120224-A7-02.jpg報告するには、ちょっと時間がたってしまいましたが、今年もJAIA主催の輸入車試乗会に参加しました。ここにお集まりの皆さんが注目するモデルにも乗ってきました。アウディA7スポーツバック3.0TFSIクワトロとA5 2.0TFSIクワトロ。よかったどうかについては、クルマの登場直後に他の皆さんがもう散々報告なさっていると思いますが、僕も報告します。よかったです。 しかし。

しかしです。ここ数年、アウディの新車に乗ってよくなかった試しはありません。それはアウディに限らず、メルセデス・ベンツに乗ってもBMWに乗ってもそうです。◯◯◯◯や□□□□なんかはよかったり悪かったりし、それから△△△△なんかは悪かったのがもっとひどくなったりもしますが、前述3ブランドの新車は、乗ると必ず、旧世代より動力性能も居住性も環境性能も向上しています。

デザインについては、専門家はともかくユーザー目線では、よし悪しよりも好き嫌いの問題になってくるので、なんともいえませんが。また、もしかしたらレザーやウッドなど車内調度品のクォリティに関しては、昔のほうがよかった場合もあるのかもしれませんが、エンジニアリング的には必ず向上させてきます。

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僕なんて、つくる方も読む方も高齢化の著しい自動車メディアにあっては、まだまだ"ひよっこ"ですが、それでもアウディ、メルセデス、BMWのニューモデルを3世代ずつくらい乗ってみた経験からいうと、必ずよくなっています。ニューモデルに乗ると、必ず「ああもうこのクラス、この価格帯のベストだな」とか「コレ以上望むべくもないな」と感じます。

こうなってくると、さすがに鈍感な僕でもある疑問を抱きます。「"小出し"にしてんじゃないか?」という疑問です。つまり、5年なら5年のフルモデルチェンジにおいて、本当は同じ値段でもっとよくできるのに、モデルチェンジの度によくなったと感じさせるため、出来のよさをある程度に留め、その次のモデルチェンジに備えているのではないか......と疑ってしまうのです。

これって商売をよく知る人にとっては、「当たり前じゃないか」と一笑にふされてしまうことかもしれません。だって自動車メーカーは一発当ててすぐに店を畳むというわけにいかないでしょうから。ヒット&アウェイには自動車ビジネスは規模が大きすぎます。だからあるモデルチェンジの時点で、すでに次やその次のモデルチェンジまで見据えて開発をしていたとしても不思議ではありません。

一方で、自動車メーカーで日夜クルマをよくしようと努力しているエンジニアには、「失礼なことをいうな! その時点でベストなプロダクトを提供しているに決まっているじゃないか」と怒られるかもしれません。確かに、もっとよくできるのにある程度に留めるのは難しいと思います。なぜならライバルがいるから。留めるべき"ある程度"を間違えてしまうと、出した時点で既にライバルに遅れをとるかもしません。一生懸命つくって売って劣るのなら諦めもつくでしょうが、中途半端に留めて劣っていたら目も当てられませんから。

結局のところ、わかりません。この抽象的な疑問について、自動車メーカーに取材したとしても、職制によっても部署によっても答えは変わってくるでしょう。ただ、自動車メーカーって、進化の度合いがどうもライバル同士そろっているなぁと感じるのは事実です。ある時、突然、瞬間的にライバルを一気に陳腐化させるようなクルマはなかなか出てきません。出てくるのはいつも前の世代よりも少しよくなった、ライバルより少しよくなったクルマです。

ひとつ考えられるのは、自動車の重要部品をすべて自動車メーカーがつくっているわけではなく、エンジンのヘッド、トランスミッション、シート、タイヤ、アクティブ&パッシブセーフティのための部品など、クルマの根幹を左右するような部品ですら、アウトソーシングしているということ。そうした部品を同じサプライヤーから供給してもらっていたら、だいたい似たような性能のクルマのでき具合になり、それにメーカーがひと手間加えるわけですから、ライバルを、あるいは自社の先代を少し上回る商品となるのかもしれません。もしくはもっと単純に、ライバルをバラして研究するから少し上回るのかも。

皆さんは、どう思いますか?

(Text by Satoshi Shiomi)

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