フォルクスワーゲンは、3月15日、2万5,000ユーロ以下のEV「ID. 2all」コンセプトを世界初公開した。

画像: フォルクスワーゲン、2万5,000ユーロ以下のEV「ID. 2all」コンセプトを世界初公開

「ID. 2all」の基本スペックは、前輪駆動、最大450kmの航続距離、Travel Assist、IQ.LIGHT、電気自動車用ルートプランナーをはじめとする革新的なテクノロジーと機能、そしてフォルクスワーゲンの新しいデザイン言語の採用とされる。MEB Entryプラットフォームをベースした量産モデルは、フォルクスワーゲンが2026年までに発売を予定している10車種の新しい電気自動車のうちの1台であるという。

フォルクスワーゲン乗用車部門最高経営責任者(CEO)のトーマス シェーファー氏は「私たちは、フォルクスワーゲンを真の“Love Brand”(愛されるブランド)にするという明確な目標を持って、会社を迅速かつ根本的に変革しています。ID. 2allは、私たちのブランドが目指すべき姿を示しています。つまり、私たちはお客様に近い存在となり、最高のテクノロジーと素晴らしいデザインを備えたブランドになります。私たちは、eモビリティを民主化するために、変革を迅速に実行しています」と述べている。

まず、2025年にヨーロッパ市場向けの「ID. 2all」の量産モデルを発表する予定。その目標は、2万5,000ユーロ以下のベース価格を実現することにあるという。

フォルクスワーゲン ブランド セールス、マーケティング、アフターセルス担当取締役のイメルダ ラベー氏は「私たちは、フォルクスワーゲンの典型的な長所を新しいモビリティの世界に移植しています。それらは、最高の品質とクラフトマンシップ、真の付加価値を備えた優れたソフトウェアとデジタルサービスです。その焦点は、常にお客様のニーズと要件に当てられています」と述べている。

フォルクスワーゲン ブランド技術開発担当取締役のカイ グリューニッツ氏は「ID. 2allは、前輪駆動を採用する最初のMEB車になります。私たちは、モジュラー エレクトリック ドライブ(MEB)プラットフォームが提供する優れた柔軟性を活用しており、MEB Entryプラットフォームをベースにすることにより、テクノロジーと日常的な使いやすさの面で、新たな基準を設定します」と述べている。

強化されたMEB Entryプラットフォームにより、「ID. 2all」には非常に効率的な駆動システム、バッテリー、充電テクノロジーが採用されている。このモデルは、166kW/226PSを発生するパワフルな電気モーターを搭載し、WLTPモードにおける航続距離は最大450kmに達するとされる。

フォルクスワーゲン乗用車部門デザイン責任者のアンドレアス ミント氏は「ID. 2allでは、フォルクスワーゲンの新しいデザイン言語を垣間見ることができます。このデザインは、Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)の3つの要素を柱としています」と述べている。

「ID. 2all」のデザイン

「ID. 2all」コンセプトカーは、2023年2月1日にフォルクスワーゲン デザインの新しい責任者に就任したアンドレアス ミント氏によってデザインされた。

画像: フォルクスワーゲンのデザイン部門の責任であるアンドレアス ミント氏

フォルクスワーゲンのデザイン部門の責任であるアンドレアス ミント氏

アンドレアス ミント氏は、生粋のフォルクスワーゲン・ガイであり、氏の父親も以前にウォルフスブルグでデザイナーとして働いていたという。同氏は、デザインを学んだ後、1996年にフォルクスワーゲンに入社。その後、初代「Tiguan」や7代目「Golf」などのベストセラーモデルを生み出した。2014年には、インゴルシュタットを本拠地とするアウディにエクステリアデザインの責任者として移籍後、2021年にはベントレーのデザイン ディレクターに就任した。

Beetleのオーナーであり続けているというアンドレアス ミント同氏は、フォルクスワーゲンのデザイン責任者として手掛けた最初のプロジェクトについて「私たちは、アイコンモデルのDNAを未来へと移植しています。従って、ID. 2allはビートル、ゴルフ、ポロへのオマージュでもあります」と述べている。

画像1: 「ID. 2all」のデザイン

エクステリアデザイン:親しみやすいフロントフェイス、ダイナミックなCピラー

新しいデザイン言語の1つに初代ゴルフでお馴染みのCピラーデザインが挙げられる。「ID. 2all」は、この象徴的なデザインを新たに解釈した最初のフォルクスワーゲンとなるだろう。

画像2: 「ID. 2all」のデザイン

インテリアデザイン:広々として高品質な外観、直感的な操作系

すっきりとしたインテリアデザインを採用し、ユーザーが慣れ親しんでいる外観や従来型のボリュームスイッチを備え、直感的に操作できるインフォテインメントシステム、独立した空調コントロール操作パネルが特徴となる。その積載容量は490~1,330Lの予定だ。

