お借りしていた「Audi e-tron Sportback 55 quattro 1st edition」で“電費”をチェックしたことは、前回のブログで紹介しました。
今回は、いろいろな場所で充電したときのお話です。
私の家には電気自動車を充電できる設備がなく、充電は出先の急速充電ステーションを利用しました。アウディ ジャパンではAudi e-tron Sportbackの導入にあわせて、「e-tron Charging Service」の提供を開始し、「合同会社 日本充電サービス(NCS)」加入の充電器が利用可能です。費用は月会費が5,000円、急速充電器の利用料が1分あたり15円かかりますが、1年目は無料です。
急速充電ステーションの多くは、充電時間が30分に設定されており、Audi e-tronの特設サイトには「30分で航続可能距離約117kmまで充電が出来ます」とあります。では、実際に30分の充電でどれだけ航続距離が増えたのでしょうか?
下の表が急速充電の記録で、「大黒」が首都高速道路、それ以外は東名高速道路のSA/PAになります。充電時間は大黒PAが20分、それ以外は30分でした。
オドメーター (km) | 990 | 1083 | 1132 | 1169 | 1333 | 1382 | 1494 | 1547 |
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充電開始時電池(%) 走行可能距離(km) | 25 | 17 | 27 | 48 | 13 | 27 | 24 | 39 |
94 | 57 | 105 | 183 | 49 | 92 | 95 | 161 | |
充電終了時電池(%) 走行可能距離(km) | 47 | 39 | 58 | 61 | 43 | 49 | 51 | 66 |
172 | 130 | 214 | 231 | 161 | 169 | 205 | 273 | |
充電量(kWh) | 18.0 | 17.8 | 25.1 | —— | 24.9 | 17.9 | 22.6 | 23.1 |
増加した電池残量(%) 増加した航続距離(km) | 22 | 22 | 31 | 13 | 30 | 22 | 27 | 27 |
78 | 73 | 109 | 48 | 112 | 77 | 110 | 112 | |
充電時間(分) | 30 | 30 | 30 | 20 | 30 | 30 | 30 | 30 |
充電場所 | 港北 | 足柄 | 海老名 | 大黒 | 海老名 | 足柄 | 牧之原 | 浜名湖 |
充電器出力(kW) | 40 | 40 | 90 | 35 | 90 | 40 | 50 | 50 |
これからわかるのは、同じ30分間の充電でも、場所(正確には充電器)によって、充電量が違ってくること。充電器によって出力が違うので、これは当然の結果です。充電器の出力が小さければ充電量は少なく、反対に出力が大きければ充電量は多くなります。
単純計算では、30分間の充電量は、
- 40kW充電器:40kW×0.5h=20.0kWh
- 50kW充電器:50kW×0.5h=25.0kWh
- 90kW充電器:90kW×0.5h=45.0kWh
となります。ただ、実際には充電中に電力が変動するので、40kW充電器では約18kWh、50kW充電器では約23kWhという充電量になりました。
これに対し、海老名SAの90kWは、充電量が約25kWhと多いのがわかります。「でも、90kWで30分なら45kWh充電できるんじゃないの?」と疑問を持つ人も多いはずです。これは、Audi e-tron Sportbackの急速充電が50kWまでしか対応しておらず、90kW充電器を使っても50kWで充電が行われるからです。それでも、30分できっちり25kWh充電できるので、もし空きがあれば90kW充電器を選んだほうが効率的といえます。
航続距離の増加については、直前の走り方で距離が変わるので、実際に走れる距離とは異なってきますが、50kW充電器や90kW充電器を選べば、走行可能距離を100〜110km伸ばすことは可能のようです。
ただ、高速道路で1時間/100km走って30分充電というパターンを繰り返してしまうと、なかなか目的地に着かないので、バッテリー残量がギリギリの状態で急速充電を繰り返すようなドライブ計画を避けるのが、このクルマの上手な使い方といえそうです。
(Text by Satoshi Ubukata)