120914-S-5.jpg新開発の4.0 TFSIエンジンを搭載した「アウディS8」と「アウディS6」に試乗。4L V8ツインスクロール・ツインターボを手に入れたアウディのスポーツモデルは、どんな走りを見せてくれるのか? 2011年のフランクフルトショーで揃ってデビューしたアウディのハイエンドスポーツモデル「アウディS8」「アウディS7スポーツバック」「アウディS6/S6アバント」が、日本にもイッキに上陸した。

120914-S-4.jpgその共通の特徴といえるのが、旧型に積まれた5.2L V10の代わりに、新開発の4L V8直噴ガソリンターボを搭載したことだ。エンジンの"ダウンサイジング"により、高性能と低燃費をめざすアウディにとって、ハイエンドのSモデルといえどもダウンサイジングは不可避なのだ。
おかげで、JC08モード燃費は、どのモデルも9.6km/Lをマークし、2015年度燃費基準を達成している。つまり、登録がまにあえば「エコカー減税」の対象になるということだ。それでいて、アウディS8の4.0 TFSIは520psの圧倒的パワーを、また、S7スポーツバックやS6/S6アバントでも420psのハイパワーを誇るというのは、まさに高性能と低燃費の両立をめざすアウディの意図するところである。

そんな新型Sモデルのなかから、まずはS8のキーを受け取り、迷わず東名高速へと向かう。

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御殿場インターまでの一般道で感心したのが、S8の乗り心地の良さだ。265/35R21(!)を履くにもかかわらず、20インチを履くA8と同等どころか、むしろA8よりも快適に思えるほど。A8がアダプティブエアサスペンションを標準装着するのに対し、S8にはアダプティブエアサスペンション・スポーツが装着されるが、快適さは一切犠牲になっていない。試乗車に装着されていたコンチスポーツコンタクト5Pも、この快適さに一役買っているはずだ。

ETCゲートをクリアし、本線への合流車線でアクセルペダルを踏み込むと、瞬く間にクルマの流れをリードしているアウディS8がいる。0-100km/h加速4.2秒という駿足の持ち主は、その豪快な加速でドライバーを驚かせてくれた。

もちろんここは速度無制限のアウトバーンではない。早々にアクセルペダルを緩め、法定速度での巡航に移る。8速ティプトロニックが組み合わされるS8は、トップギア、100km/h巡航時のエンジン回転数がわずか1600rpm。キャビンはラグジュアリーサルーンにふさわしい静粛性を確保し、ボディの動きも実にフラット。もちろん、スタビリティも極めて高く、これなら何時間ぶっ続けで運転しても疲れ知らず。グランドツーリングには打ってつけの性能である。

そうなると燃費が気になってくるが、DIS(ドライバーインフォメーションシステム)を見ると、平坦な部分では瞬間燃費が15km/Lを超え、平均でも11km/L台をキープしている。さらに、DISでは瞬間燃費を示すバーが頻繁にグリーンに変わるとともに、「4気筒モード」の表示が現れる。これは、あまりエンジンパワーを必要としない状況で、8気筒のうちの4気筒を休止することで燃料消費を抑える「シリンダー・オン・デマンド」が機能していることを示すもの。その際、エンジンから振動やノイズが発生するはずなのだが、「アクティブノイズキャンセリング」や「アクティブエンジンマウント」といったテクノロジーのおかげで、ドライバーはシリンダー・オン・デマンドの動作に気づくことはない。

残念ながら、この日の試乗ではワインディングロードを試す機会はなかったが、リヤスポーツディファレンシャルを手に入れたS8のキレのあるハンドリングは容易に想像できる。新型S8は、ドライバーズサルーンのトップモデルにふさわしい性能の持ち主だった。

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試乗会場に戻り、S8からS6に乗り換える。撮影の都合で一般道だけの走行になったが、S8に比べて100psも控えめな4.0 TFSIを搭載するにもかかわらず、S6はSモデルにふさわしい力強い加速を見せてくれた。S8同様、アダプティブエアサスペンション・スポーツを装着するS6は、S8に比べると多少硬めの乗り心地を示すものの、ふだんは快適に、ここぞというときにはスポーティな走りをもたらした。

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120914-S-8.jpgこれは、街中を走行しているときのDISの様子。アクセルペダルに軽く右足を載せているときやアクセルペダルをオフにしたときには、このように4気筒モードに切り替わる。ドイツのドライビングサイクルでは5%以上の燃費向上が可能というが、比較的空いた一般道や高速なら、さらに高い効果が期待できそうだ。
120914-S-7.jpgこんな具合に駆け足で2台のSモデルを試してきたが、自らステアリングを握るオーナーにとって、実に魅力的に仕上がっていることは、短時間のドライブでも実感できた。

今後、機会を見つけてロングドライブに連れ出し、さらなる魅力を発見したいと思っている。

(Text by Satoshi Ubukata)

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