2015年12月5日〜6日、アメリカのカリフォルニアで「サンダーヒル25時間レース2015」の決勝が行われ、藤井誠暢選手がドライバーを務めたFlying Lizard MotorsportsのAudi R8 LMS ultraが見事優勝を果たした。
「デイトナ24時間レース」などで活躍してきた名門レーシングチーム「Flying Lizard Motorsports」とToyo Tires USAの両者は、2014年からToyo Proxesスリックタイヤの開発を進めてきたが、そのパフォーマンスを実践投入により確認するために選んだのがこの「サンダーヒル25時間レース2015」だった。
そのドライバーとしてDarren Law選手、Johannes van Overbeek選手、Guy Cosmo選手とともに名を連ねたのは、SUPER GTにAudi Team Hitotsuyamaから参戦した藤井誠暢選手である。
ツーリングカーでは最上位、LMP3などプロトタイプカーを含めた総合では6位という予選結果となったFlying Lizard MotorsportsのAudi R8 LMS ultra。5日午前11時からの決勝では、Darren選手がスタートドライバーを務め、以後、藤井選手、Guy選手、Johannes選手の順にローテーションが組まれている。各ドライバーは途中1回のピットストップをはさむ"ダブルスティント"で周回を重ねることになる。
藤井選手が最初にステアリングを委ねられたのは、Darren選手が1・2スティントを終えた午後1時半ごろのことだ。
その言葉どおり、多くのマシーンがペナルティ-や接触、マシーントラブルなどで戦線離脱していくなか、藤井選手はミスなく安定したペースで約2時間半の走行を続け、次のGuy選手に総合トップでAudi R8 LMS ultraを託すことができた。
夜10時くらいから雨が降り出し、路面は少し濡れていたものの、その後ドライコンディションになるとの予想からスリックタイヤを履いてコースに出た藤井選手は、「正直、夜中で視界も悪いうえに、路面が濡れた状態でスリックタイヤで行くには大きな抵抗がありましたが、ストラテジストであるThomasの指示を信じました。霧で視界も悪く、ラインを少し外せば簡単にコースオフしてしまいますから、本当に緊張感のある走行でした」とそのときの心境を語る。
翌朝の7時ごろにはあたりは明るくなりはじめ、Flying Lizard MotorsportsのAudi R8 LMS ultraは2位との差を20ラップほどまで広げていた。ただ、夜中に降り始めた雨は止む気配はなく、ウエットコンディションのまま昼12時のゴールの目指すこととなった。
チェッカーまで残り1時間あまりというところで、藤井選手が最後のドライバーとしてAudi R8 LMS ultraに搭乗。「途中雨が強く降るようなウエットコンディションでしたが、フィニッシュドライバーという大きなプレッシャーを背負いつつも、マシーンを労わりながら、ミスなくチェッカーまでマシーンを運ぼうと気持ちで集中して周回を重ねました」という藤井選手が、6日の正午、総合優勝のマシーンを駆り最初のチェッカードフラッグを受けることになった。
「マシーンにもタイヤにもドライバーにも過酷なコースと、65台ものマシーンが混在する難しい25時間の耐久レース。それを総合優勝という最高の形で締めくくることができたのは、常にパーフェクトなマシーンを用意して、素早く完璧なピットワークで各スティントへ送り出してくれたFlying Lizard Motorsportsのスタッフと、一度もトラブルなく安定して走行できたAudi R8 LMS ultraの性能と信頼性のおかげです。そして、デビューレースにもかかわらず全スティントで安定したタイヤ性能を発揮することができたのは、Toyo Tiresがこのレースに向けて用意した200本の開発用タイヤの高い性能と、Toyo Tires USAのアメリカ人スタッフや、日本のToyo Tiresからチーフエンジニアの加藤さんを中心に3名体制でこのレースをサポートしてくださったおかげです。僕たち4人のドライバーも自分の仕事に集中することができ、全スティントをノーミスで走り切ることができました。この勝利はアメリカでの彼らの新プログラムにとってとても重要なものになったと思います。とにかく、ホッとした気持ちとうれしさでイッパイです。そして、世界各地の数々の耐久レースを制してきた現行Audi R8 LMS ultraに、最後の総合優勝をプレゼントできたこともうれしく思います」。
藤井選手らのドライブで有終の美を飾ることができたAudi R8 LMS ultra。2016年からは新型Audi R8 LMSが本格的に世界各地のサーキットで走ることになるが、藤井選手やFlying Lizard Motorsportsなどの手により、なお一層活躍することを期待したい。
そのドライバーとしてDarren Law選手、Johannes van Overbeek選手、Guy Cosmo選手とともに名を連ねたのは、SUPER GTにAudi Team Hitotsuyamaから参戦した藤井誠暢選手である。
藤井選手は、2015年1月24日〜25日にアメリカで開催された「デイトナ24時間レース」にFlying Lizard Motorsportsから初参戦。そこで実力が認められ、今回の参戦にいたったというわけだ。
