ドイツ人のなんと53%が休暇にはクルマで出かける。まだ目的地が決まっていない人は、われわれのレポートを参考にしてほしい。また、休暇の途中で冒険の旅に出ることもできる。ドイツで12カ所を巡るツアー!

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

画像1: 【Auto Bild】クルマで巡るドイツ

サマーバケーションの時期、われわれのクルマは、DIYの相棒や通勤用のクルマから、逃走用のクルマへと変貌を遂げるのだ。日常生活から、休日に出かける。ドイツ人の53%が、1年で最も美しい週への移動手段として自動車を利用する。タイヤメーカーのコンチネンタルが発表した、「Mobility Study 2022」によれば、飛行機(27%)や電車(22%)よりも、自動車で旅行する人は、はるかに多い。

われわれのお気に入りの旅先は、まさに身近にあるドイツ国内だ。休暇を過ごす人のほぼ3分の1は旅行に出かけるが、ある程度は家にもいて時間を過ごす。しかし、本当の自由を感じるのは、自分のクルマで移動しているときだけなのだ。そして、あまりの美しさに、いつどこで立ち止まるか、休憩するか、宿泊するか、自分たちで決めることができるのだ。

ドイツには83万kmの道路があると推定されているが、連邦運輸省でさえ正確には把握していない。しかし、「都市間道路の長さの統計」からわかることは、自動車専用道路は全体の1.6%もないのだ。

画像: シルト島内には100km/h以上で走れる道路はない。

シルト島内には100km/h以上で走れる道路はない。

その代わり、石畳とニョキニョキと木が左右に生えたデコボコの大通りでくつろぐことができる。また、ドイツで最も曲がりくねったアスファルトの道、オーバーヨッホ峠を走ることもできる。「ドイツ時計通り」、「ベルタ ベンツ記念道路」など、美しい名称の区間もある。

ちなみに、ベンツ夫人は1888年に、マンハイムからプフォルツハイムまでの106kmの世界初の長距離旅行に挑戦している。しかも、たった1日で。

1988年からは、道路交通法上の標識番号386.3の「観光案内板」が、立ち寄る価値のある場所を示すようになった。これは高速道路沿いにある茶色の看板で、「リンゲルナッツ市 ヴルゼン」やフリードリヒスルーの「ガーデン オブ ザ バタフライ(蝶の庭園)」を指す(フリードリヒスルーではビスマルク翁の霊廟もお勧めだが、それはついでにということだ)。2006年には約620枚だった観光案内板は、現在全国で3,400枚以上になっている。

それは、何十年もの間、子供や子供の子供、多くのものは「ビートル」でブレンナー峠を越えてイタリアまでドライブしてきたわれわれが、少しは祖国を好きになった証拠かもしれない。そして、リューネブルク ヒースやハルツ、黒い森は、年金生活者のための目的地と考えられていた。しかし、2019年、ハルツ応用科学大学の調べによれば、6人に1人のドライバーは、茶色の案内板の広告を見て自発的に車をハルツに向けて走らせていたそうだ。

そして、まだまだある。これから休暇に出かける人は、休みの計画を立ててみてはいかがだろうか。ジンスハイム技術博物館で24ユーロ(約3,300円)、アインベックのPS.ストレージで18ユーロ(約2,500円)使ってみてほしい。トイレもついていて、とてもいい時間が過ごせる。

アルプス街道〜106のカーブと25の城

最大12%の勾配。バイエルン州の名所を結ぶドイツ最古の休暇道路(1927年開通)だ。ボーデン湖畔のリンダウからケーニヒス湖畔のシェーナウまで、全長484kmのドイツアルプス街道がある。

画像: オーバーヨッホ峠道を越えるドライブは、標高300mに106のカーブがあるドイツで最も曲がりくねった道だ。

オーバーヨッホ峠道を越えるドライブは、標高300mに106のカーブがあるドイツで最も曲がりくねった道だ。

そのルートには、25の城、修道院、宮殿(ノイシュヴァンシュタイン城!)が道中に横たわっている。ドイツで最も曲がりくねった106のカーブがある標高300mのオーバーヨッホ峠道の走破も含む。

www.deutsche-alpenstrasse.de

ボクスボイテル街道〜さあ、ワインを飲みに行こう!

アルコールと運転は、相反するものなのは自明の理だが、ボクスボイテル街道のフランケンの最も美しいワイン生産地域を通り、「Bullenheimer Paradies2」または「Neundorfer Wonne2」と呼ばれるブドウ畑があり、ブドウの品種はシルヴァーナとミュラー トゥルガウである。もちろんワイナリーも多数ある。

www.bocksbeutelstrasse.de

ポルシェ ミュージアム

ツッフェンハウゼンのポルシェ博物館には、100台近い展示物がある。ポルシェ356「No.1」ロードスター、各世代の911、ポルシェ550、917などだ。そして、フェルディナンド ポルシェ博士の最初のデザインした車はすでに電気自動車であったことを知ることができる。

www.porsche.com/germany/aboutporsche/porschemuseum

194kmベルタ ベンツ記念ルート

1888年8月、ベルタ ベンツ(カールの妻)は、自動車による世界初の長距離旅行に挑戦した。1日で106kmを走破! ヴィースロッホの薬局で洗剤を燃料として買い、ベルサはハットピンとガーターでちょっとした修理をしたと記録されている。その際の彼女のメモリアルルートは、194kmに及ぶ。

www.bertha-benz.de

ジンスハイム自動車・技術博物館〜排気量47Lの車

外ではコンコルドやツポレフTu-144といった超音速機が空に向かって鼻の下を伸ばしている。「バック トゥ ザ フューチャー」のデロリアンDMC-12や、1907年の実験レーサー「ブルータス」などが展示されている。ブルータスのエンジン排気量は47L!

