、古今東西で作られてきたゴルフのミニカーたちの小さなボディに垣間見えるストーリーを、小さく紹介しています。101回目以降、ゴルフ以外の水冷VWも紹介していきます。