フォルクスワーゲン デザインのDNA

アンドレアス ミント氏は、フォルクスワーゲンの新しいデザイン戦略を策定した。「私は、Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)の3つの主要な要素に焦点を当てています」と語る。

「ID. 2all」のエクステリア デザイン

Stability(安定感):コンパクトなフォルクスワーゲン モデルの特徴として、この要素を新たに解釈したデザインを採用。Cピラーはサイドシルエットの輪郭に溶け込み、7代目「Golf」などで示されたように、新しく、かつ典型的なフォルクスワーゲン デザインを形成している。2番目の安定化要素は、AピラーとCピラー間を完全な直線で結ぶサイドラインが挙げられる。この直線的なウィンド―ラインは、何十年にもわたってフォルクスワーゲン モデルの特徴的なスタイル要素となっている。3つ目の要素は、視覚的な安定感だ。「ID. 2all」の場合、安定感は、サイドに流れ込むCピラー、サイドシルエットの緊張感、自信に満ちたスタンスの相互作用によって生み出されているという。

Likeability(好感度):好感度は黄金比(5分の3と5分の2の比率)でつくられる。人は、自然が作り出したこの黄金比による分割を、心地よく好感が持てると感じるからだ。ウィンドー ショルダーの下を走るフィーチャーラインは、ID. 2allの黄金比の線上に正確に位置しており、BeetleもGolfも、常に黄金比の原則に従っているという。

Excitement(感動):「ID. 2all」は、よりスポーティなバリエーションも容易に導入できるようにデザインされているという。「ID. 2all」は、ボンネットと、このコンセプトカーの全長をより長く見せる直線的で自信に溢れたシルエットの相互作用によって、エレガンスを表現しているとされている。

画像: フォルクスワーゲン デザインのDNA

「ID. 2all」の技術コンセプト

「ID. 2all」は、進化したモジュラー エレクトリック ドライブ(MEB)プラットフォームをベースにして設計されているという。また「ID. 2all」の量産モデルに、より上位の「ID.」モデルに搭載されている数多くの最先端テクノロジーを組み込むことを計画している。これには、部分的な自動運転を可能にするトラベルアシストの最新モデルも含まれる。

「ID. 2all」に導入されるその他の機能には、LEDマトリクス ヘッドライト”IQ.LIGHT”、水平なLEDストリップでつながれた左右の3D LEDテールライトクラスター、メモリー機能付きPark Assist Plus、ID.Light(ドライバー向けの直感的なライトシグナル)、マッサージ機能付き電動シートなどが挙げられる。また、大型のパノラミック サンルーフも含まれている。

画像: 「ID. 2all」の技術コンセプト

「ID. 2all」の直感的な操作系

「ID. 2all」コンセプトカーは、クリアなインテリアデザインと、直感的な操作系を特徴としている。ドライバーは、デジタルコックピット(27.7cm / 10.9インチ)とヘッドアップ ディスプレイによって、すべての重要な情報を同一視線上で確認することができるという。スマートフォンには、車内のさまざまな場所に設置されたUSB-Cポート(45ワット)と、フロントシートのバックレストに設置され、ワイヤレス充電機能を備えたマグネット ホルダーを使用して充電することが可能だ。また、車内で使用することが考えられるすべての大型デバイス用に、230V電源ソケットも用意されているという。

画像1: 「ID. 2all」の直感的な操作系

また、インテリアは、最大限のスペース効率を追求しており、たとえば、折り畳み式の助手席シートバックにより、40:60の比率で折り畳むことができるリアシートバックレストと組み合わせて、長さ2.2メートルの長尺物を積載することが可能となっている。さらにラゲッジコンパートメントは、440Lの大容量を誇るという。リヤシートの下には50Lの収納スペースも設置されているという。リヤシートを倒すと、ラゲッジコンパートメントの容量は1,330Lに拡大する。

画像2: 「ID. 2all」の直感的な操作系

「ID. 2all」のバッテリーは20分以内に80%まで充電が可能

「ID. 2all」は、フロント アクスルには、166kW/226PSを発生するパワフルな電気モーターが搭載され、0~100km/hを7秒未満で加速することが可能だ。WLTPモードによる航続距離は、最大450kmとされる。

DC(直流)急速充電ステーションでは、20分でバッテリー容量の10~80%を充電することが可能だs。このバッテリーは、自宅のウォールボックスまたは公共AC(交流)充電ステーションを使用した場合、最大11kWで充電することができるという。

画像: 「ID. 2all」のバッテリーは20分以内に80%まで充電が可能

(Text Toru Matsumura)

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