ツーリングカーでは最上位、LMP3などプロトタイプカーを含めた総合では6位という予選結果となったFlying Lizard MotorsportsのAudi R8 LMS ultra。5日午前11時からの決勝では、Darren選手がスタートドライバーを務め、以後、藤井選手、Guy選手、Johannes選手の順にローテーションが組まれている。各ドライバーは途中1回のピットストップをはさむ"ダブルスティント"で周回を重ねることになる。
藤井選手が最初にステアリングを委ねられたのは、Darren選手が1・2スティントを終えた午後1時半ごろのことだ。
藤井選手は「このサンダーヒルはコース幅がとても狭くバンピーなうえに、65台もの複数クラスが混在するレース。そして、多くのコーナーがブラインドコーナーとなっており、マシーンのフロントが一瞬浮くようなジャンピングスポットが3カ所あります。先が見えないコーナーが多く、とても神経を使いました。さらに、このレースでは安全性を考慮したレギュレーションが定められていて、黄旗追い越しや接触にはペナルティストップ10分という重いペナルティが課せられるため、とにかく、安定してミスなく速く走ることがドライバーの仕事です」と話す。
その言葉どおり、多くのマシーンがペナルティ-や接触、マシーントラブルなどで戦線離脱していくなか、藤井選手はミスなく安定したペースで約2時間半の走行を続け、次のGuy選手に総合トップでAudi R8 LMS ultraを託すことができた。
その後も、Guy選手、Johannes選手がそれぞれダブルスティントを担当し、順調に周回を重ねていく。そして、ドライバーのローテーションが2巡目を迎え、藤井選手は真夜中の1時ごろふたたびDarren選手からステアリングを引き継いだ。
夜10時くらいから雨が降り出し、路面は少し濡れていたものの、その後ドライコンディションになるとの予想からスリックタイヤを履いてコースに出た藤井選手は、「正直、夜中で視界も悪いうえに、路面が濡れた状態でスリックタイヤで行くには大きな抵抗がありましたが、ストラテジストであるThomasの指示を信じました。霧で視界も悪く、ラインを少し外せば簡単にコースオフしてしまいますから、本当に緊張感のある走行でした」とそのときの心境を語る。
そして、夜の2時半ごろには総合2位との差を数ラップに広げて、次のGuy選手にバトンタッチ。「ワンミスですべて終わり。ペナルティを取られるようなアクシデントがあると、簡単にマージンがなくなってしまいます。チームもドライバーも慎重に、そして確実にレースを運ぶことに集中しました」(藤井選手)。
翌朝の7時ごろにはあたりは明るくなりはじめ、Flying Lizard MotorsportsのAudi R8 LMS ultraは2位との差を20ラップほどまで広げていた。ただ、夜中に降り始めた雨は止む気配はなく、ウエットコンディションのまま昼12時のゴールの目指すこととなった。
そんな難しい状況下で、 Flying Lizard Motorsportsはミスやトラブルのないレース運びで独走を続けていく。
チェッカーまで残り1時間あまりというところで、藤井選手が最後のドライバーとしてAudi R8 LMS ultraに搭乗。「途中雨が強く降るようなウエットコンディションでしたが、フィニッシュドライバーという大きなプレッシャーを背負いつつも、マシーンを労わりながら、ミスなくチェッカーまでマシーンを運ぼうと気持ちで集中して周回を重ねました」という藤井選手が、6日の正午、総合優勝のマシーンを駆り最初のチェッカードフラッグを受けることになった。
ゴールした瞬間は「うれしさよりもホッとした」という藤井選手はレース後に次のようにコメントした。
「マシーンにもタイヤにもドライバーにも過酷なコースと、65台ものマシーンが混在する難しい25時間の耐久レース。それを総合優勝という最高の形で締めくくることができたのは、常にパーフェクトなマシーンを用意して、素早く完璧なピットワークで各スティントへ送り出してくれたFlying Lizard Motorsportsのスタッフと、一度もトラブルなく安定して走行できたAudi R8 LMS ultraの性能と信頼性のおかげです。そして、デビューレースにもかかわらず全スティントで安定したタイヤ性能を発揮することができたのは、Toyo Tiresがこのレースに向けて用意した200本の開発用タイヤの高い性能と、Toyo Tires USAのアメリカ人スタッフや、日本のToyo Tiresからチーフエンジニアの加藤さんを中心に3名体制でこのレースをサポートしてくださったおかげです。僕たち4人のドライバーも自分の仕事に集中することができ、全スティントをノーミスで走り切ることができました。この勝利はアメリカでの彼らの新プログラムにとってとても重要なものになったと思います。とにかく、ホッとした気持ちとうれしさでイッパイです。そして、世界各地の数々の耐久レースを制してきた現行Audi R8 LMS ultraに、最後の総合優勝をプレゼントできたこともうれしく思います」。
藤井選手らのドライブで有終の美を飾ることができたAudi R8 LMS ultra。2016年からは新型Audi R8 LMSが本格的に世界各地のサーキットで走ることになるが、藤井選手やFlying Lizard Motorsportsなどの手により、なお一層活躍することを期待したい。
(Text by Satoshi Ubukata)