150508-Oya-01.jpgどのモーターショーでも、スター的なクルマは存在する。2015年4月20日から29日まで開催された第16回上海オートショーでは、フォルクスワーゲンの概念車(中国語でコンセプトカー)「CクーペGTE」が、その1台だった。
ドイツ本国のフォルクスワーゲンスタッフが筆者に語ったところによれば、今後は中国市場でブランド全体のポジショニング・アップを模索するという。CクーペGTEは、その「のろし」役だ。  

ブースでは、フォルクスワーゲンと上海汽車の合弁会社・上海フォルクスワーゲンが2014年成都モーターショーで公開したMQBプラットフォームを用いた4ドア・クーペ「ラマンド(凌渡)」の生産型も展示された。

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150508-Oya-03.jpgそのおおらかなフォルムと質感からして、こちらも前述のストラテジーに少なからず貢献するだろう。
その上海フォルクスワーゲンは今回、ある中国市場用モデルを世界初公開した。「グラン・サンタナ(桑塔納・浩納)」と名付けられたステーション・ワゴンである。

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ベースとなっているのは、2012年に29年ぶりにモデルチェンジした「サンタナ」のセダン版だ。

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フロントフェイスは、フラットが強調されたグリルと、その両端でキリリとつり上がったヘッドランプに代表される、フォルクスワーゲンの最新デザイン言語が反映されている。 全長×全幅×全高は4282×1706×1475mmで、ゴルフ・ヴァリアントより若干コンパクトである。ホイールベースは1602mmだ。

搭載されるエンジンは、ガソリン1.4TSI(131ps)で、6段DSGもしくは5段マニュアルが組み合わされる。

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中国市場では、欧州系合弁各社が販売する同国専用のロング・ホイールベース・セダンやSUVが販売を牽引してきた。たとえば、2014年の中国自動車販売で、SUVのシェアは26%にも達した。

そこにフォルクスワーゲンは、実用性とファッション性をチャームポイントに、サンタナのワゴン版で中国の新ファミリー層に訴求してゆくという。発売予定は2015年後半だ。

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前述のフォルクスワーゲンスタッフは、ゴルフ・ヴァリアントに匹敵するラゲッジスペースを確保したと胸を張る。

ちなみにグラン・サンタナ専用というわけではないが、フォルクスワーゲンはブースの一角に純正チャイルドシートも多数展示して、積極的なアピールを展開していた。子育て真っ最中の世代が多いこの国を物語っている。

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筆者が思うに、一人っ子政策で誕生した「小皇帝」といわれる新世代が、従来とは違うボディスタイルを選択することは、けっして有りえない話ではなかろう。

そうした意味で、ともすれば見過ごしてしまいそうな上海フォルクスワーゲンの新作の行方は、中国のトレンドを占うものといえる。

いつの時代も、子供は親とは違うスタイルを求めるものだ。今日、北米におけるミニバンやそれに続くSUVの隆盛は、セダンにこだわり続けた親たちにアンチを掲げた息子たちよって牽引されたものだから。

(文と写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)

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