フルモデルチェンジにより9代目に生まれ変わった新型「Passat」が日本に上陸。さっそく1.5Lエンジン搭載の「Passat eTSI R-Line」を試した。

画像1: 【ミニ試乗記】Passat eTSI R-Line

新型Passatは、フルモデルチェンジを機にステーションワゴンボディのみとなり、これまで「Passat Variant」と呼ばれてきたワゴンは、単にPassatと名乗ることになった。

その特徴として、「MQB evo」と呼ばれる最新のプラットフォームを採用することで中身が大きく進化。たとえば、アダプティブシャシーコントロール”DCC”が、2バルブ独立制御式の”DCC Pro”へ。ダンパーの伸び側と縮み側とで独立したオイル回路とし、ダイナミックな走行と快適な乗り心地をこれまで以上に高いレベルで実現したという。さらに、大型のタッチディスプレイや新デザインのシフトレバーの採用、パワートレインの電動化など、見どころは盛りだくさんだ。

デザインの進化も新型の魅力のひとつ。細いラジエターグリルやシャープなヘッドライト、それらを結ぶLEDライトストリップを採用するフロントマスクは最新のGolfとのつながりを強く示しながら、Golfの上位モデルらしい品の良さを漂わせているし、スリムなLEDテールライトとそれを結ぶLEDストリップも実にスタイリッシュ。それでいて嫌みのない爽やかなデザインがフォルクスワーゲンらしいところだ。

画像2: 【ミニ試乗記】Passat eTSI R-Line

一方、インテリアは、新型「Tiguan」に似た、最新のスタイルを採用している。すなわち、“庇(ひさし)”がないデジタルメーターの「Digital Cookpit Pro」や15インチの「Discover Pro Max」によりデジタル化を進めているのだ。センターコンソールからシフトレバーが消え、かわりにステアリングコラムの右側にステアリングコラムスイッチが設けられたのもTiguanと共通で、前後に回転させるなどして行うシフト操作もすぐに慣れ、使い勝手も良い。

おかげでコックピットまわりはすっきりとしたデザインとなった。それでいて操作性は「Golf8」よりも向上。ほとんどの操作はタッチパネルで行うが、大画面ゆえに画面の上下に必要な項目が常に表示され、アイコンも小さすぎないため、操作性は悪くない。画面下のタッチスイッチにはイルミネーションが設けられ、おかげで夜間でも操作に困ることはなかった。

ソフトパッドが施されたダッシュボードには高級感があるが、グロスブラックのパネルに描かれたドットが光る演出のデコラティブパネルは好みが分かれそう。個人的にはシンプルにまとめたほうが良かったと思うのだが……。

広い室内が自慢のPassat Variantは、Passatと名乗るようになってもその良さを受け継いでいる。ホイールベースが50mm延びて2,840mmになり、後席に座ると前席に足が届かないほど広々としているし、ラゲッジルームも、後席を倒さなくても奥行きが110cm強と広く、後席を倒せば奥行き約180cmのほぼフラットなフロアが現れる。広すぎる(!?)ラゲッジルームをアレンジするアイテムも付属しているのもうれしい。

日本では、1.5L直列4気筒ガソリンターボと48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたPassat eTSI、2L直列4気筒ディーゼルターボを搭載するPassat TDI 4MOTION、そして、1.5L直列4気筒ガソリンターボと電気モーター、駆動用バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド車のPassat eHybridを設定。今回はPassat eTSIのなかからスポーティなデザインが特徴のR-Lineを試乗することができた。

さっそく走り出すと、マイルドハイブリッドシステム搭載の1.5Lガソリンエンジンは期待どおりのパフォーマンスを示す。動き出しは軽く、低回転から十分なトルクを発揮するうえに、マイルドハイブリッドシステムのモーターが加速時にエンジンをアシストすることで、アクセルペダルを踏む右足の動きに素早くかつ力強く反応するのが、運転のしやすさにつながっている。一方、アクセルペダルを深く踏み込めば、3000rpmあたりから5000rpmを超えるくらいまで勢いよくスピードを上げるので、高速道路への流入や追い越しといった場面で頼りになる。

マイルドハイブリッドシステムを搭載することで、アイドリングストップの状態からエンジンがスムーズに再始動するのもうれしいところ。走行中にアクセルペダルをオフにすると、条件が整えばエンジンを完全に停止して、無駄なガソリンの消費を防いでくれるのもその特徴のひとつだ。今回は試乗会という状況だったので燃費チェックはできなかったので、今後あらためて試乗車を借り、燃費を確認したいと思う。

画像9: 【ミニ試乗記】Passat eTSI R-Line

オプションのDCC Proパッケージが装着されたこのクルマ、その動きは走り出しから落ち着いており、街中から高速道路までフラットな挙動を示すのはさすがとしかいいようがない。

一方、スポーティなR-Lineにはスポーツサスペンションと235/40R19インチのスポーツタイヤが装着されるためか、タイヤと路面とのコンタクトが硬めで、目地段差を超えたときのショックもやや気になった。プログレッシブステアリングが装着されることもあって、ハンドリングには軽快さがあり、スポーティな乗り味を好む人には向いている一方、個人的にはもう少し穏やかな乗り心地が、このクルマの性格にはあっているように思う。

そのあたり、「Passat eTSI Elegance」とどんな違いがあるのか、機会をみてチェックするつもりだが、全体としては先代以上に魅力的なクルマに仕上がっているPassat。ワゴン好きにオススメしたい一台である。

(Text & Photos by Satoshi Ubukata)

This article is a sponsored article by
''.