間が空いてしまいましたが、「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(以下、PEC東京)」体験記の続編であります。

画像: フェルディナント・ヤマグチでございます。前回に引き続き、「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(以下、PEC東京)」を取材した模様をお届けいたします。近日中にCarrera T(992)が納車されるので楽しみです。

フェルディナント・ヤマグチでございます。前回に引き続き、「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(以下、PEC東京)」を取材した模様をお届けいたします。近日中にCarrera T(992)が納車されるので楽しみです。

趣味人が多いであろう、8speed.netの読者のなかには、サーキット走行を嗜まれる方もおられましょう。

しかし実際にサーキットで走ろうとすると、意外と障壁が多いことに気がつきます。

まず車両をどう用意するか。ミニバンやSUVでサーキットを走るわけには行きませんから、スポーツカーが必要です。次にその車両のメンテをどうするか。タイヤにオイルにブレーキパッドの交換に……と、サーキット走行には結構な手間とコストがかかります。

画像: 愛車でサーキットを走るにはそれなりの障壁があるんですよね。そこをクリアにしてくれる(しかもプロドライバーのレクチャー付き)でのがPEC東京というわけです。

愛車でサーキットを走るにはそれなりの障壁があるんですよね。そこをクリアにしてくれる(しかもプロドライバーのレクチャー付き)でのがPEC東京というわけです。

こうしてさまざまな障壁をクリアしてサーキットに行っても、今度は「好き勝手に走れない」という問題にぶち当たる。限らえた時間に多くの参加者が集まりますから、「好き放題」というわけには行かないのです。さらにさらに。運転スキルをどう磨いていくか。

前号でもさんざん書きましたが「我流」はいけません。正解を知らずにブンブンアクセルを開けても決して速く走れるようにはなりません。遠回りになるし、そもそも危険です。正しい知識を持つインストラクターから正しい技術を教わった方が近道です。

画像: PEC東京を上空から眺めると、さまざまなコースが設定されていることが分かります。

PEC東京を上空から眺めると、さまざまなコースが設定されていることが分かります。

その点、PEC東京はふるっています。身ひとつで行けば、予算や好みに応じて整備の行き届いたポルシェに乗ることができる。さらに、プロ中のプロが隣に座って親切丁寧にテクニックを教えてくれる。

画像: 技術だけでなく、教え方も一流のプロドライバーの手ほどきを受けるだけでも、我流ドラテクが「上書き保存」されます。

技術だけでなく、教え方も一流のプロドライバーの手ほどきを受けるだけでも、我流ドラテクが「上書き保存」されます。

長年の運転で染み付いた“癖”をきれいサッパリ洗い流してくれるだけでなく、さらに正しく上書きをしてくれる稀有なプログラムがそろっているのです。

前号ではトラック走行をお伝えしたので、今号では「キックプレート」という世にも珍しい強制スピン発生装置をお知らせしましょう。

この装置は、路面に設置されたプレート上を車両のリヤタイヤが通過する瞬間に、左右にランダムに動かして強制的にクルマをスピンさせるもの。ちょっとイメージが掴みにくいですよね。

走ってくるクルマを複数のセンサーが検知して、ちょうどリヤタイヤが通過する瞬間を狙って、リヤタイヤの真下にある油圧作動式の板が「ガッ」と左右どちらかに動いてしまうのです。

画像: 意図的に状況を作りだしているとはいえ、実際に走らせてみるといきなりクルマ(今回は911)のテールが流れます。

意図的に状況を作りだしているとはいえ、実際に走らせてみるといきなりクルマ(今回は911)のテールが流れます。

走っている人の足元の絨毯をイキナリ引っ張るような感じです。人なら当然大きくバランスを崩しますし、クルマならスピン状態になる。まったく予想外の挙動を示します。

それにしてもこんな極端な現象が、果たして普通にクルマを運転していて起こり得るのでしょうか。

起きるんですねこれが。典型的な例が高速道路上の水溜りで発生する「ハイドロプレーニング現象」です。運転免許の試験以来、久しく聞かなかった言葉ですが、キックプレートはこのハイドロプレーニング現象により、クルマがコントロールを失ってしまった状況を想定しているのです。

実際に走ってみましょう。路面にはよりスピンしやすくなるよう、常時水が散布されています。所定の速度でプレート方向に向かう。ガツンという振動とともに、クルマはいとも簡単に向きを変えてしまいます。左右どちらに動くか分かりませんから、文字どおり「想定外」の動きをします。ここで即座にカウンターステアを当てる。

画像: 「我流」のままではクルマのテールが流れてスピンしてしまうところを、プロドライバーのアドバイスで「スパッ」とカウンターを当てられるようになるのです。

「我流」のままではクルマのテールが流れてスピンしてしまうところを、プロドライバーのアドバイスで「スパッ」とカウンターを当てられるようになるのです。

ステアリング当てるタイミングと、自身の反応速度で、アングル角は大きく変わります。瞬時に正しい舵角でカウンターを当てられると、クルマは意外と簡単に立ち直る。少しでもタイミングが遅れると、かなり大きくステアリングを切ることになる。当然クルマはギクシャクする。大きくスピンすると、自分が向かうべき進行方向を見失ってしまうほどです。

こんなトレーニングが日本で、しかも最新のポルシェで体験できるとはいい時代になったものです。聞けば世界のPECでも限られた施設しか保有しておらず、アジア圏では東京と上海にしか存在しないのだとか。しかし面白い装置を作っている会社があるものですね。

オーストリアはウンターヴァイタースドルフの「Dorninger Hytronics」という会社のシステムだそうです。2008年に設立された、まだ新しい会社です。

とまれ、本当に得難い体験を、しかもパリ物のポルシェで味わうことができたのですから感激至極。読者諸兄もいますぐご予約を!

そうそう。そういえば今週末に注文していた992型の911Carera Tが納車されるのでした。

ちなみに、オーダーしたのは左ハンドルのMT車です。次号では納車のレポートをお届けします。

それではみなさまごきげんよう。

ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(PEC東京)について

画像: ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(PEC東京)について

・URL:https://porsche-experiencecenter-tokyo.jp

・Tel:0120-718-911 / 受付時間:9:00-18:00 (定休日を除く)

・住所:千葉県木更津市伊豆島中ノ台1148-1

・Google Map:https://maps.app.goo.gl/Qm6AdZHFnYtUPjH19

・アクセス(*pdfファイル):https://cdn.porsche.co.jp/pec/images/20220821_accessmap_JP.pdf

・各種お問い合わせ:https://porsche-experiencecenter-tokyo.jp/pages/10

(Text by Ferdinand Yamaguchi & Photo by Porsche Japan & Toru Matsumura)

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