2021年3月23日、Audiの新型EV「Audi Q4 e-tron」の生産がドイツのツヴィッカウ工場でスタートした。

Audi Q4 e-tronは、フォルクスワーゲン グループが開発する「MEB(モジューラーエレクトリフィケーションプラットフォーム)」を採用するSUVタイプの電気自動車だ。

生産を担当するのが、ドイツにあるフォルクスワーゲン ザクセン社のツヴィッカウ工場。ここはフォルクスワーゲンの「ID.3」「ID.4」が生産されるeモビリティ専用工場で、フォルクスワーゲン傘下の3ブランド、6モデルの生産が予定されている。

画像3: 「Audi Q4 e-tron」の生産がAudi創業の地でスタート

Audiの電気自動車がドイツ国内で生産されるのは、このツヴィッカウ工場が初めて。実はこのツヴィッカウはAudiにとって縁の土地である。

Audiの前身である「Auto Union(アウトウニオン)」は、「Horch(ホルヒ)」、「Audi」、「DKW(デーカーヴェー)」、「Wanderer(ヴァンダラー)」という4つの自動車ブランドが、第一次世界大戦後の不況を乗り切るため、1932年に統合して生まれた企業である。

画像4: 「Audi Q4 e-tron」の生産がAudi創業の地でスタート

このうち、HorchとAudiは、アウグスト・ホルヒによって設立された会社。自動車エンジニアだったアウグストが自らの名を冠した自動車「Horch」を創立したのは1899年のこと。1901年には1号車のテスト走行を行い、その後は高級車メーカーとして歩み始める。技術志向のアウグストは技術開発やモータースポーツ活動に力を入れるが、そのやり方が当時の経営陣から反発を買い、1909年、アウグストはHorchを去ることになる。

そこでアウグストが新たに立ち上げたのがAudiだった。新会社は当初社名に「Horch」の文字が入っていたが、Horchからの差し止めを受け、Horch(ドイツ語で“聞く”の意)と同じ意味を持つラテン語の「Audi」を社名に使うことにした。

このHorchとAudiは、いずれもツヴィッカウを本拠としており、Auto Unionに統合されたあとも、それぞれのブランドのクルマを生産し続けたが、ドイツが第二次世界大戦に敗れ、ザクセンがロシアの占領下となったことでAuto Unionが消滅。HorchとAudiのツヴィッカウ工場はVEBザクセンリンクとして「トラバント」を生産することになった。

ドイツ再統一後の1990年、この工場はフォルクスワーゲン ザクセン社に生まれ変わり現在にいたる。Audi Q4 e-tronは、Audi創業の地で久しぶりに生産されるAudiということになる。

画像7: 「Audi Q4 e-tron」の生産がAudi創業の地でスタート

Audi Q4 e-tronは、2021年4月半ばにワールドプレミアが予定され、2021年夏にはヨーロッパで販売が開始される。

(Text by Satoshi Ubukata)

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