デビューから4年を経て初のマイナーチェンジを実施した「Audi Q2」。その最新モデルをチェックした。
Audi Q2のワールドプレミアは2016年3月のジュネーブショー。このプレミアムコンパクトSUVが、デビューから4年あまりが経過した2020年9月に、初のマイナーチェンジを実施した。日本でも、2021年2月に新型が発表されていたが、予定より少し遅れてデリバリーが開始されている。
マイナーチェンジの内容については上の記事をご一読いただくとして、今回試乗したのは、フェンダーアーチやサイドシルなどがコントラストカラーとなる「Audi Q2 35 TFSI advanced」。フェンダーアーチやサイドシルなどがボディ同色となる「S line」に比べ、よりSUVらしい雰囲気を手に入れている。
外観がリニューアルされた最新のAudi Q2は、以前に比べて精悍さが増した印象。シャープなデザインのLEDヘッドライトやメリハリを強めたデザインのフロントバンパー、Audi Sport quattroのイメージを受け継ぐ3分割スリットなどが、効果を現しているのだろう。
一方、室内はシフトレバーやエアベントのデザインが変更されてはいるものの、以前と変わらないイメージだ。MMIも最新のタッチパネル式ではなく、MMIコントローラーで操作するタイプが引き続き搭載される。
さっそく走り出すと、新しい1.5 TFSIエンジンを手に入れたAudi Q2 35 TFSI advancedは、以前にも増して活発な印象。これまでAudi Q2の上級グレードには1.4L直列4気筒ターボの1.4 TFSIが搭載されていた。この1.5 TFSIはその進化版で、気筒休止機構のCOD(シリンダーオンデマンド)や高圧の直噴システムなどに採用により、最高出力110kW(150ps)/5000〜6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500〜3500rpmを発揮する。
110kWと250Nmの数字だけ見ると新旧変わらないが、実際に運転してみると、低回転から必要十分なトルクを発揮するとともに、従来の1.4 TFSIに比べてアクセルペダルを踏んだときの反応が素早く、静粛性やスムーズさも向上した印象なのだ。
常用する2000rpm以下で余裕あるトルクを絞り出すこのエンジン、追い越しなどの場面でアクセルペダルを深く踏み込めば、力強く爽快な加速が6000rpm付近まで続く。一方、アクセルペダルに軽く右足を載せている状態では気筒休止機構が頻繁に働き、これを多用するドライビングを心がければカタログ値以上の低燃費が期待できる。実際、高速道路をおとなしく走行したときには25km/Lを超える数字をマークしている。
Audi Q2 35 TFSI advancedの走りは、全高を抑えたデザインも手伝って、SUV特有の上下動やロール、ピッチングなどはよく抑えられており、落ち着いた挙動はとても安心。ハッチバックなどに比べ、215/55R17と大きめなタイヤを履くぶん、目地段差などを超えたときのショックを伝えてくることはあるものの、乗り心地は十分快適なレベルである。
全長4200×全幅1795mmの扱いやすいサイズや、機械式駐車場に対応する1500mmの全高など、運転も駐車もしやすいのはうれしいかぎり。取り回しの良いコンパクトカーを探している人は、選択肢のひとつとして忘れないでほしい一台である。
(Text & photos by Satoshi Ubukata)