ほぼ同時期に日本デビューを果たした「Audi A3 Sportback e-tron」と「Volkswagen Golf GTE」。実はこんなところが違っています。
同じ「MQB」モジュールを採用し、同じ1.4 TFSI+電気モーター+大容量リチウムイオンバッテリーを搭載するプラグインハイブリッド(PHEV)の「Audi A3 Sportback e-tron」と「Volkswagen Golf GTE」。基本的な動きは同じですが、多少性格が異なります。
たとえば......
■走行モード
A3 Sportback e-tronとGolf GTEには、それぞれ4つの走行モードが用意されていますが、名前だけでなく、その内容も異なります。
であるのに対し、Golf GTEは
です。このうち、(1)と(4)は同じです。そして、実は(3)も同じ。つまり、Golf GTEの「ハイブリッドモード」はバッテリーの充電量を減らさないよう電気の使用をやや控えめにして走る「ハイブリッドホールドモード」です。実際、走行前と走行後では充電量はほぼ同じレベルに保たれます。
シフトパターンを見比べると、A3 Sportback e-tronとGolf GTEに違いがあることに気づくはずです。A3 Sportback e-tronは、ガソリン車と同じ「D」と「S」であるのに対し、Golf GTEでは「D」と「B」です。「S」がスポーツモードを意味するのに対し、「B」はより強い"回生"ブレーキを使う設定です。
たとえば......
■走行モード
A3 Sportback e-tronとGolf GTEには、それぞれ4つの走行モードが用意されていますが、名前だけでなく、その内容も異なります。
A3 Sportback e-tronは
(1) EV
(2) ハイブリッドオート(充電使用)
(3) ハイブリッドホールド(充電維持)
(4) ハイブリッドチャージ(充電増加)
(2) ハイブリッドオート(充電使用)
(3) ハイブリッドホールド(充電維持)
(4) ハイブリッドチャージ(充電増加)
であるのに対し、Golf GTEは
(1) Eモード
(2) GTEモード
(3) ハイブリッドモード
(4) バッテリーチャージモード
(2) GTEモード
(3) ハイブリッドモード
(4) バッテリーチャージモード
です。このうち、(1)と(4)は同じです。そして、実は(3)も同じ。つまり、Golf GTEの「ハイブリッドモード」はバッテリーの充電量を減らさないよう電気の使用をやや控えめにして走る「ハイブリッドホールドモード」です。実際、走行前と走行後では充電量はほぼ同じレベルに保たれます。
そうなると、両者の違いは(2)ということになりますが、モーターをより積極的に使うという意味では似ていますが、A3 Sportback e-tronのハイブリッドオートでは主役がモーターであるのに対し、GTEモードはあくまで主役はエンジンであり、モーターはアシスト役です。また、GTEモードはパワートレインのレスポンスを高めることに加えて、サウンドによる演出やハードなダンピング設定(連続可変ダンパー付の場合)により、スポーティな走りを実現して「GTI」の血統であることを強くアピールするのが特徴です。
■SとB
シフトパターンを見比べると、A3 Sportback e-tronとGolf GTEに違いがあることに気づくはずです。A3 Sportback e-tronは、ガソリン車と同じ「D」と「S」であるのに対し、Golf GTEでは「D」と「B」です。「S」がスポーツモードを意味するのに対し、「B」はより強い"回生"ブレーキを使う設定です。
たとえば、A3 Sportback e-tronのハイブリッドホールド、Golf GTEのハイブリッドモードで走っているとしましょう。A3 Sportback e-tronで「S」に切り替えた場合は、ガソリン車同様に自動的に選ばれるギヤが低くなり、よりスポーティな走りが楽しめます。また、ガソリンとモーターの出力を最大限まで使う「ブースト」は、通常はアクセルペダルをキックダウンスイッチが入るまで踏み込まないと使えませんが、「S」モードならそこまで踏み込まなくても「ブースト」に領域に入ってくれます。
これに対して、Golf GTEでは「D」と「B」で加速時の特性は変わりません。もし、A3 Sportback e-tronの「S」モードのような走りを楽しみたければ、走行モードを「GTE」に切り替えましょう。
一方、A3 Sportback e-tronとGolf GTEは、アクセルペダルから足を離したときの動きが似ています。どちらも、「D」を選んで走っているときにアクセルペダルから足を離すと、ともに"コースティング"、すなわち、トランスミッションとエンジンのあいだにあるクラッチを開放し、さらにエンジンをオフにして惰力走行をします。
これに対し、「S」または「B」では、モーターで発電することで減速する"回生ブレーキ"を使うことで、ガソリン車でいえばエンジンブレーキのような効果をもたらします。この回生ブレーキですが、アクセルペダルの踏み加減(放し加減)によってその強さを調節することができることと、ガソリン車のエンジンブレーキよりも強力に効くのが特徴です。
これに対し、「S」または「B」では、モーターで発電することで減速する"回生ブレーキ"を使うことで、ガソリン車でいえばエンジンブレーキのような効果をもたらします。この回生ブレーキですが、アクセルペダルの踏み加減(放し加減)によってその強さを調節することができることと、ガソリン車のエンジンブレーキよりも強力に効くのが特徴です。
ちなみに、電気自動車では、この回生ブレーキをうまく使うとブレーキペダルを踏むことなく、アクセルペダルだけで大抵の速度調整が可能です。これは"ワンペダルドライビング"などと呼ばれますが、Golf GTEでも、Eモードで「B」を選ぶと、これに近いドライビングが可能です。しかし、A3 Sportback e-tronでは、EVモードで「S」を選ぶと、強制的にハイブリッドホールドモードとなるため「EVでワンペダルドライビング」というわけにはいきません(ハイブリッドでそれっぽい運転はできるんですが)。さらに、他の走行モードでも、「S」を選ぶと強制的にハイブリッドホールドに切り替わります。
このほかにも、Golf GTEでは消費電力が確認できるのにA3 Sportback e-tronではできないとか、A3 Sportback e-tronは"アウディ ドライブセレクト"があるけれど、Golf GTEはそれに相当する"ドライビングプロファイル機能"が付いていないなど、細かいところで違っているA3 Sportback e-tronとGolf GTE。
個人的には、A3 Sportback e-tronに「B」モードがあったらいいなぁと思うのですが、いかがでしょうか?
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Masayuki Arakawa, Hisashi Uemura)