2014年8月31日、SUPER GT第6戦が行われている鈴鹿サーキットで、私はゲストの到着を待っていました。ゲストの名前は多田大貴(ただひろき)君。クルマが大好きな17歳の少年です。
大貴君の夢は鈴鹿サーキットでSUPER GTを観戦すること。「目の前で繰り広げられる迫力あるレースを自分の目で見たい。エンジン音やスピード感を体感したい」というのが彼の願いです。
ずいぶんささやかな夢だと思われるかもしれません。しかし、大貴君にとっては簡単なことではありませんでした。実は大貴君は幼少期に進行性筋ジストロフィーが発症し、次第に歩行困難に。現在は福島の実家を離れ、仙台の専門病院でこの難病と闘っています。
次に向かったのはピットの裏側。限られた人しか立ち入ることができない場所です。ここでスタッフから、積み上げられているタイヤのことや使われているガソリンのこと、メカニックが使っているヘルメットのことなどの説明を受けるにつれて、大貴君の緊張が徐々にほぐれていくのがわかります。
そうこうしているうちにピットウォークが終わり、ピット裏にAudi Team Hitotsuyamaのドライバーたちが戻ってきました。ここでうれしいサプライズ! 大貴君の目の前でAudi R8のミニカーにドライバーたちがサインし、プレゼントしてくれたのです。
その後、ピット上のホスピタリティラウンジに移動。ここなら、6時間のレースを快適に観戦することができます。
こうして、約6時間に及ぶ鈴鹿1000kmを堪能した大貴君。疲れた表情も見せず、「また見に来たいです!」と笑顔で話していたのが印象的でした。
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)
ずいぶんささやかな夢だと思われるかもしれません。しかし、大貴君にとっては簡単なことではありませんでした。実は大貴君は幼少期に進行性筋ジストロフィーが発症し、次第に歩行困難に。現在は福島の実家を離れ、仙台の専門病院でこの難病と闘っています。
移動には電動車いすを使い、全介助が必要な彼にとって、SUPER GTの観戦は、そう簡単に実現できることではなかったのです。
そんな大貴君のために、「
大貴君は、前日に仙台から名古屋に入り、当日は名古屋からリフトカーで、母御さんとメイク・ア・ウィッシュ・ジャパンのスタッフと3名で鈴鹿サーキットへ。周囲の道路が渋滞していたために予定より少し遅れての到着となりましたが、大貴君に疲れた様子はありませんでした。
大貴君は、前日に仙台から名古屋に入り、当日は名古屋からリフトカーで、母御さんとメイク・ア・ウィッシュ・ジャパンのスタッフと3名で鈴鹿サーキットへ。周囲の道路が渋滞していたために予定より少し遅れての到着となりましたが、大貴君に疲れた様子はありませんでした。
すでに決勝スタートまで2時間を切っており、待ち構えていたAudi Team Hitotsuyamaのスタッフがさっそく大貴君をピットに案内します。ちょうどピットウォークが行われていましたので、まずは本物のGTマシーンの前で記念撮影! 到着して間もないこともあって、大貴君の表情はやや硬めです。
次に向かったのはピットの裏側。限られた人しか立ち入ることができない場所です。ここでスタッフから、積み上げられているタイヤのことや使われているガソリンのこと、メカニックが使っているヘルメットのことなどの説明を受けるにつれて、大貴君の緊張が徐々にほぐれていくのがわかります。
下の写真は、メカニックが使用する無線のインカム(ヘッドセット)を装着してご満悦の大貴君。気分はチーム監督といったところでしょうか。
そうこうしているうちにピットウォークが終わり、ピット裏にAudi Team Hitotsuyamaのドライバーたちが戻ってきました。ここでうれしいサプライズ! 大貴君の目の前でAudi R8のミニカーにドライバーたちがサインし、プレゼントしてくれたのです。
リチャード・ライアン選手、藤井誠暢選手に加えて、この鈴鹿には、Audi Sportファクトリードライバーのクリストファー・ハーゼ選手が第3ドライバーとして来場しており、まさにお宝を手に入れることになりました。
その後、ピット上のホスピタリティラウンジに移動。ここなら、6時間のレースを快適に観戦することができます。
ところが、大貴君はエアコンの効いた部屋を飛び出し、外のバルコニーへ。トイレ休憩を除いて、終始ここで観戦していたそうです。クルマの爆音を聞きたかったから......というのがその理由です。テレビ中継では味わうことのできない生のサウンドをずっと楽しんでいたのでした。
ちなみに、残念ながらリタイアに終わったAudi R8 LMS ultraについては「音が良かった!」と。
こうして、約6時間に及ぶ鈴鹿1000kmを堪能した大貴君。疲れた表情も見せず、「また見に来たいです!」と笑顔で話していたのが印象的でした。
この経験が大貴君にとって忘れられない想い出になるとともに、これを機会に大貴君がもっともっとクルマ好き、レース好きになってくれたらいいなぁと、私は思いました。
そして、私は大貴君のおかげで、クルマ、そして、レースには、人を元気づけ、笑顔をもたらす力があることをあらためて知ることができました。
またどこかのサーキットで大貴君に会える日を楽しみにしています!
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)