Volkswagenが1998年に発売した「Lupo」は、Poloよりもさらに小さなクラスを担ったコンパクトカーです。全長約3.5mのボディーに4人が乗れる実用性を確保する一方、100kmを3L未満の燃料で走るLupo 3L TDIや、125PSのLupo GTIなど、個性的な派生モデルも登場。2005年まで生産され、Volkswagenの小型車史に独特の足跡を残しました。

Poloより約20cm短い3ドアモデル
Lupoが登場したのは1998年秋です。VolkswagenのラインナップではPoloの下に位置し、それまで同社が本格参入していなかった小型車の市場を狙ったモデルでした。
ボディーは全長約3.5mで、当時のPoloより約20cm短く、ボディータイプは3ドアのみ。それでも4人分のシートを備え、仕様によっては5人乗りも選択できました。丸型ヘッドライトと、その内側に配置したターンインジケーターによるフロントマスクもLupoを特徴づけるポイントです。



「Lupo」という名前にもVolkswagenらしい背景があります。Lupoはイタリア語で「狼」を意味する言葉です。Volkswagenの本社と本社工場が置かれるドイツのウォルフスブルク(Wolfsburg)も、その名に「Wolf=狼」を含む街です。ウォルフスブルク市の紋章にも狼が描かれており、かつてVolkswagen車には、この紋章をモチーフとしたバッジが装着されたこともありました。Volkswagen自身もLupoを「Little wolf from Wolfsburg(ウォルフスブルクの小さな狼)」と紹介しています。
Lupoのもうひとつの特徴が、小さなボディーを使ってさまざまな技術に挑戦したことです。1999年には1.4L 16Vの100PS仕様や3気筒1.4L直噴ターボディーゼルを追加。2000年には105PSのガソリン直噴エンジンを搭載するLupo FSIも登場しました。Volkswagenによれば、Lupoはガソリン直噴エンジンを搭載した初の欧州車でした。
3LカーとGTI、両極端のLupo
なかでもLupoを象徴する存在が、1999年に登場した「Lupo 3L TDI」です。「3L」の名はエンジンの排気量ではなく、100kmを3L未満の燃料で走ることを目指したことに由来します。公称燃料消費量は2.99L/100kmで、Volkswagenは量産車として世界で初めて3L/100kmを下回ったモデルとしています。

その実現には、パワートレインだけでなく車体全体に手が加えられました。3気筒ターボディーゼルエンジンに専用のセミオートマチックトランスミッションを組み合わせ、早めにシフトアップする制御を採用。走行中にエンジンを駆動系から切り離して惰性走行するコースティング機能や、停車時にエンジンを停止するスタートストップ機能も備えています。
軽量化も徹底しており、ボンネットやドアなどにアルミを採用したほか、テールゲートにはアルミニウムとマグネシウムを組み合わせた構造を採用。薄型の特殊ガラスなども用いることで、通常モデルに比べて約150kgの軽量化を図りました。
そのLupo 3L TDIも、モデルサイクルの途中で仕様が変更されています。2002年には、それまでアルミニウム/マグネシウム複合構造だったテールゲートをスチール製に変更。また、バッテリーを荷室のスペアタイヤ収納部に配置する仕様となりました。こうした細かな変遷も、徹底した軽量化を追求した3L TDIならではの興味深いポイントです。
一方、低燃費とは異なる方向からLupoの可能性を追求したのが、2000年に登場した「Lupo GTI」です。

搭載する1.6Lガソリンエンジンは最高出力125PSを発生。0-100km/h加速は8.2秒、最高速度は205km/hに達しました。車高を下げた専用サスペンションに15インチアルミホイールと205幅のタイヤを組み合わせ、それを収めるためにフェンダーを拡幅。リヤにはセンター出しのデュアルエキゾーストを備え、ESPも標準装備しました。
Lupo GTIでは軽量化にも力が入れられ、ボンネット、フロントフェンダー、ドアにはアルミを採用しています。室内には赤いステッチ入りシートや赤いシートベルト、アルミ調ペダル、ブラックのルーフライニングなどを採用し、通常のLupoとの差別化が図られました。さらに2001年にはトランスミッションが6速化されています。
燃料消費量の低減を突き詰めた3L TDIと、走行性能を追求したGTI。一見すると正反対の2台ですが、軽量化を積極的に取り入れ、小さな車体の可能性を広げようとした点は共通しています。
Lupoは2005年に生産を終了しました。総生産台数は48万7856台。ベーシックな小型車から、低燃費を追求した3L TDI、ガソリン直噴技術を採用したFSI、走りを重視したGTIまで、ひとつの小さなボディーをベースにさまざまな方向性を追求したことが、Lupoというモデルの大きな特徴です。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photo by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。


