12月5日、アウディ ジャパンはAudi Q4 e-tronの発売を機に、東京たま未来メッセ(東京都八王子市)でAudi Q4 e-tron Dynamic Launchを開催したと発表。併せて、アウディが進める電動化戦略Vorsprung 2030に基づいた日本での活動進捗についても触れた。
このAudi Q4 e-tron Dynamic Launchでは、2022年1月に開催した「Audi New Year Press Conference 2022」でアウディの電動化戦略の原動力となるAudi Q4 e-tronの発表から今日に至るまでのマーケット変化、アウディが独自に加速させる変革、サステイナブルな社会の実現の重要性について、ブランド ディレクター マティアス シェーパース氏が振り返った。
同氏は「今年1月にBEVシフトへの意識変革、ディーラーとの更なる連携構築、日本最大級の急速充電ネットワーク構築の重要性について発表以来、日本でのe-tron戦略を着実に実行してきている」と説明。
また、ポルシェジャパンとともに展開する150kW急速充電器ネットワーク「プレミアム チャージング アライアンス」に関しては、新たにフォルクスワーゲン ジャパンが加わったことによりドイツ輸入車3ブランド総合計約210拠点222基の90-150kW急速充電器を段階的に使用可能になることで、3ブランドのオーナーの利便性が高まる日本最大級の急速充電ネットワークを構築したことについても触れた。
トークセッションでは、ドイツからオンラインで参加した AUDI AG最高戦略責任者(CSO:Chief Strategy Officer)シルヤ ピィ氏は、アウディはサステイナビリティを重点分野と据え、世界のトレンド分析を行い、会社の未来を自分たちで作るために、従業員のボトムアップでまとめたアウディの電動化戦略 Vorsprung 2030について話した。
「持続可能な社会の実現は、ひとつの企業の課題ではなく、社会全体のタスク。アウディは、SDGs・ESGを意思決定のプロセスに盛り込み、ブランド変革を着実に進めるとともに、社会全体、政策立案者、他の業界と対話を続け、タイムラインを示し目に見える形で、強いシグナルを送り続ける」と語り、「今、この大切な時、未来のMobilityに関する議論のサポートをお願いします」と加えた。
またゲストの伊藤忠 総研 上席主任研究員 兼 モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアティブ(MOBI)理事 深尾 三四郎氏は、コロナ禍、ウクライナ情勢、半導体不足、電力不足等、世界のさまざまな事情が激変するなか、欧米の視察を終えた印象として、「脱炭素、サステイナビリティの方向性は基本的に変わらない。欧州に加えて、アメリカがEV産業確立に自信を深め、加速している」と述べた。
一方、「Audi Sustainable Future Tour」の事例にもあるように、日本各地のポテンシャルを高く評価。
「これから真のEV元年を迎える。日本にも各地域の強み・個性を引き出すことにより、この難局を乗り越えていくチャンスがある。特に、エネルギーの地産地消、サーキュラーエコノミー領域で、ボーダーレスに世代間、官民連携、産業を超えて、対話を継続することにより、事業成長の大きなチャンスがある」と語り、「日本でも、EVと再生可能エネルギーを中心とした、新しいエコシステムを作る議論が高まることを期待している」と締めくくった。
またシェーパース氏は、「日本において、地域に目を向けるとSDGsに対するパッションを強く持つ方が多くいる。世の中がSDGsの意識が高まっている中で、自動車メーカーとして我々がどのように見られているか、そして地方、街、電気自動車この3つの要素に対して、どのようなハードルがあるのかを議論する場を設けてきた。ポテンシャルの高い再生可能エネルギーの活用が近年少しずつ増えてきている。この機を逃すことなく、これからも持続可能な社会の実現の重要性を訴えていくためにも、対話の継続が必要である」と語った。
(Text by Toru Matsumura)