クルマのトラブルで最も多いのは何かご存じですか? 実はバッテリー上がりが一番多いんです。 JAF(日本自動車連盟)によれば、ロードサービスの救援依頼の原因として最も多いのがバッテリー上がり。2013年のデータを見ると、その比率は約35%と高く、約13%で2位のパンクを大幅に上回っています。
※2014年10月の記事を再構成して掲載しました。
バッテリー上がりの原因には、ライトやハザードランプなどの消し忘れや、エンジンをかけずにオーディオ/カーナビをオンのままにしたなど、ドライバーのうっかりミスが挙げられます。そして、バッテリーの寿命も。
ひと昔前は、「エンジンがかかりにくくなったり、ライトが暗いと感じたらバッテリーの寿命が近づいている証拠なので、早めに交換しましょう」というのが"常識"でした。ところが、バッテリーの高性能化が進んだ現在、この常識が通用しなくなっているのです。
私自身もこんな経験がありました。Audi車ではありませんでしたが、立体駐車場にクルマを停めてショッピングしたあと、クルマを出そうとしたらいきなりバッテリーが上がっていた......。前述のような予兆は皆無でしたし、ライト類の消し忘れもありませんでしたから、あまりに突然のトラブルで、信じられませんでした。
同様の事態はAudi車でも起こりえます。どうやら、Audiに搭載される高性能純正バッテリーは寿命が長く、寿命の最後まで高い性能を維持するぶん、バッテリー上がりの予兆が感じにくくなっているというのです。
エアコンなどの使用により、バッテリーに負担が大きくなるのが夏。「備えあれば憂いなし」ということで、Audi正規ディーラーにクルマを持ち込んで、早めにバッテリーを交換することにしました。
念のため専用テスターを使い、バッテリーの状態をチェックしてもらいました。これはバッテリーの内部抵抗からその"健康状態"を診断するものです。判定は「良好」でしたが、早めの対策に越したことはありません。
さっそくバッテリーの交換作業が始まりました。Audi A6の場合、バッテリーはラゲッジスペースの床下にありますが、メカニックがボンネットを開けています。見るとバッテリーを外しても電源が落ちないよう、バックアップ電源を取り付けていました。こうすることで、オーディオをはじめ、各種設定がリセットされずにすむからです。こういった配慮がプロのワザですね!
さっそくバッテリーを取り外しますがAudi A6用ともなるとサイズが大きいうえ、見た目以上に重くて驚きます。不用意に持ち上げると腰を痛めてしまいそうなので、プロに任せるのが最善ですね。
ここで肝心なのが、交換の前後でサイズや容量が同じものを使うこと。さらに、同じタイプであることも重要です。
実はこのバッテリーは「AGM(Absorbed Glass Mat)」と呼ばれるタイプで、ガラスマットに電解質を浸透させた構造のもの。振動に強く、完全密閉構造のためメインテナンスも不要です。さらに、スタートストップシステム(アイドリングストップ機能)やブレーキ回生システムに対応しています。
最近のAudi車はスタートストップシステムが多くのモデルで採用されていますが、スタートストップシステム付きのクルマに従来型のバッテリーを載せてしまうと、必要な性能が得られないばかりか、頻繁なエンジン始動に耐えられず、大幅に寿命が短くなってしまうそうです。無駄な出費を避ける意味でも、純正バッテリーがお勧めなのです。ちなみに、Audi純正バッテリーは2年保証が付いているので、2年ごとの交換が良さそうですね。
新品バッテリーに載せ換えたあとに、もうひと手間。車両のコンピューターに新しいバッテリーの情報を登録します。こうすることで、車両は純正バッテリーが搭載されたことを認識し、バッテリーの充放電をきめ細かく監視できるようになるのです。
ということで、やはり本当の安心を求めるなら、Audiのプロの作業でAudi純正バッテリーに交換するのがベスト。ロードサービスのお世話にならないためにも、早めの対策が大切ですね!
(Text by Satoshi Ubukata)