IMG_2741.jpg「国際生物多様性年」の今年、10月に名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が開催される。COP10のプレイベント、(財)日本生態系協会主催による国際フォーラム「生物の多様性と経済の自立、健全な自治体への挑戦」に、フォルクスワーゲン グループ環境担当統括責任者ギュンター ダンメ氏が海外ゲストスピーカーとして招かれ講演を行った。

動画提供:Volkswagen Group Japan フォルクスワーゲン グループはいち早く"ビジネスと生物多様性イニシアティブ"でリーダーシップ宣言を行っている。これは企業として生物多様性保全を積極的に経営に取り入れて行くことの意思表明である。例えば、工場を建設することにより生物多様性に与える影響を分析し、代替措置に取り組む。あるいは現実的な目標を定め、2〜3年毎に見直しと改善を行ない、さらに、年次報告書を作成し生物多様性部門の活動と実績を公表する等々・・・リーダーシップ宣言を行った企業は生物多様性保全の為に様々な活動を行わなければならない。

以前にもお伝えしたドイツにおけるオオカミの保全や中国におけるパンダの研究や保全等、フォルクスワーゲンは様々な地域で生物多様性保全プロジェクトを行っている。プロジェクトの多くは世界各地の生産拠点の近くで、従業員、地元住民、近隣の学校等と緊密に連携をとって実施されている。


今回のフォーラムでもいくつかの事例が紹介された。
メキシコ工場があるブエブラ州では植林と地下水の確保を行っている。「イスタ・ポポ プロジェクト」だ。


その他にもドイツではBUND(環境自然保護連盟)と協力してヤマネコが隠れながら移動できるようにルート確保し生息エリアを繋ぐ「ヤマネコ移動ルート」プロジェクトをサポート。そして、ウォルフスブルグ市との共同で行われた、フォルクスワーゲン本社工場近くのアッラー川の再自然化。これはフォルクスワーゲン本社工場に隣接する技術開発研究所を増設することに対する代替措置で1840年頃に運河に改修された川を元の姿、蛇行し沼や三日月湖がある自然の状態に戻すプロジェクトだ。結果としてアッラー川氾濫原は元の自然状態に戻り、水鳥やカワウソが生息するようになったそうだ。

フォルクスワーゲンがグローバルに取り組んでいる生物多様性の保全活動。これは企業の社会的責任を果たすという意味合いもあるが、それだけが理由ではなかった。「健全な自然環境は人間が健やかに暮らすうえで必要不可欠で、長期的に見ればよい環境でなければクルマも購入してもらえない」とダンメ氏は語った。「自然環境保護」と「クルマの販売」は、実は表裏一体だった。自動車メーカーとして環境性能の高いクルマを開発することはもちろんだが、それ以外にどのような活動を行っているかが今後ますます重要になるのだろう。

(Text by M.MAKIMURA)

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