WRCのグループAカテゴリーに参戦するために5000台が生産されたのが「Rallye Golf」だ。そのなかにはよりパワフルなエンジンを搭載するスペシャルモデルが存在する。それが「Rallye Golf G60 16V」である。
角目のヘッドライトが装着されるフロントマスクだけ見ると「Jetta」と間違いそうだが、2ボックスのスタイルは紛れもなくGolf2である。そんな、デザインからしてとびきり個性的なこのクルマこそ、1989年に登場したRallye Golfである。
Rallye Golfはその名前が示すとおり、フォルクスワーゲンがWRC(世界ラリー選手権)のグループAカテゴリーに参戦するために5000台が生産されたホモロゲーションモデル。搭載されるエンジンは“Gラーダ”と呼ばれるスーパーチャージャー付きの1.8L 直列4気筒SOHCで、もともとは「Corrado G60」に搭載されたもの。最高出力は160PSを誇る。
駆動方式はFWDから、ビスカスカップリングを用いるSyncro(シンクロ)と呼ばれる4WDに変更されている。。
ここまではよく知られている話だが、1990年に登場した写真のRallye Golf G60 16Vは、生産台数が12台という希少なモデル。エンジンが2バルブのSOHCから4バルブのDOHCに変更され、最高出力は160PSから210PSに高められているのだ。これにより最高速度は227km/hに達する。
その後、Volkswagen Motorsportは、同じパワートレインを搭載する「Golf G60 Limited」を71台限定で生産。Rallye Golfとは対照的に控えめなデザインとしているだけに、Rallye Golf G60 16Vの存在感が際だっている。
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Volkswagen Classic)