たまには気分を変えて、大自然の中で原稿を書こうと思い、「Passat eHybrid」で富士五湖エリアに出かけてみました!

私だけかもしれませんが、いつもの場所より、飛行機の中のほうが原稿の執筆が捗ります。その理由としては、飛行機のなかやカフェは、オフィスに比べて行動が制約されるかわりに、まわりから邪魔されないため、集中力が高まる効果があるからだそうです。また、そこに滞在する時間がかぎられるため、それが“締め切り”として意識され、“いまやらなければ”という気持ちになるようです。さらに、環境が変わることで気分が変わり、仕事に集中しやすくなるともいわれています。
そこで、仕事に行き詰まった私は、Passat eHybridで原稿執筆の旅に出ることにしました。このクルマを選んだのには理由があり、後席が広いことに加えて、プラグインハイブリッド車なので、エンジンをかけることなく長時間エアコンが使えるからです。そういう意味では、BEVのミニバン「ID.Buzz」なんて、まさに理想の“動くオフィス”でしょう。
Passat eHybridの場合、搭載しているリチウムイオンバッテリーの容量は25.7kWh。一般的なポータブル電源の容量が500〜1000Wh(0.5〜1kWh)ですので、Passat eHybridのバッテリーはその25〜50倍くらいということになります。
もちろん、Passat eHybridのバッテリーは走行に使うためのものなので、何もしなければ目的地に着くころにはだいぶ減ってしまっているかもしれません。それを防ぐため、Passat eHybridには便利な機能があります。通常、Passat eHybridはバッテリーが十分残っている場合はバッテリーの電気だけで走る「E-MODE」が選ばれます。これを「Hybrid」に切り替えると、エンジンとモーターを両方使いますが、それでもモーターでの走行が優先されます。しかし、右下の「手動制御」をオンにすると、現在の充電レベルを維持するよう、エンジンを積極的に使ってくれるのです。

そこで、目的地までは“Hybrid+手動制御”を選んでバッテリーを温存することにしました。ただ、常にHybrid+手動制御を選んでも、走行状況によってはバッテリーが減ることもあります。実際、今回は試乗車を借りたときのバッテリー残量は95%で、1週間ほど自宅のまわりを運転し、その後、目的地の精進湖に到着した時点では83%まで減少していました。出発直前に100%近くまで充電しておけばよかったかもしれません……。
ちなみに、“Hybrid+手動制御”ではE-MODEや単なるHybridモードよりもエンジンの稼働率が高まるため、燃費は悪くなります。今回は東京〜箱根〜富士五湖〜東京を走り、平均燃費は19.3km/Lでした。それでも、Passat eTSIのカタログ燃費が17.4km/Lですから、十分に優秀といえます。
それはさておき、箱根や富士五湖といっても、いまや夏はエアコンなしで過ごすのは難しく、目的地に到着してすぐに「E-MODE」に切り替え、快適な室内環境を維持します。気温により変わりますが、約27℃の状態で、消費電力は1〜2kW程度。実際に4時間、この状態を続けたところ、バッテリーの残量は62%まで減少。1時間ごとに5%減る計算です。これならエアコンが効いた車内で一泊できそうです。
万が一、バッテリー残量が0になっても、ガソリンが入っていればクルマが走るのがプラグインハイブリッドのいいところ。BEVではそうはいきませんからね。

しかもうれしいことに、窓を閉めたPassat eHybridの室内は静粛性が高く、まわりの音があまり気になりません。サンシェードを閉めればさらに日差しがカットできますし、周囲の視線も気にせずにすみます。
この日は原稿執筆が捗るようにと、折り畳み式のテーブルを持ち込みました。短時間ならノートPCを膝の上において作業してもいいのですが、長時間となるとテーブルがあったほうが楽なので。



これだけ良い条件が整ったわけですから、そのぶん仕事も捗るはずでしたが、実際はあまりに車内が快適すぎて、気がつけば寝落ちしていました。快適すぎるのも考えものですね(笑)
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)