皆さま、こんにちは。8speed.net「中の人」のマツムラです。
早くも東京ではソメイヨシノが開花したようです。が!多くの地域で花粉症に悩まされていらっしゃることと推察いたします。かくゆう筆者も、過去に記憶がないくらい目のかゆみに悩まされています。まるで6Lエンジンを走らせるべく大量にガソリンを消費するかのごとく、みるみるうちにアイボンが減っていきます。
さて、前々回の記事の結びで「実はその昔、まだ高校生だった頃の私はGolfというクルマが大嫌いだったのです」と、カミングアウト(?)してしまいました。
まさに覆水盆に返らず。
8speed.netの記事をご覧になっている方はもちろんのこと、運営会社でもあるキザスの皆さんや生方編集長からフルボッコにされるのでは……と、内心、気が気ではなかったのですが、どうやら大丈夫そうです(だと信じたいです)。
そもそも、なぜ、Golfが大嫌いだったのか?
筆者が本格的にクルマに興味をもちはじめた中学生〜高校生の頃、世はバブル経済の絶頂期でした。「シーマ現象」が流行語になるほど高級車が飛ぶように売れ、フェラーリをはじめとする特別なクルマは本来の価格の数倍になる時代だったのです。この時代のモデルが、いま、とんでもないことになっていますが、今回、その話題は割愛いたします。
エンジンの排気量は、2リッターよりも3リッター、5ナンバーよりも3ナンバー、SEよりもSEL(笑)。大きくて、速くて、カッコよくて……。そんなクルマがもてはやされたことを、アラフィフ世代以上であれば覚えている方も多いはず。
そんな「大きいことは良いことだ」な価値観に、当時中学生だったロスジェネ世代の筆者は見事なまでに洗脳されてしまったのです。
その時代といえば、GolfがIIからIIIへとフルモデルチェンジした頃でもありました。何かのテレビ番組で、Golf IIIに乗って渋谷の街に繰り出してみて周囲の反応を試してみるというコーナーがあったのです。「あのGolfが新型になる」ということで、その結果、今では考えられないほど注目されたことを覚えています。ちょっといまでは考えられないですよね。
それからしばらく経ったのち、筆者自身もNew Beetleが発売された直後に都内を運転する機会があり、確かにそのときの注目度はすさまじいものがありました(そういえば、New Beetleもすっかり見掛けなくなりました)。
それはさておき、初代シーマやセルシオ、NSXなど、当時人気絶頂だったクルマから比較すると、Golfは小型車に映ってしまったのです。正直いってカッコ悪いし、好きになれない。なんでクルマ雑誌はこんなにもGolfをもてはやすのか理解不能。一生、Golfなんて買うことないだろうな、と、高校生くらいまでは本気で考えていました。※Golfオーナーの皆さま、どうか許してください。まだ運転免許を取得する前の高校生の戯言ですから。
転機となったGolf 4 GTI体験
時は流れ、就職した会社でこれまでの思い込みをひっくり返されるできごとがあったのです。
勤め先の社長がクルマ好きで、それまで所有していたメルセデス・ベンツ190E 2.5ディーゼルターボに加え、発売されたばかりのGolf 4 GTI(MT)を購入したのです。
出勤時に190よりもGolf 4 GTIに乗ってくる機会が多くなり、一緒に打ち合わせに行くときのドライバーは必然的に筆者の役回りとなりました。社長は移動中に居眠りができるし、こちらは最新モデル(しかもGTIのMT!)を運転できるのですから、双方の利害が一致していたわけです。
当時は筆者もまだ20代、理屈抜きに運転が楽しい時期でもありました。電車がなくなり、深夜帰宅の際にGolf 4 GTIを貸してもらったこともありましたが、眠気も疲れも吹き飛ぶくらいテンション爆あがり!深夜の首都高を何周もしてから帰宅したのはナイショです。この時期に、この経験がなければGolfには乗っていなかったかもしれません。
その後、まさか6台のGolfを乗り継ぐことになろうとは
この頃のGolf 4 GTI体験がきっかけとなり、気づけば「Golfっていいじゃん!」と思うようになっていました。そのうちいてもたってもいられなくなり、Golf 4 Wagonの中古車を購入。その後「清水ダイブ」して、鬼ローンで新車のGolf 5 GTIを購入してしまいました。
当時から各自動車メディアでべた褒めされていたGolf 5 GTI。一説によると、一時期はGolf 5の販売台数の3割がGTIだったとか。そういえば、ディーラーに入庫したらGTIだらけなんてこともありましたし。現在の備忘録号(と命名。実際はGolf Touran Highline/認定中古車です)まで、あれだけキライだったはずなのに、まさか6台のGolfを乗り継ぐことになろうとは。自分自身でも驚いています。
"ちょうどイイ湯加減" それこそがGolfの魅力?
仕事柄、Golfの新車価格の数倍もの高級車やハイスペックモデルに乗る機会もありますが、不思議とあまり落差を感じることがないんですね。むしろホッとします。
過敏でもないし、ダルすぎない。上を見たらそれこそキリがないけれど、妥協というわけでもない。
"ちょうどイイ湯加減"がなんとも心地良かったりします。近年、車両本体価格の上昇が顕著なのが気掛かりではありますが……。
今後、ID.シリーズに置き換わるとか、やっぱりGolfは存続するとか、さまざまな情報が飛び交っていますが、適度な湯加減は何とか保ってもらいたいところです。Golf版追い炊きモード(Golf GTIやR)もぜひそのまま継続で。
友人・知人から「そろそろGolf 8買わないの?」と聞かれることもありますが、備忘録号……もとい愛しのGolf Touranに関しては、妻から「壊れるまで乗りつづけなさい」との厳命がくだっております。個人的にも気に入っていますし、きちんとメンテナンスして大切に乗りつづけたいと思っています。
(report & photo Toru Matsumura)