100924-A7-201.jpgアウディのラグジュアリー4ドア"クーペ"「A7スポーツバック」はブランニューのモデルだけに、新しい機構も盛りだくさん。試乗する前に、まずはクルマの特徴についてレクチャーを受けた。

写真はオプションで用意されるフルLEDヘッドライト。

100924-A7-210.jpg地中海のリゾート、サルディニア島へは、ミュンヘンからチャーター便でひとっ飛び。アドリア航空のチャーミングなキャビンアテンダントにうっとりとしたのも束の間、空港に到着するとさっそくA7スポーツバックに関するプレゼンテーションが待ち受けていた。
こちらがそのときの模様。A7をはじめ、A6やQ7の開発責任者を務めるマルク・マイスナー氏が説明にあたった。動画(日本語の同時通訳付き)は約15分ほどあるので、時間が許すときにどうぞ!



僕からも特徴をかいつまんで説明しておこう。A7スポーツバックは全長4969×全幅1911×全高1420mmという余裕あるボディサイズを誇るラグジュアリーモデルだ。ボディは4ドア+テールゲートの5ドアだが、全高の低さが示すように、セダンというよりもクーペを強く意識したデザインが特徴で、コンセプトはA5スポーツバックと共通だ。

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A6とA8のあいだに位置づけられるA7スポーツバックは、ラグジュアリーセグメントという意味ではA8寄りのポジショニングといえるが、ボディ構造はA8のようなアルミスペースフレーム(ASF)ではなく、スチールモノコックを採用している。おそらくこれは次期A6と共通の基本設計を持つと予想され、つまりハードウェアはA6寄りなのだ。

A6よりもひとまわり大きなサイズのA7スポーツバックだけに、ボディの軽量化は重要な課題であった。開発陣は、ボンネットをはじめ、フロントフェンダー、前後ドア、そしてテールゲートにアルミパネルを使用するとともに、モノコックの一部にもアルミを使用。さらにスチールの部分でも、超高張力鋼板の使用や高度な溶接技術などにより軽量化を図ったという。ちなみに、3.0 TFSIクワトロの場合、車両重量は1785kgで、これはひとまわり小さい現行A6アバントとほぼ同じ重量である。

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決して小さくないボディに搭載されるエンジンは、ガソリン2種類、ディーゼル2種類の計4種類。このクラスならV8が用意されて当然だが、エンジンのダウンサイジングを叫ぶアウディは、ガソリン、ディーゼルともV6エンジンのみをラインアップする。ガソリンエンジンは、V8に匹敵する高性能が自慢のスーパーチャージャー付き3L V6の3.0 TFSIを上位モデルに搭載する一方、自然吸気の2.8L V6をエントリーモデルに用意。日本では、3.0 TFSIとフルタイム4WDのクワトロを組み合わせたA7スポーツバック3.0TFSIクワトロの導入が予定される。これに組み合わされるトランスミッションは7速Sトロニックで、このパッケージの欧州モード燃費は8.2L/100km(=12.2km/L)と、低い燃料消費率を実現している。ブレーキ回生システムやアイドリングストップ機構も標準である。

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A7スポーツバックには、最新世代のクワトロが搭載される。これは、クラウンギア式のセンターデフを用いるもので、従来のトルセンデフよりも軽量なうえ、レスポンスが速いというのが特徴だ。トルク配分は、通常時は前40:後60の非対称タイプで、路面の状況に応じて前15:後85〜前70:後30の範囲でダイナミックに配分を変える。トルク配分の変動幅が従来よりも広くなっているのもアドバンテージのひとつである。

このクワトロには、コーナリング中に内輪に軽くブレーキをかけることで、アンダーステアを軽減する"トルクベクタリング"機能が搭載される。標準モデルでは前後アクスルに対してブレーキをかけ、また、オプションのリアスポーツディファレンシャル搭載モデルでは、ブレーキ制御は前アクスルのみとし、リアアクスルはリアスポーツディファレンシャルによりさらにアクティブにコントロール、オンザレールのハンドリングをもたらすという。実はこのクワトロ、すでにRS 5にも搭載されており、日本仕様のRS 5ではリアスポーツディファレンシャル付きが全車に標準である。

サスペンションは、フロントが5リンク、リアがトラベゾイダルタイプを採用。標準仕様はコイルスプリング式で、オプションで10mmローダウンのスポーツサスペンション、さらに10mm低いSラインスポーツサスペンション、そして、エアスプリングを用いるアダプティブエアサスペンションが用意される。ステアリングは電動パワーステアリングとなり、可変ステアリングギアレシオのダイナミックステアリングは追って用意される予定だ。ドライバーの好みにあわせてエンジン、ステアリング、エアサスペンションの設定が変更できるアウディ ドライブセレクトも標準装備である。
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インテリアのつくりは上質かつスタイリッシュだ。ダッシュボード奥に小さな段差があり、これが前席乗員の囲むように伸びる"ラップアラウンド"のデザインに加え、立体的な造形のメーターパネル、ダッシュボードの上下を分割するS字のライン、美しい仕上がりのウッドパネルなど、これまでのアウディよりもさらに凝ったつくりに目を奪われる。オーディオ、ナビゲーション、車両セッティングの調整を少ないスイッチに統合するMMIはタッチパッド付きの最新世代を搭載。さまざまな情報がダッシュ中央の8インチモニターに映し出される。運転に必要な情報は、メーターパネル内の7インチディスプレイへ。燃費やカーナビのルート案内のほか、オプションのナイトビジョンの映像などが表示可能だ。

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リアシートは2人乗り。座面から天井までのスペースは944mmで、数字上はA5スポーツバックよりも3mm狭いが、フロアから座面までの距離が十分確保されるため、実際に座ってみると自然な姿勢を採ることができるし、余裕も十分。当然、クーペとは一線を画した快適な空間だ。

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100924-A7-212.jpg自慢の荷室は、後席を起こしたままでも奥行き1197mm、容量535Lが確保される。後席を倒せば1390Lまで拡大可能。開口部が大きいハッチバックスタイルのおかげで、荷物に簡単にアクセスできるのがうれしい。電動テールゲートは標準の装備だ。
100924-A7-208.jpgテールゲートには、速度に応じて自動的に昇降するリトラクタブルリアスポイラーが組み込まれている。130km/h以上になるとせり上がり、80km/h以下になると格納される。センターパネルのスイッチでマニュアル操作も可能だ。
という具合に、見どころ満載のA7スポーツバック。実はまだまだ説明したいことはあるのだが、前置きがあまり長いのもなんだから、そろそろ切り上げてエンジンをスタートさせることにしよう。(続く)

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