3代目に進化したAudi A5のなかから、2.0 TDIとquattroを採用するAudi A5 TDI quattro 150kWを試乗し、その実力を確かめた。

画像1: 【試乗記】Audi A5 TDI quattro 150kW

Audi A4とAudi A5が統合

2007年に登場したAudi A5は、Audi A4をベースにしたミッドサイズクーペとしてデビューした。その後、ソフトトップを備えるカブリオレや、4ドア(正確には5ドア)のクーペであるスポーツバックが加わり、「A4よりもスタイリッシュな存在」として支持を集めてきた。2016年登場の2代目A5もその流れを踏襲している。

しかし、今回登場した3代目Audi A5では状況が一変する。ボディタイプはSedanとステーションワゴンのAvantのみとなり、同時にAudiのラインアップからA4が姿を消した。

これは、Audiが進めていたモデルシリーズ再編の一環によるもの。偶数モデルをBEV(電気自動車)、奇数モデルをICE(内燃機関車)とする命名ルールのもと、Audi A4とAudi A5を統合して誕生したのが新型Audi A5だ。その過程で、クーペやカブリオレ、スポーツバックは整理され、セダンとAvantが残るかたちとなった。

もっとも、この命名ルールは2025年に撤回されており、結果的にA4とA5だけが少々ややこしい立場になってしまったのも事実だ。

とはいえ、そんな事情を忘れさせるほど、新型Audi A5の中身は充実している。新開発の縦置きエンジン用プラットフォーム「PPC(プレミアムプラットフォームコンバッション)」を採用し、デザイン、技術、インテリアのすべてが大きく刷新された。もはや“フルモデルチェンジ”という言葉では足りないほどだ。

Sportbackの発想を取り入れた、新しいSedan

とくに注目したいのがSedanのデザインだ。従来のAudi A4 Sedanが一般的なトランクリッドを備えていたのに対し、新型Audi A5 Sedanはリヤウインドーごと大きく開くハッチバックスタイルを採用している。サッシュレスドアこそ備えないが、旧Audi A5 Sportbackの実用性を受け継いだ格好で、「Audi A5」を名乗る理由にも納得がいく。

画像: Sportbackの発想を取り入れた、新しいSedan

ボディサイズもひと回り大きくなり、旧Audi A4比で全長は65〜75mm、ホイールベースは70mm拡大。存在感は上級モデルのAudi A6に迫るほどだ。

フロントマスクはおなじみのシングルフレームグリルを備えつつ、グリルとボンネットが明確に分離された新しい表情に。これまで以上にグリルの存在感が際立ち、ひと目で最新世代のAudiと分かる。

デジタル化が進んだコックピット

フラップ式のドアハンドルに触れて室内に入ると、そこにはこれまでとはまったく異なる空間が広がる。大きく湾曲したMMIパノラマディスプレイに加え、助手席用のMMIパッセンジャーディスプレイを装備。インテリアは一気に未来的な印象になった。

物理スイッチは最小限に抑えられているが、ライト操作がダッシュボードからドア側へ移された点はやや慣れが必要かもしれない。ただ、オートライトが前提のいま、大きな不満にはならないだろう。

後席の居住性も向上している。ホイールベースの拡大により、膝元には拳2〜3個分の余裕を確保。身長168cmの筆者でも、パノラマグラスルーフ装着車で頭上に拳1個分ほどのスペースがあった。

ラゲッジスペースは奥行き約110cm。シートを倒せば170cm以上まで拡張できる。リアハッチのおかげで荷物の出し入れはしやすいが、開口部と荷室フロアの間に約10cmの段差があり、大きな荷物を引きずり出す際は少し気になる。

扱いやすさとスポーティさを両立した走り

今回試乗したのは、204psの2.0 TDIが搭載される「Audi A5 TDI quattro 150kW」で、7速Sトロニックが組み合わされる。

注目すべきが、「MHEV plus」と名付けられた新世代の48Vマイルドハイブリッドシステムの採用である。従来のマイルドハイブリッドとは制御思想が異なり、走行フィールにも明確な違いが表れている。

ブレーキペダルから足を離すと、車両はゆっくりとクリープを開始する。従来であればエンジンが即座に始動し、そのまま車両が動き出していた場面だが、新型Audi A5 TDI quattroでは挙動が異なる。車両が動き出した後、遅れてエンジンが始動するのだ。これはエンジンが十分に暖まっている条件下では、発進をMHEV plusのモーターであるPTG(パワートレインジェネレーター)が担うためで、短距離ながら電力のみでの走行を可能としている。その結果、発進はきわめてスムーズで、エンジン始動に伴う違和感を意識させない。

また、PTGのアシストによりアクセル操作に対するレスポンスも良好だ。もともと太いトルクを持つ2.0 TDIエンジンだが、その立ち上がりがより鋭くなった印象を受ける。加えて、ディーゼルエンジン特有の振動やノイズはしっかりと抑え込まれており、快適性の面でも完成度は高い。

ふだん走行する分には1800rpm以下でほとんどカバ−できるほど低速トルクは強力。一方、アクセルペダルを踏み込めばさらに勢いを増し、3000rpmから4000rpm超えまで、力強い加速が味わえる。

MHEV plusを搭載したことで、走行中にアクセルペダルを戻すとエンジンが完全に停止する場面が頻繁に見られる。軽い加速であればPTGのみでの走行も可能で、より静かで滑らかなドライビングフィールを実現している点は、このシステムの大きな特徴と言える。

マイルドハイブリッド車では、減速時のエネルギー回生と機械式ブレーキを協調制御するケースが一般的であり、MHEV plusも同様の仕組みを採用する。こうした制御では、ブレーキペダルの踏力に違和感が出ることも少なくない。このAudi A5 TDIでも、低速域で多少不連続な印象があるものの、さほど気になるレベルではなかった。

この試乗車にはS lineパッケージをはじめ、ダンピングコントロールSスポーツサスペンションが含まれるテクノロジーパッケージプロ、ラグジュアリーパッケージSファインナッパレザーなどといったオプションが装着されている。さらに、20インチのアルミホイールとタイヤも追加されるのだが、季節柄、スタッドレスタイヤが装着されており、タイヤサイズも245/40R19にインチダウンされている。

そのため、走りに関しては本来とは少し異なると思われるが、乗り心地は比較的マイルドで、目地段差を越えたときのショックの遮断もまずまずといったところ。高速走行時の落ち着き、いわゆるフラット感も上々で、ロングドライブには打ってつけのセッティングといえる。

燃費についても、“スタッドレスタイヤ参考値”だが、ACCを使って高速道路を100km/h巡航した場合が18.6km/L。一方、比較的信号が少ない一般道を走行したときが21.2km/Lで、MHEV plusとTDIの組み合わせが低燃費に貢献しているのがわかる。

Audi A5 TDI quattroの試乗を終えて、PPCプラットフォームの実力を改めて実感するとともに、Audi A5がAudiの主力モデルにふさわしい仕上がりであることが確認できた。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Satoshi Ubukata, AUDI AG)

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