140326-A8-3.jpgマイナーチェンジしたAudi A8をプレス試乗会でチェック。その進化のほどは? 短時間ながら今回試乗したのは、Audi A8 3.0 TFSI quattro(以下3.0Tq)とAudi A8 4.0 TFSI quattro(同4.0Tq)の2台。どちらも、標準ホイールベースのquattroモデルだ。

Audiではいわゆるマイナーチェンジを「PI」と呼ぶ。PIは"Product Improvement"の略で、単にデザインをリニューアルするだけのマイナーチェンジでなく、中身もしっかり変わっていることをアピールしたいのだろう。

今回のPIについては140326-A8-1.jpg
上はAudi A8 3.0Tq。オプションの「マトリクスLEDヘッドライト」が装着され、より立体的になったシングルフレームグリルとあいまって、PI前と比べて押し出しが強くなった印象だ。

そうはいっても、全体的な印象は大きく変わらず、Audiらしいエレガントな雰囲気が失われていないのはうれしいところだ。

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140326-A8-7.jpgインテリアも基本的にはPI前のデザインを受け継ぎ、開放的で上質な空間に仕上げられている。シンプルで見やすいメーターパネルや美しいアナログクロック、Audi独自のインフォテインメントシステム「MMI(マルチメディアインターフェース)」などが、デザインと機能を見事に両立するのもこれまでどおりだ。
140326-A8-5.jpg後席は、標準ホイールベースでも十分に広く、足が組めるほどの余裕がある。ゆったりとしたサイズで、サポートに優れたシートのおかげで、座り心地も上々である。
最初にステアリングを握ったのはAudi A8 3.0Tq。A8のラインアップでは、ハイブリッドとこの3.0Tqが1000万円を切り、ハイブリッドのほうが10万円安い価格になっているが、実質この3.0 Tqがエントリーグレードといえる。

もちろんそれでも980万円という立派なプライスタグが掲げられるAudi A8 3.0Tqだけに、Audiのフラッグシップサルーンにふさわしい仕上がりを見せている。

走り出してまず感じたのが静粛性の高さ。軽くアクセルペダルを踏んでいるときはもちろん、ある程度踏み込んで回転を上げた状態でも、あたかもエンジンが遠くに置かれているような印象だ。ロードノイズや風切り音も抑えられていて、耳からもAudi A8の高級さを感じ取ることができた。

Audi A6にも搭載される3.0 TFSIエンジンは、最高出力310ps、最大トルク440Nm(44.9kgm)というスペックを誇る。スーパーチャージャーにより低回転からレスポンスよくトルクを発揮する特性は相変わらずで、車両重量1950kgのAudi A8 3.0Tqに対しても、余裕あるパフォーマンスを示す。

全長5145×全幅1950×全高1465mmのゆったりとしたボディにかかわらず、クルマの動きは実に軽快だ。ASFによる軽量・高剛性ボディと高性能の3.0TFSIエンジン、8速オートマチックに加えて、標準のアダプティブエアサスペンションとquattroの組み合わせが、ダイナミックなハンドリングをもたらすのだ。

乗り心地は実に快適で、PI前に比べてさらにスムーズさを増した印象。高速巡航時のフラット感も文句なし。quattroだけに直進安定性も極めて高い。これなら、ドライバーもゲストも楽に遠出ができるだろう。

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正直なところ、このAudi A8 3.0 Tqでも十分にフラッグシップモデルとしての役目を果たせると思うが、このクラスのユーザーは上位グレードを好む傾向がある......。ということで、Audi A8 4.0 Tqに乗り換えたのだが、乗ってしまうと4.0 TFSIエンジンの魅力から逃れられない。

最高出力435ps、最大トルク600Nm(61.2kgm)の4.0L V8直噴ターボエンジンは、当然のことながら3.0 TFSIエンジンにさらに輪をかけて力強くスムーズ。アクセルペダルを深く踏み込むと、V8らしい太いエキゾーストノートが控えめにキャビンに漏れ、ワイルドな一面を見せてくれる。

さらに、この4.0 TFSIにはシリンダーオンデマンド(COD)、すなわち気筒休止システムが搭載され、高速巡航時などには4気筒モードを多用することで燃費を稼ぐ。短距離ではあるがDISで平均燃費を確認したら、高速を法定速度でクルージングする場合で13〜14km/Lをマーク。その低燃費ぶりに驚かされた。4.0 TFSI、なかなかやるじゃないか!

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短時間の試乗でも、パワートレインやシャシーなど、確実に熟成が図られていることが理解できた今度のAudi A8。今回は昼間の試乗だったため注目のマトリクスLEDの実力がわからなかったので、後日、夜のドライブを含めたロングツーリングで、その実力を試してみたい。

(Text by Satoshi Ubukata)

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