2025年10月31日、Volkswagenは、Volkswagenグループの中核を担う「ブランドグループ・コア(Brand Group Core)」が、2025年1〜9月期において販売台数、売上高、営業利益のいずれも前年を上回る結果を記録したと発表した。一方で、米国向け輸入関税や電気自動車(BEV)の増産に伴うコスト、さらにフォルクスワーゲンブランドの再構築費用が利益を押し下げた。

同グループには、Volkswagen、Škoda、SEAT/CUPRA、Volkswagen Commercial Vehiclesの4ブランドが属し、全体で377万台を販売(前年同期比+4.0%)。売上高は1069億5000万ユーロ(約19兆円、1ユーロ=177.8円換算)と前年から5.3%増加した。営業利益は47億2000万ユーロ(約8400億円)で、前年同期比6.8%の増益となっている。営業利益率は4.41%と前年並みを維持しつつ、純キャッシュフローは43億4000万ユーロ(約7720億円)と前年から大幅に改善した。
この成長を支えたのは、コスト削減効果と新型車の投入だ。ブランド横断の「パフォーマンスプログラム」により固定費が削減され、モデルごとの開発・生産を共有化することでシナジー効果を創出した。とくに「Volkswagen Tayron」「T-Cross」「ID.7 Tourer」などの好調に加え、CUPRA「Terramar」やŠkoda「Elroq」など新型電動SUVの投入が販売増に寄与している。
一方で、電動車比率の上昇による収益性の低下や、米国の輸入関税、再編コストなどが逆風となり、約11億ユーロ(約1960億円)が営業利益を圧迫した。これらの影響を除けば、グループ全体の営業利益率は5.5%、フォルクスワーゲンブランド単体では4.0%に達していたとされる。
フォルクスワーゲンブランドは、1〜9月期に227万9000台を販売(+0.8%)、売上高は638億ユーロ(約11兆3500億円)、営業利益は14億8000万ユーロ(約2630億円)に拡大した。コスト削減効果が収益改善に寄与したものの、米国関税と再編費用、BEV増産が利益を圧迫。財務担当取締役のデイビッド・パウエルズ氏は「ボリュームブランドとしての競争力を維持するため、コスト構造の改善を引き続き進める」と述べている。
Škoda Autoは堅調な伸びを示し、販売台数は76万5700台(+14.1%)、売上高は223億4000万ユーロ(約3兆9,700億円)、営業利益は17億9000万ユーロ(約3180億円)を記録。営業利益率は8.0%と高水準を維持した。新型EV「Elroq」が受注10万台を超えるなど、電動化戦略が成果を上げている。インド市場でも前年比+106%の4万9400台を販売し、国際展開も順調に進む。
一方でSEAT/CUPRAは、電動化シフトと関税の影響を大きく受けた。販売台数は48万600台(+3.0%)と微増にとどまり、売上高は112億4000万ユーロ(約2兆円)ながら営業利益は1600万ユーロ(約28億円)に減少(前年は4億1500万ユーロ=約740億円)。営業利益率は3.9%から0.1%へと大幅に低下した。中国生産の「CUPRA Tavascan」に対する欧州関税が収益を直撃した格好だ。
Volkswagen Commercial Vehicles(フォルクスワーゲン商用車部門)は、販売台数32万3900台(+5%)、売上高125億4000万ユーロ(約2兆2300億円)と増収を確保したが、営業利益は2億2000万ユーロ(約390億円、前年5億9900万ユーロ=約1060億円)に減少。電動モデル「ID. Buzz」が販売をけん引し、欧州市場のBEV商用車分野でシェア22.5%を維持している。
ブランドグループ・コアは今後も効率化とシナジーの最大化を進める方針で、開発・生産体制を再編中だ。2026年には、Volkswagen、Škoda、CUPRAが共同開発する「Electric Urban Car Family」をスペイン・マルトレルおよびパンプローナ工場で生産開始予定。全ライフサイクルを通じて6億ユーロ(約1070億円)以上のシナジー効果を見込む。この取り組みは、手頃な価格の電動車普及に向けた戦略的ステップとして位置づけられている。
パウエルズ氏は「コスト改善の取り組みは着実に成果を上げている。新モデルの市場投入スピードが増しており、これが将来の競争力の鍵になる」と総括した。グループは「BOOST 2030」戦略のもと、世界の量産ブランドとして技術リーダーの地位確立を目指している。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。


