Volkswagen Passat(B9):Passatは第9世代でエステートのみとなった。さらに大きくなってプレミアムクラスに挑戦する!
◎我々のお気に入り
・エレガントだが実用的
・十分なスペース
◎残念な点
・もはやサルーンはない
・全輪駆動は「エレガンス」以上のみ
※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。
新型Passatはステーションワゴンだけ
持つことは、必要とすることに勝る。開発者がシャープペンシルで9代目「Passat」の仕様を書き上げたときのモットーは、おそらくそれだったのだろう。しかし、新型「Passat」の内面的な価値や搭載技術に触れる前に、もう少し根本的なところから、まず家系図を見てみよう。
新型「Passat」は、おなじみの「MQB」プラットフォームをベースにしている。もちろん、そのままではなく、さらに改良されている。生産はスロバキアのブラチスラヴァの工場で行われる。
価格:39,995ユーロ(約645万円)から
新型「Passat」の価格は、150psのガソリンエンジン搭載で39,995ユーロ(約645万円)から。基本仕様にはすでに、オートエアコン、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、フロント&リアパーキングアシスト、リバースカメラ、レーンチェンジアシスト、ジャンクションアシスト、交通標識認識機能が標準装備されている。エントリーレベルのディーゼル(122ps)の場合、コンフィギュレーターでの価格は41,475ユーロ(約665万円)からとなる。全輪駆動を望むなら、最低でも57,335ユーロ(約920万円)が必要だ。プラグインハイブリッド車なら50,320ユーロ(約810万円)から。
Passatだと一目でわかる
ボディパーツは均整の取れたオーバーハング、大きなラジエーターグリル、従来のドアハンドルをかすめるウィンドウライン下の顕著な折り目など、すっきりとデザインされたボディである。ホイールのサイズは19インチ。これは「Passat」に期待されるものだ。風格があり、エレガントでありながら、地に足がついている。
メルセデス・ベンツEクラスより大きい
「Passat Variant」のリアハッチの傾斜は以前ほど急ではなくなったが、ボディが長くなった分、トランクルームは広くなって容量は690リットル。以前より40リットル大きくなっている。リアシートのベンチを倒せば、1,920リットルまで収納できる。新型「メルセデス・ベンツ Eクラス エステート」は最大1,830リットルだ。
新型PassatのCd値も注目に値する。多くの微調整、フロントエプロンのエアカーテン、新型エクステリアミラー、ルーフエッジスポイラー、リアの流線型形状などにより、0.25(先代:0.3)となっている。
◎サイズ一覧:
・全長:4917mm
・全幅:1849mm
・全高:1521mm
・ホイールベース:283mm
・ラゲッジコンパートメント:最大690~1920リットル
2つの新型プラグインハイブリッドと新型ディーゼル
フォルクスワーゲンは「Passat」のエンジンレンジを徐々に拡大している。今回発表されたプラグインハイブリッドと2種類の新型ディーゼルが選択可能となった。
まずはセミエレクトリックドライブから:システム出力204psと272psの2つの新しいプラグインハイブリッドが、この大型エステートをEカーの代替車とする。どちらのバージョンも、おなじみの1.5 TSIエンジンを搭載し、それぞれ150psと177psを発揮する。標準DC充電オプション(50kW)または三相AC充電(11kW)付きの19.7kWhバッテリーも搭載されている。これにより、Passatは約120kmの純粋な電動走行が可能になる。
ディーゼルエンジンの選択肢も増えた。エントリーモデルは122psのディーゼルとなった。新しいトップディーゼルは193psを発揮し、常に全輪駆動となる。これと最大牽引能力2.2トンにより、牽引車としても興味深い。以前から選択可能なのは、現在唯一のプラグなしガソリンエンジン150psと同出力のディーゼルである。すべてのエンジンはデュアルクラッチ式である。
最新世代のインフォテインメント
「Passat」のステアリングホイールは、ボタン付きのマルチファンクションステアリングホイール。これこそフォルクスワーゲンのあるべき姿だ。また、デジタルメーター(10.25インチ)と12.9インチのセンターディスプレイを備えたモダンなコックピットも標準装備されている。写真の車両には、追加料金で大型のものが装着された。これは15インチで、いずれにせよ中央のディスプレイには「MQB」用の最新インフォテインメントユニットである「MIB 4」の内容が表示される。
App-Connectがアップルやアンドロイド端末との接続を確立し、画面上部にはダイレクト選択ボタンを備えた設定可能なバー、下部にはクライメートコントロールバーが常に表示される。その間には、新しい音声アシスタント IDA”を含むカスタマイズ可能なホームスクリーンのためのスペースがまだ十分にある。おなじみの温度とボリュームのタッチスライダー(照明付き)はスクリーンの下部にある。
センターコンソールは整然としている。ここにあるのは、スタートボタン、パーキングブレーキ、収納スペースなど、必要なものだけだ。ギアセレクターレバーはステアリングコラムに移動し、IDモデルと同じようにD、N、Rに傾けられる。フロントガラスワイパーのコントロールはウインカーレバーの中にある。
人間工学的にも、新型Passatには弱点がない。ここで特筆すべきはシートで、ベーシックシートを除いてマッサージ機能が装備されている。ベーシックバージョンには3気室、エルゴアクティブプラスシートにはオプションで10気室のツボ押しマッサージが用意されている。Passatはオートマチックシートクライメートコントロールも注文できる。
何も追加しなくても、室内はフロントとリアに十分なスペースが確保されており、背の高い2人でも後ろにゆったりと座ることができる。ホイールベースが5cm延長されたことで、膝とフロントシートの背もたれとの間に手のひらほどのスペースができたことがよくわかる。リヤドアパネルはソフトな素材で張り上げられ、より居心地のよい雰囲気になっている。Passatの後部座席に座るのをこれほど楽しんだことはない。
新型Passat エステートのファーストドライブ
150psの1.5 eTSIと、250Nmの最大トルクを歪みなく前輪に配分する7速DSGは、「Passat」の世界におけるエントリーモデルである。Passatの車重は1.5トンに過ぎないため、9.2秒で0から100km/hまで加速する。Passatは路面への乗り心地が非常によく、適切なドライビングモードでスポーティに運転することもできる。
事実、フォルクスワーゲンは9代目「Passat」でプレミアムを重視している。定評のある競合に遅れを取らないよう、仕上がりには多大な努力が払われ、インテリアの素材は細心の注意を払って選択されている。どこを見ても、新型「Passat」のすべてが非常に上質な印象を与える。
結論
「Passat」は、BMWやメルセデスと競争するための新たなチャンスを与えられた。より広いスペース、新しいテクノロジー、より充実した装備と快適性。しかも、そのすべてが比較的手頃なエントリー価格だ。この「Passat」はSUVの代替車だ!
(Text by Peter R. Fischer and Andreas May / Photos by Volkswagen AG)