110906itt001.jpgサブフレームとボディの取り付けは正確だと思いますか? 実は結構曖昧なんです。今回はゴルフ 5系のサブフレームを例にその役割とボディとの接続についてのお話です。


まずは、検証のためにフロントサブフレームとボディを固定しいるボルトを緩めてフロントサブフレームをボディから取り外してみます。

110906itt002.jpgフロントサブフレームをボディから取り外すと、ボディ側に残るのはエンジンが左右のマウントにぶら下がった格好で残ります。ちなみに、この状態でエンジンを揺らすとゆらゆらと動きます。ステアリングギアボックスは、ステアリングシャフトに接続されているため、サブフレームから切り離されてもぶら下がった格好で残ります。フロントサスペンションやブレーキ廻りもストラットのアッパーマウントがボディに固定されているのでぶら下がった状態で残ります。

サブフレームがなくなると、これらの重要なパーツの殆どが宙吊り状態になってしまうのです。サブフレームがとても重要な役割を果たしていることが想像できると思います。

110906itt003.jpgこれがボディから取り外した状態のフロントサブフレーム。サブフレーム側にはサスペンションのロアアーム、スタビライザー、エンジントルクロッドが取り付けられています。ボディにサブフレームを固定する際に先ほど宙吊り状態になっていたエンジン、ステアリングギアボックス、サスペンションストラットが再びサブフレームに固定されます。

(※スタビライザーはNEUSPEED製強化スタビライザー(赤)が装着されています。サブフレームの後ろに置いてあるのは純正スタビライザー)

ゴルフ 5系のフロントサブフレームの役割を整理すると、
・トラクションの発生時にエンジンが回ろうとする力をトルクロッドを介して支えている。
・サスペンションアーム、サスペンションをマウントしてサスペンションの機能を保つ。
・ステアリング操作が確実に行えるように、ステアリングギアボックスをマウントする。

ざっくりとした役割はこんな感じ。サブフレームに固定されたこれらのパーツが走行中に受ける様々な応力に耐えうる構造になっているので、車は安全に操作することができるのです。ただし、それにはもう一つ重要な要件があります。それは、ボディとの接続です。分かりやすく例えると、ボディはただの箱で車が動くためにはサブフレームの上に載って初めてクルマとしての運動性能を発揮することができるのです。だから、ボディとの接続はとても重要なんです。

【フロントサブフレーム側】

では、実際のサブフレームとボディの接続状態を見てみると、固定するボルトに対してサブフレームの穴がかなり大きいことに気が付くと思います。そして、ボルトが締め付けれれていた跡がサブフレーム側に残っています。これを見てどう思われますか?おそらく自動車の整備知識のまったくない方でもなんとなく違和感を抱かれるのではないでしょうか。また、自動車整備を経験された方であれば、これはそういうものと・・・。

110906itt004.jpg我々がエンジンやトランスミッション、ステアリングギアボックスやスタビライザーなどを脱着するためにサブフレームを取り外す時は、再装着する際に「元位置」に戻せるようにペイントマーカー等で「マーキング」を行って取り外すのが慣習になっています。「元位置」に戻す理由としては、元のアライメントやステアリングセンター角などに影響を出さないようにするためであって、その位置が「正しい」と思っているわけではありません。つまり、そのくらい「遊び」があるのです。

110906itt005.jpgその「遊び」はボディ側それともサブフレーム側の「精度」の問題でしょうか?そうではありません。ボディ側のボルト穴、サブフレームの加工精度は正確で個体差などほとんどありません。では、なぜかというと、取り付け時の作業性に配慮したものなのです。

サブフレームにはいろんなパーツが固定されることは説明しました。ボディにサブフレームを固定する際にはその影響でテンションがかかるためにある程度遊びがないとボディ側の穴にボルトを入れることがかなり大変な作業になります。実際、これだけの遊びがあっても各ボルト穴の位置を出すにはミッションジャッキで支えて位置調整が必要です。ちなみに、ゴルフ 5系のフロントサブフレームは計6本のボルトで固定されます。