画像: ジンスハイム自動車・技術博物館は、足場会社で富を得た実業家エバハルト レイハー(1921-2012)が1981年に設立したものである。

ジンスハイム自動車・技術博物館は、足場会社で富を得た実業家エバハルト レイハー(1921-2012)が1981年に設立したものである。

www.sinsheim.technik-museum.de

ニュルブルクリンクでひと休み!

20.832km、73のカーブ、標高差300m。伝説のニュルブルクリンクを1周するためだけにドイツにやってくる観光客も多くいる。ノルトシュライフェ(ニュルブルクリンクサーキット北コース、通称“緑の地獄”)を1周すると、25~30ユーロ(約3,500~4,200円)かかる。しかし、伝説のサーキットを自分のクルマやバイクで走れるのは、またとない体験だ。

www.nuerburgring.de

PS.ストレージ アインベック〜オールディーズの隣で一夜を過ごす

長い歴史を誇るモビリティ オン ホイール。1899年に建てられたアインベック穀倉地帯(ニーダーザクセン州)には、ヨーロッパ最大のクラシックカーコレクションがあり、自動車とバイクのクラシックモデル、あわせて約2,500(!)台が展示されている。「楽しむ工房」を併設したホテルもある。そして、望めば、ここで結婚式もあげることができる。ちなみに、創業者は、現在85歳のカーペット企業家カール ハインツ レヒコップ氏である。

www.ps-speicher.de

ドイツのグリーンベルト、Alleenstraße(アレイン通り)

1990年秋に、ドイツ自動車連盟に、このドイツ民主共和国のアベニューを保存するよう求める手紙が寄せられた。バルト海に浮かぶリューゲン島からボーデン湖に浮かぶライヒェナウ島まで、全長3,000kmに及ぶドイツ街道は、「言うは易し、行うは難し」のドライブコースである。

画像: 現在、ドイツ街道はバルト海に浮かぶリューゲン島からボーデン湖に浮かぶライヒェナウ島まで、約3,000キロメートルの道のりを走っている。

現在、ドイツ街道はバルト海に浮かぶリューゲン島からボーデン湖に浮かぶライヒェナウ島まで、約3,000キロメートルの道のりを走っている。

www.alleenstrasse.com

ドライブイン シネマ ゼンポウ〜もう一度星空の下でシネマをエンジョイする

『ダーティダンシング』から、アイスランドの悲喜劇『ダルスミンニのミルク戦争』まで、ゼンポウ(ブランデンブルク州)では、昨年の夏から再び野外シネマが開催されている。1970年代にドイツ民主共和国初、そして唯一のドライブインシネマとして設立された。ドライブインシネマの入場料10ユーロ(約1,400円)。

www.autokino-zempow.de

ミニチュアで巡る世界、ミニチュアワールドランド ハンブルク

ちょっと移動手段を変えてみましょう。「ミニチュア ヴンダーランド」は、世界最大の鉄道模型というだけではない。2016年には、ドイツで最も人気のある観光スポットに選ばれたほどだ。ミニチュアとはいえ、16kmの線路、1,120本の列車、3,700万ユーロ(約51億8千万円)の建設費!? 必見だ。ワンダーランドの動画は、YouTubeだけで最大2,700万回再生されている。

www.miniatur-wunderland.de

ザンクトペーター=オルディング〜クルマでビーチへ

3月中旬から10月末まで、北海に面したザンクトペーター=オルディングでは、幅2kmのカービーチがオープンしている。ビーチの駐車場は1日8ユーロ(1,100円)だ。

画像: 3月中旬から10月末まで、北海に面したザンクトペーター=オルディングでは、幅2kmのカービーチがオープンしている。

3月中旬から10月末まで、北海に面したザンクトペーター=オルディングでは、幅2kmのカービーチがオープンしている。

しかしこのビーチの駐車場は、夜の10時30分に退出しなければならない。宿泊は禁止だ。駐車場では「車両は他の駐車場と同じく整列駐車してください」と当局がアナウンスしている。

www.st-peter-ording.de

シルト〜ドイツで最も高価な道路

この島は全長38kmしかなく、道路なども非常に狭い。そのため島の中はどこも100km/h以上のスピードを出してはいけないが、クルマ(もちろんポルシェが望ましい)で島を一回横断すること、それが夢だ。中でも、ドイツで最も高価な(住宅)通りであるカンペンのホボケンの道は、全長500メートル、中には3,000万ユーロ(約42億円)の住宅も立ち並ぶ道路だが、クルマで走ることができる。ドイツ最北の自動車販売店もある。もちろんその店舗はポルシェの販売店だ。

www.sylt.de

最後に……。先日、旅行先で、わざと高速道路を時々降りた。偶然にも、バーデンバーデン高速道路の壮大な教会、フォッケローデの100年近く前の発電所、コンコルドの隣に駐車した車、そしてエルベ川のすぐそばで昼食をとることができた。絶景、まさに絶景。高速道路を降りると、そこには素敵な景色と町が待っている。

(Text by Holger Karkgeck / Photos by autobild.de)

画像2: 【Auto Bild】クルマで巡るドイツ

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