150923-IAA-10.jpg2015年フランクフルトショーのAudiは、盛りだくさんの話題に彩られていた。まずは、新型A4/A4アヴァント、そしてスポーツバージョンのAudi S4である。 「A4は世界で販売されるAudi車の5分の1を占め、1972年の初代Audi 80を起点とすれば、累計1200万台が売れたモデル」(マーケティング担当取締役ルカ・デ・ミオ氏)だけに、メーカーがかける期待は大きい。

150923-IAA-10.jpg
もう1台のスターは、エクスペリメンタルSUV「Audi e-tron quattro concept」である。最新リチウムイオンバッテリーによって、近未来の目標であるEV走行500km以上を可能にしている。

150923-IAA-11.jpg
コンセプトカー担当プロダクトマネジャーであるM.ラッシュ氏が話す最も苦労した点は、可変式フラップ・テクノロジーなどの助けを借りたエアロダイナミクスの追求で、その成果としてCd=0.25を達成している。すべて有機ELを使用した室内ディスプレイも自慢だ。ちなみに、今やコンセプトカーでは当たり前になったカメラ式ドアミラーは、ラッシュ氏によれば「2年以内に市販車にみられるようになるだろう」との見解だ。

なおアウディは、フルEVによるSUVを2018年から量産することも明らかにした。

Audi A4およびAudi e-tron quattro conceptについては、本サイトの150923-IAA-12.jpg
展示されたニューモデルはそれだけにとどまらない。「Audi S8 Plus」は、A8のSモデルであるS8(520ps)をもとに605psまで強化したものだ。ドイツのハイパフォーマンス系にとっては、大きなライバルができたことになる。

また「SQ5 TDI plus」は、3L V6ツインターボディーゼルを搭載するSQ5 TDI(313ps)を340psまでパワーアップしたものだ。

アウディは世界のメーカーのなかでも自動運転研究に関して、依然トップをゆくブランドのひとつである。今回フランクフルトの会場では、自動運転と非接触チャージングプレートの組み合わせを、屋外の同乗試乗会というかたちで展開していた。

150923-IAA-13.jpg150923-IAA-14.jpg
Audi A3 e-tronのデモカーは1月のラスベガスCES 2015ショーで発表された完全自動運転ではなく、ドライバーがハザードランプ横のスイッチを押し続けていなければ自動パーキングが作動しない仕様だった。

しかし運転席のエンジニア氏によれば、「チャージングプレートの位置決めはプラス・マイナス10cm以内という微妙なもの。そこに自動運転を組み合わせることで、ピタリと正しい位置に車両を停止させることができる」わけで、「ふたつの技術の理想的なコンビネーション」という。

150923-IAA-15.jpg
今回もAudiは、期間限定の巨大特設パピリオン棟を建てて展示した。ビジターはエスカレーターを上り、回廊を通過してゆく。

「Home of quattro」と題されたコーナーは、本物の氷で壁一面が覆われている。

「モータースポーツ」と題した部では、スターティンググリッドが描かれたフロアと、無数の赤いイルミネーションを浴びながら、歴代のAudi製マシーンの写真を鑑賞してゆく。

150923-IAA-16.jpg
やがて辿り着いたメインホールでは、天井に方位磁針が据えられ、その針は壁面に表現されたAudiの4つの世界を順番に指し示すようになっている。壁に貼り付けられた車両はホイールを回転させながら、方向も回転する。

ミラノ万博のパビリオンばり、いやそれ以上の出来である。Audiファンのためのエクスポだ。

150923-IAA-17.jpg
150923-IAA-18.jpgただし肌寒いフランクフルトで前述の氷に囲まれると、かなり冷える。ふと壁際を見ると、エスキモーと思われる人物やペンギンの絵とともに「(滑るので足元)注意」の看板が置かれていた。

その日はプレスデイ初日。記者たちが来る前に、設営関係者のなかに早くも"スリップ"した人間がいたに違いない。氷結路面の怖さを身をもって知った彼は、将来quattroのオーナーとなる可能性が高いだろう。
(文と写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)

大矢アキオ イタリアコラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒業。自動車誌『SUPER CG』編集記者を経てトスカーナ州シエナ在住。『イタリア発シアワセの秘密-笑って!愛して!トスカーナの平日』(二玄社)ほか著書多数。NHK『ラジオ深夜便』現地リポーターとしても十年以上にわたり活躍中で、老若男女犬猫問わず幅広いファンがいる。

This article is a sponsored article by
''.