Audiのフラッグシップサルーン「Audi A8」がフルモデルチェンジにより4代目に。その進化をプレス試乗会で確かめた。
モデルチェンジのたびに投入される新技術が話題になるAudi A8。4代目の最新モデルも、レベル3の自動運転技術を実用化したということで注目を浴びているのはご存じのとおり。残念ながら法整備などが追いつかず、その最新技術を公道で試すことができないのだが、新型Audi A8が同社の「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」を象徴するモデルであることにかわりはない。
その新型Audi A8の商品ハイライトはニュースををご覧いただくとして、今回試乗したのは、V8の4.0 TFSIエンジンを積む標準ホイールベースの「Audi A8 60 TFSI quattro」。これに、オプションのダイナミック オールホイールステアリング、スポーツパッケージ、パノラミックルーフ、Bang&Olfsen 3Dアドバンストサウンドシステム、アシスタンスパッケージ、HDマトリクスLEDヘッドライト アウディ レーザーライトパッケージ、マルチカラーアンビエントライティングが装着され、締めて1790万円の豪華仕様である。
プレス試乗会では、日本で同日に発表となった「Audi A7 Sportback」もテストしているが、ともに最新のAudiデザインのスタイルを取り入れながら、このAudi A8のほうが落ち着いた品のあるデザインに仕立て上げられているのを、あらためて感じさせられる。
プレス試乗会では、日本で同日に発表となった「Audi A7 Sportback」もテストしているが、ともに最新のAudiデザインのスタイルを取り入れながら、このAudi A8のほうが落ち着いた品のあるデザインに仕立て上げられているのを、あらためて感じさせられる。
さっそく運転席を覗きこもうとドアハンドルに手をかけると、軽く引くだけでドアのラッチが解除される。新型Audi A8に新採用された電動ドアロックの仕業だ。ドアを閉じる際に、半ドアの状態で自動的にドアを引き込むパワークロージングドア機能は、旧型から引き継がれている。
そうはいっても、ドライバーズカーとして位置づけられる標準ホイールベース仕様のAudi A8だけに、その走りはおおいに気になるところで、実際に運転してみると、4.0 TFSIエンジンのスポーティさに心奪われてしまう。
一方、その走りは、標準装着のアダプティブ エアサスペンションにより、実に快適でフラットな乗り心地を示す。Audi A7 Sportbackのダンピングコントロールサスペンションに比べて、懐が深く、鷹揚な動きというのも、フラッグシップサルーンにふさわしい性格だ。
「MMIタッチレスポンス」と呼ばれる新しいインフォテインメントシステムにより、すっきりとしたデザインにまとめられたコックピットは、前述のAudi A7 Sportbackと共通のイメージだが、エアベントの開閉がタッチスイッチになるなど、細かいところにまで「技術による先進」が見られるのは、さすがAudi A8といえる部分だ。
後席は、ホイールベースが3,000mmの標準モデルでも余裕たっぷり。とくに足元は十分すぎる広さで、爪先がフロントシートの下に届かないほど。楽に足を組むこともできて、これなら長時間のドライブも快適に違いない。
後席は、ホイールベースが3,000mmの標準モデルでも余裕たっぷり。とくに足元は十分すぎる広さで、爪先がフロントシートの下に届かないほど。楽に足を組むこともできて、これなら長時間のドライブも快適に違いない。
※コックピットと後席の写真は試乗車とは別のモデル
そうはいっても、ドライバーズカーとして位置づけられる標準ホイールベース仕様のAudi A8だけに、その走りはおおいに気になるところで、実際に運転してみると、4.0 TFSIエンジンのスポーティさに心奪われてしまう。
ポルシェとの共同開発によって生まれ、ポルシェのツッフェンハウゼン工場で生産されるこの4.0 TFSIは、最高出力は460psと、「ポルシェ パナメーラ ターボ」に比べて90ps控えめな仕様だが、それでも、低回転から力強く、アクセルペダルを軽く踏むだけで余裕ある加速を示す。
そして、高速道路の合流などでアクセルペダルを深く踏み込むと、V8特有のスポーティなサウンドを控えめにキャビンに響かせながら、圧倒的な加速を見せてくれるのだ。それでいて、48V電源とマイルドハイブリッドシステムにより、コースティング中のエンジン停止や、広い速度域でのアイドリングストップなど、低燃費の追求も忘れてはいない。
一方、その走りは、標準装着のアダプティブ エアサスペンションにより、実に快適でフラットな乗り心地を示す。Audi A7 Sportbackのダンピングコントロールサスペンションに比べて、懐が深く、鷹揚な動きというのも、フラッグシップサルーンにふさわしい性格だ。
オプションのダイナミック オールホイールステアリングを装着するおかげで、思いのほか機敏なハンドリングを示すのもうれしいところ。従来どおり、セルフロッキングディファレンシャルを用いたquattroを採用するおかげで、コーナー途中でアクセルオンにしたときのハンドリングが、Audi A7 SportbackよりもむしろAudi A8のほうが軽快なのも、個人的には魅力的な部分だ。
高速道路では、アダプティブクルーズコントロール、アクティブレーンアシスト、トラフィックジャムアシストを統合したアダプティブドライブアシスタントを試すことができた。レーンアシストは、車線逸脱を防ぐモードと、車線中央を維持するふたつのモードがあり、後者を選択した場合に、車線内のふらつきが上手く抑えられ、自然な動きを見せるのが印象的だった。
他にも試したい機能は山ほどあったが、残念ながらこの日は時間切れ。それでも、短時間の試乗で、Audiのフラッグシップモデルとしての高い実力を垣間見ることはできた。
Audi A7 Sportbac同様、このAudi A8も、ロングドライブによって燃費を含めた実力をチェックしたいと思う。
(Text by Satoshi Ubukata)