2013年、Volkswagenは、100km走行するのに必要な燃料がわずか0.9Lというプラグインハイブリッド車「Volkswagen XL1」を発表しました。カーボンファイバーを使った軽量ボディや空気抵抗を抑えたデザイン、ディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせたパワートレインなど、燃費を徹底的に追求した2人乗りモデルです。その開発思想は、2026年に発表された電気自動車のコンセプトカー「Volkswagen Mission Efficiency」にも受け継がれています。

画像: 【VW名車図鑑】燃費100km/L超を実現した「XL1」

1Lカーの構想を市販車に

Volkswagen XL1は、Volkswagenが長年取り組んできた「1Lカー」の構想を市販車として実現したモデルです。1Lカーとは、100kmをわずか1Lの燃料で走行することを目指したクルマのこと。排気量が1Lという意味ではありません。

その開発は2002年に発表されたコンセプトカーにさかのぼります。2009年には後継モデルのL1が登場し、さらに改良を重ねた結果、2013年2月21日に市販仕様のXL1が発表されました。

それまでの試作車では、空気抵抗を減らすために2人が前後に座るタンデムレイアウトを採用していましたが、XL1では日常的な使いやすさを考慮し、左右に並んで座る方式に変更。運転席と助手席を前後に少しずらすことで、空力性能と居住性の両立を図っています。

画像: 1Lカーの構想を市販車に

燃費0.9L/100kmを支える3つの技術

XL1の燃費性能を支えているのは、軽量化、空気抵抗の低減、そしてプラグインハイブリッドシステムです。

ボディには、カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製のモノコック構造を採用。外板などにも軽量素材を使用することで、車両重量を795kgに抑えています。

空力性能を示すCd値は0.189。ボディ後方に向かって幅を絞った形状や、リヤホイールを覆うカバー、ドアミラーの代わりに採用したカメラ式の「e-Mirrors」などによって、空気抵抗を低減しています。

画像: 燃費0.9L/100kmを支える3つの技術

パワートレインは、排気量0.8Lの2気筒ターボディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドです。エンジンの最高出力は48PS、電気モーターは27PSで、システム最高出力は51kW(約69PS)。トランスミッションには7速DSGを組み合わせ、後輪を駆動します。

容量5.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、外部電源から充電することで、電気モーターだけで最大50kmを走行できます。また、減速時にはモーターを発電機として利用し、運動エネルギーを電力として回収します。

これらの技術により、欧州の複合モード燃費は0.9L/100km、CO2排出量は21g/kmを達成しました。燃費を日本でなじみのある単位に換算すると、約111km/Lに相当します。ただし、プラグインハイブリッド車の燃費値であり、外部から充電した電力も利用するため、通常のエンジン車と単純に比較できる数値ではありません。

全高1153mmの低いボディ

XL1のボディサイズは全長3888mm、全幅1665mm、全高1153mm、ホイールベース2224mm。全長と全幅は当時のPoloに近いものの、全高は約300mmも低く抑えられています。

画像: 全高1153mmの低いボディ

特徴的なのは、上方だけでなく、やや前方にも開くウイングドアです。Aピラー下部とルーフ部分の2カ所にヒンジを設け、乗り降りのための開口部を確保しています。

リヤウインドーを持たないボディ後部には、エンジンなどの駆動ユニットと容量120Lのラゲッジスペースを配置。床下はほぼ全面がカバーで覆われ、リヤ下部のディフューザーとともに空気の流れを整えています。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リヤがセミトレーリングリンク式です。サスペンション部品やブレーキキャリパーにはアルミニウム、ブレーキディスクにはセラミック、ホイールにはマグネシウムを採用するなど、足まわりでも軽量化を徹底しています。

タイヤにはミシュラン製の低転がり抵抗タイヤを採用し、サイズはフロントが115/80 R15、リヤが145/55 R16。一般的な乗用車と比べて細いタイヤを使用することで、転がり抵抗を抑えています。

10Lの燃料タンクで500km以上を走行

XL1の最高速度は電子制御により160km/hに制限され、0-100km/h加速は12.7秒です。Volkswagenによれば、100km/hで定速走行する際に必要な出力はわずか8.4PS(6.2kW)にとどまります。

燃料タンク容量は10Lですが、ディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせることで、500kmを超える航続距離を確保しています。

また、搭載する0.8L TDIエンジンは、既存の1.6L 4気筒TDIをベースに開発したものです。コモンレール式燃料噴射や排出ガス再循環装置、ディーゼル微粒子フィルターなどを採用し、当時のEuro 6排出ガス規制に適合しています。

画像: 10Lの燃料タンクで500km以上を走行

XL1は、単に燃費の数値を追求しただけのモデルではありません。軽量化や空力性能、電動化など、エネルギー消費を減らすための技術を1台に集約し、それを実際に走行できる市販車として成立させたことに特徴があります。

その後、XL1は少量生産モデルとして市場に投入されました。現在は生産を終了していますが、Volkswagenが電動化を本格化させる以前に、効率を徹底的に追求したモデルとして位置づけられます。

最新のMission Efficiencyに受け継がれる思想

XL1が追求した効率化の思想は、最新のコンセプトカーにも受け継がれています。

Volkswagenは2026年9月、エネルギー消費の低減を追求した電気自動車のコンセプトカー、Mission Efficiencyを発表しました。Cd値はXL1の0.189をさらに下回る0.158を達成し、100kmあたりの電力消費量は6.89kWhを記録しています。

ディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせたXL1から、電気自動車のMission Efficiencyへ。パワートレインは変わっても、空気抵抗やエネルギー損失を減らすという開発思想は、現在のVolkswagenにも引き継がれています。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photo by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースなどをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。

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