ドイツ「Auto Bild」が“おひとりさま”用(ふたりでもOK!)のキャンピングカー「フォルクスワーゲン キャディ カリフォルニア」でお出かけし、その使い勝手を確かめた。
※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。
「キャディ カリフォルニア」は、小さなキャンピングカーに大きな自由を与えてくれる。小さくて、コンパクトで、かつてないほど人気のあるモデルのキャンピングカー。今回、フォルクスワーゲンコマーシャルビークル(商用車)が世に送り出したのが、新型「キャディ」をベースにキャンプ用品を装備したキャディ カリフォルニアである。
ハイルーフのステーションワゴンは、普通車とバンの中間のような存在だ。そして、フォルクスワーゲン キャディは、このクラスで最も古いモデルだ。すでに5代目となるこの小型バンは、MQBにより、商用車だけでなく乗用車として容易に展開可能で、「ゴルフ8」などと共有部分が多いこともあり、品質、走りの良さは定評がある。
給水設備はないが、オプションでキッチンモジュールが用意される
それは、多機能で、日常的な使用に十分に適しているということだ。
このキャディをベースにした小型キャンピングカーは、「ブリー」や「クラフター」をベースにした兄貴分と同様、「カリフォルニア」と呼ばれている。
兄貴分の「カリフォルニア」は、単なる機材の名前ではなく、放浪の旅の縮図のようなものだ。そして、ほとんどのユーザーにとっては、その合間の、小さなバカンスの忠実なパートナーになるのではないだろうか。
というのも、キャディ カルフォルニアのキャンプ用品には、水道や衛生設備が付いていないからである。調理のためには、ガスコンロと引き出しを備えたキッチンモジュールがリヤにオプションで用意されている。
ホイールベースは、ショートとロングがあり、キッチンブロックの有無も選択できる。また、最近では、4WDの「4MOTION」モデルも選択できるようになっている。
キャディ カルフォルニアの価格は30,000ユーロ(約395万円)から。ロングホイールベースで、4WDの場合は38,955ユーロ(約510万円)からとなる。
パノラミックルーフからは星空を眺めることができる
今回の試乗車には、フォルクスワーゲン商用車の特別装備リストに記載されているものがほぼすべて搭載されていた。そのため、試乗車の価格は、最終的に54,870ユーロ(約718万円)という高額なものとなった。
コロンボ ブラック グロスターングレージュペイントゴールデンベージュ(1,363ユーロ=約18万円)と呼ばれる、17インチのアルミホイールなどの追加装備は、写真ではシックに見えるが、それほど重要ではないだろう。
一方で、50ユーロ(約6,500円)追加投資するだけで、1口ガスコンロ付きのミニキッチンとキャンピングカー登録が付いてくるのだから、投資効果は高い。
また、固定式のパノラミックルーフからは、夜になると星空が眺められ、キャンプならではの時間を過ごすことができるようになっている。高価なモーターホームでもこのようなものはない。
追加料金976ユーロ(約13万円)で、フォルクスワーゲンでは専用のリヤテントを用意している。
多彩な運転支援システムを搭載
走りは、俊敏でダイナミック、そして快適だ。その鍵となるのが、新開発のリヤサスペンションだ。パナールロッドとコイルスプリングを採用したトーションビームリヤサスペンションは、乗り心地の面でも十分快適なサービスを提供する。試乗中に急激な方向転換をしても、キャディは落ち着いて自信を持って走行することができた。
ヘッドルームが広いので、背の高い人には特に喜ばれるだろう。長時間の移動でも、シート自体が横方向にしっかりとサポートしてくれる。
また、正確でスムーズなステアリングも評価できる。「キャディ」と「ゴルフ」は、MQBのプラットフォームだけでなく、あらゆる技術を共有している。
乗用車の分野ではおなじみの、さまざまな運転支援機能が搭載されているのだ。歩行者・サイクリスト検知機能付き緊急ブレーキアシストや、車線逸脱警報システムなどを標準装備。オプションでは、レーンチェンジアシスト、交通標識認識、環境モニタリングシステム、エマージェンシーアシスト、パークアシスト、トレーラー操舵アシスト、ディスタンスコントロールなどが用意されている。
夜間の視認性の良さは、過小評価されがちな安全装備だ。悪天候時やコーナリングライトを含むLEDヘッドライトと、ダイナミックヘッドライトレンジコントロールにより、暗闇でも最高の視界を確保する。
直感的な操作と優れた目的地案内機能を備えた、2,422ユーロ(約32万円)の「Discover Pro」ナビゲーションシステム(10インチタッチカラーディスプレイ付)は、追加装備の中でも間違いなく良い選択といえるだろう。
結論
ベースモデルは、安全性、実用性、運転の楽しさで高い評価を得ている。キャディ カリフォルニアのキャンプ装備品は、操作が簡単でわかりやすく、短い旅行には絶対に必要なものだ。また、パノラミックルーフにも追加点が与えられる。
Auto Bild名物の、飾り気のない、(おそらく)ジャガイモとソーセージとビールが大好きそうなお姉さんによるキャンパーテスト、今回はフォルクスワーゲンのキャディ カリフォルニアの登場である。大柄なこのお姉さんには若干狭いかもしれないが、標準的な日本人の体形であれば、おそらくまったく困ることのない空間を持つであろう、この一台、大流行中のソロキャンプなどには、実にマッチしているのではないだろうか。
というのも、これぐらいのサイズの自動車であれば、日常には実用車として使いながら、たまに行くキャンプでは、その威力をいかんなく発揮できるからで、そういう意味では一台両得のようなモデルである。
確かに大きなキャンパーは快適だし、リッチな空間を持ってはいるが、あくまでもそれは(たまにしか発揮できない)キャンプ専用のクルマであり、基本的には豊かで余裕のある人向けの、限られた層だけが所有できる自動車なのである。
その点、このキャディ カリフォルニアは適度なサイズと価格で好ましいし、日本でもこんな格好の良い一台、輸入して販売してくれないかな、とつい思ってしまう自動車である。あー、ドイツ人がうらやましい。
(Text by Helene Schmid, Kohei Obayashi / Photos by Helene Schmid[Motorhome])
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