さて、ではそんなAudi A4を走らせてみるとどんな乗り味なんでしょう?
つまりそれだけ4WDを必要としない領域があるということで、そのときFFにしておけば、燃料をセーブできるじゃないかというのがアウディの考え方のようです。
頻繁にFFになっているので、意地悪く、強いブレーキをかけたり、急にハンドルを切りレーンチェンジすると、すぐさまquattroになるんです。時間にして0.2秒ほどということですが、ショックがなく、いつの間にかquattroになっているという印象です。
グリップの高い路面ではわかりにくいのですが、低μのスキッドパッドを走らせてみると、ハンドルを内側に切って軽くアクセルを踏む控えめなきっかけで簡単にリヤがスライドを始めます。リヤを軽く滑らせる浅いドリフトアングルも容易にできるのがこのquattroシステムの特徴の一つ。FR的な感覚でドリフトすることができます。一旦こうしたスライド状態にクルマが陥るとFFにはまずなりません。
たぶんこのあたりのクルマの動きは氷上走行会などで氷の上を走るとよくわかると思います。
というわけで、ちょっとした計測器を付けてチェックしてみました!
それはFFとquattroの切り替えをユニットに流れる電圧とプロペラシャフトの回転数でモニターできるものなんですが、それを見ながら走らせると、思いのほか頻繁にFFになっていることが分かります。アクセルの踏み込み量を少なめにしながら静かに走っていると、わりとかんたんにFFになります。走り出しはquattro、タイヤがスムーズに転がりだすとスーッとFFになります。
車速にして120km/h前後くらいまではFFで巡航することができそうです。
頻繁にFFになっているので、意地悪く、強いブレーキをかけたり、急にハンドルを切りレーンチェンジすると、すぐさまquattroになるんです。時間にして0.2秒ほどということですが、ショックがなく、いつの間にかquattroになっているという印象です。
急ブレーキ時にはハンドルを切りながらクルマが不安定になるような操作もしてみましたが、クルマが不安定になるようなことはありませんでした。なったとしてもそれはquattroでもなるような領域です。
それから、学習能力もすぐれており、頻繁にアクセルを強く踏んだ加速や急ハンドルを繰り返していると、なかなかFFにならなくなります。スキッドパッドも同様で、FFにしたまま走らせることもできるのですが、一旦quattroになるとスキッドパッドを走っている限りそこから再びFFにはなりませんでした。
では、限界領域でのquattroシステムはどうなのでしょう?
グリップの高い路面ではわかりにくいのですが、低μのスキッドパッドを走らせてみると、ハンドルを内側に切って軽くアクセルを踏む控えめなきっかけで簡単にリヤがスライドを始めます。リヤを軽く滑らせる浅いドリフトアングルも容易にできるのがこのquattroシステムの特徴の一つ。FR的な感覚でドリフトすることができます。一旦こうしたスライド状態にクルマが陥るとFFにはまずなりません。
駆動力がしっかりリヤにも行っているので、深めのドリフトアングルの姿勢にも比較的容易にできます。quattroのシステムによるものなのか、リヤへの駆動配分が最大50:50までなので、軽いカウンターステアを当てた状態でドリフトを続けることができるんです。リヤのスライド量が大きくなりすぎてカウンターをたくさん切るといった場面もほとんどありませんでした。
もちろん走り方次第なのでしょうが、すべり出しのクルマの動きがとてもスムーズになっており、限界領域でのクルマの姿勢の乱れも大きくなりにくい、つまりとても穏やかで安定した限界領域の操縦性を持っているように感じたのでした。
たぶんこのあたりのクルマの動きは氷上走行会などで氷の上を走るとよくわかると思います。
(Text by Satoshi Saito)