アウディは2024年3月5日、フランクフルトに6番目のAudi charging hub(アウディチャージングハブ)をオープンと発表した。
ステーションが設置されたオーバー通り(Orber Straße)では、4つの急速充電(HPC)ステーションを備え、アウディに限らずあらゆるメーカーの電気自動車が、最大320kWの出力で充電することが可能だ。
回転式アームにより、充電ケーブルの重量は約60%削減される。そのため、車椅子に乗る人でも、片手で車椅子を動かしながらCCSコネクターを持つことができる。また、屋根が設置されているため、雨天時にも濡れずに充電することが可能だ。さらに、回転式アームにより充電ソケットが車両の前後左右どちらの側に設置されていても問題なく充電することができ、ドライバーは停車位置に気を使う必要がなくなるメリットもある。また、自動ケーブルは自動でアームに格納されるので、充電ケーブルにつまずいたり、車椅子の進路を妨げたりすることもない他、常に乾いた状態で使用できる仕様となっている。
フランクフルト市議会議員で経済・法律・都市マーケティング部門の責任者 ステファニー ヴュスト氏は、「フランクフルト中心部では、数多くの電気自動車が走っています。同時に、充電ポイントの数も増え続けています。Audi charging hubは、新たな充電ポイントとして利用されるだけでなく、隣接するクラシックシュタットで待ち時間を楽しく過ごすこともできます」と述べ、市内およびその周辺での急速充電は、自宅や職場でクルマを充電できないドライバーにとって特に重要だと指摘する。
Audi charging hub導入展開管理責任者 ニコライ ゼンスト氏は「フランクフルトでは、年間約5,000回の充電需要が見込まれています。ここでも、他の場所と同様に、お客様のリピート率は高くなるだろうと見込んでいます」と述べる。
ニュルンベルクでは、2021年12月から、6つの充電ポイントと2階に200m2のラウンジを備えたAudi charging hubを運営しており、リピート率は約70%となっている。このハブはアウディに限らずすべてのブランドのドライバーが利用できるようになっている。さらに、アウディのユーザーは、myAudiアプリを介して、オンラインで充電スロットを予約することも可能だ。
また、Audi charging hubには、解体されたe-tronのテスト車両から取り外したセカンドライフバッテリー(使用済みバッテリー)を使用している。その結果、アウディは現地で利用可能な低圧電源を利用することができ、追加の変圧器を設置する必要がない。一時的なバッテリー蓄電能力は、4つの充電ポイントで合計約1.05MWhで、これは60台の車両を続けて充電できるエネルギー量に相当する。
すべてのユーザーが容易にアクセス可能できるAudi charging hub
4つの充電ポイントの左右には、車椅子を利用する人が移動できる十分なスペースがあり、車両のドアをいつでも大きく開けておくことができる設計だ。アウディオーナーのウーヴェ ヘルマン氏は「私たち車椅子ユーザーにとって非常に役立つ機能です」とコメントする。
アウディのブランドアンバサダー ゲルト シェーンフェルダー氏も「このようにAudi charging hubは、身体に障害を持つユーザーが迅速かつ便利に充電するための理想的な場所となるだけでなく、回転式アーム、充電ステーション間の十分なスペース、高さ調整可能なディスプレイがあることで、誰もがバリアフリーコンセプトの恩恵を受けることができます」と述べている。
シェーンフェルダー氏は、冬季パラリンピック競技大会のスキー種目で16回の金メダルを獲得し、ワールドチャンピオンにも14回輝いている。同氏は「回転式アームは私にとっても大きな助けになります」と語る。
腕を失っている彼は、運転補助装置を装着したAudi Q4 e-tronを運転している。2007年、アウディは、コンフィギュレーターに運転補助装置を組み込んだ最初の自動車メーカーになりました。「急速充電、快適性と利便性、そして価格に至るまで、パッケージ全体が非常に魅力的です」とシェーンフェルダー氏は付け加える。この急速充電ポイントの利用料金は、アウディのお客様の場合、契約に応じて、0.35ユーロ/kWhからに設定される。
カメラを通じてヒントおよびサポートを提供
ベルリンとミュンヘンでのテストに続き、フランクフルトでもカスタマーサービスコンセプトが初めて採用され、特別なトレーニングを受けたスタッフが、カメラを通じてヒントやサポートを提供している。
サポートアドバイザーは、ユーザーの充電プロセスをリモートで確認することが可能だ。認証中に問題が発生した場合は、例えばクレジットカードで支払うオプションを提案することができる。
(Text Toru Matsumura)