生産ラインにおいて、ボディ側にサブフレームを固定する工程でこの「遊び」は生産ラインの作業効率上必要不可欠なんでしょう。その結果がボルト穴の締め付け跡に表れているわけですが・・・。

このようにサブフレームはほとんどの場合で少なからずズレてついています。そのズレ方は左右どちらかに偏っている可能性もあれば、やや斜めになっていることもあるわけです。その結果、ホイールベースやアライメント、ボディに対してのホイールの位置が左右で違うなどの個体差が生じるわけですが、それは、性能上悪影響がない許容範囲レベルで収まっているということです。

(車種によってはサブフレームの位置調整でアライメントを調整する構造になっているものもありますので一概に言えない場合もあります。)

アライメントなどの位置関係に関しては許容範囲ということにしても、取り付けについてはどうでしょうか? これだけ重要な役割を担っているサブフレームです。もし、取り付けが緩んでしまったら、ステアリングを切ってもサブフレームが動いてしまうと車はすぐに反応しませんし、サスペンションが受ける路面からの衝撃や応力で車は安定して走ることもできなくなります。

【リアサブフレーム側】

こちらはリアサブフレーム。締め付け跡はセンター近くに出ていますが、やはりボルト径と比べると「遊び」はかなり大きいことが分かります。

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前後共にサブフレームとボディはお互いの面と面を合わせた状態で、ボルトによって強力に締め付けて固定されていますが、合わせ面の接触面積も少ないので締結強度の面では理想的とは言えません。

ここまでの話で、サブフレームとボディとの接続については少なからず問題があることが理解できたと思いますので、この問題を画期的に解決できるアイテムを紹介したいと思います。

百聞は一見に如かずということで、まずは動画をご覧ください。



110906itt007.jpgそのアイテムとは、Spoonが開発した「リジットカラー」です。サブフレームとボディとの接続における問題点を完璧に解決してくれます。なぜ、今まで誰も考えなかったのかと思わせる発想で、すでに国際特許も取得しています。

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サブフレームリジットカラーは、サブフレームのボルト穴上下に取り付けます。またリジットカラーの突起は、双方の穴をインロー化することでセンターを正確に出し、設計本来の正しい取り付け位置にサブフレームを固定することができます。それにより、アライメントは再調整を要することになりますが、その効果はハンドリングや挙動の安定に確実にそして大きく反映されるのです。(取り付け作業の難易度は高くなりますが・・・)

【フロント側取り付け例】
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【リア側取り付け例】
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もう一つの大きな効果は取り付け面の締結強度の向上です。サブフレームとボディは面接触でその面積も狭く均一ではありませんでした。アルミ製のリジットカラーはサブフレームやボディ面の凹凸にも馴染んで接触面を大きくします。その結果、締結強度が大幅に向上し、サブフレームとボディの一体化が高い剛性で保たれるようになります。これにより、今までの補強パーツとは全く異なり、量産とういう効率により犠牲になっていた弱点を見事に解決し、車の基本性能を確実に向上させます。

最後に、よくある質問でボディやサブフレーム自体の剛性を高めるタワーバーやロアアームバーなどの補強パーツとの比較を聞かれますが、双方をどれだけ補強して剛性を上げても、サブフレームとボディ間の締結強度の向上には至りません。今日、リジットカラーという新しい発想のアイテムがある以上、優先順位で考えると、サブフレームとボディとの締結強度を向上させることは、ボディやサブフレーム自体の剛性アップに限らずサスペンションをより高性能なものに変更する場合などそれらアフターパーツの性能を十二分に発揮させるためにも重要なファクターであることは間違いないでしょう。また、特に改造はしないという方にもサブフレームの取り付け精度と締結強度の改善によって、そのクルマ本来の基本性能の良さを体感することができると思います。

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