110411-A8-01.jpgアウディのフラッグシップモデルである「アウディA8」に、ドイツ、そして、日本で試乗。その魅力を堪能した。 110411-A8-02.jpg
2010年12月15日、日本でも発表された新型アウディA8に、ドイツと日本で試乗することができた。試乗を通じて僕は、この新型A8が、アウディの新時代を告げる重要なモデルだと悟った。

新型A8には、技術的に見るべきところがたくさんある。たとえば、A8が切り拓いてきたアルミボディ技術「ASF(アウディ スペースフレーム)」は、今回からBピラーに熱間成形の超高張力鋼板を採用することでボディの強化を図っているし、ダウンサイジングコンセプトを採用する3.0 TFSIエンジンをラインアップしたのも注目すべき点だ。オートマチックは8速になり、シフトレバーのポジション情報が電気的に伝えられる"シフト・バイ・ワイヤ"も新しい試みである。他にも、フルLEDのヘッドライトや、タッチパッドを搭載したMMI(マルチメディアインターフェース)など、見どころを挙げればきりがない。

しかし、そんな説明がなくても、新型A8の魅力は十分に伝わってくる。

110411-A8-08.jpgその最たるものがキャビンのデザインだ。いままでも、インテリアの上質さには定評のあったアウディだが、新型A8では、がらりと雰囲気を変えている。クルーザーをイメージしたという"ラップアラウンドデザアイン"に、これまでとは違うエモーションが感じ取れたのだ。
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コンパクトにまとめられた新デザインのシフトレバーや立体的にレイアウトされたメーターなど、単にハイテクで美しいだけでなく、心惹かれる何かがそれぞれに宿っている。文句なくカッコいい!

走り出せば、快適な乗り心地と軽快なハンドリングとの見事なバランスに舌を巻くはずだ。全車に標準装着される「アダプティブ エアサスペンション」がしなやかな動きで常にフラットな姿勢を保つ。日本の街中から、200km/hのアウトバーンまで、破綻のない走りは感動的! 一方、コーナーではふだんからリア寄りにトルク配分するクワトロが、FR的な素直な動きをもたらす。

しかし、一番の見どころは、軽くてカチッとしたボディ。これまでのASFボディも軽さや剛性の高さに不満はなかったが、アルミボディ特有の振動が"剛性感"を損ねていた。しかし、新しい構造のASFではこの振動が解消され、さらに高まったボディ剛性とあいまって、実にスポーティな動きを示すのだ。なかでも、リヤスポーツディファレンシャルが奢られた仕様なら鬼に金棒! ラグジュアリーセダンであることを忘れさせるほどの俊敏さを見せつけられる。この走りの進化には驚くばかりだ。

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パワートレインも上々の仕上がりだ。新型A8には、従来からの4.2L V8に加えて、3.0L V6スーパーチャージャーの3.0 TFSIが仲間入りした。この3.0 TFSIは、V6でありながらV8級の力強さを発揮するとの触れ込みだが、実際、低回転から軽々とA8を加速するし、一方、6000rpmを超える高回転まで勢いが衰えないのもとても心強い。スムーズさ極まる8速ATも、ラグジュアリーセダンにふさわしく、僕なら迷わずこの3.0 TFSIを選ぶと思う。それだけに、日本では、3.0 TFSIにリヤスポーツディファレンシャルがオプション装着できないのが残念でならない。

一方、4.2 V8は、3.0 TFSIを上回る豊かなトルクとスムーズさ、そして、自然吸気エンジンならではの気持ちのいい吹け上がりが自慢である。

日本には導入されないが、4.2LのTDIはアウトバーンを走るには最強のパートナーだ。低回転から強烈なトルクを発揮し、8速100km/hの回転数はわずか1200rpm。200km/hで走っても2400rpm! それだけに高速巡航時のエンジンノイズは小さく、長時間のドライブでは疲労は少ない。ただ、タウンスピードではガソリンエンジンよりもノイズや振動が大きめなので(といっても"ガラゴロ"はない)、街中中心のドライブでは多少気になった。

それはさておき、このように、デザイン、パワー、走りのすべてで、これまでのレベルから一足飛びに進化した新型A8。この流れはアウディA7にも受け継がれているし、おそらく新型A6でも見出すことができるに違いない。ラグジュアリークラスのおけるアウディの快進撃が、このA8から始まるのではないか? 僕にはそんな予感がする。

(Text by Satoshi Ubukata)

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