「ポロ TSI R-Line」は、GTIとハイラインのギャップを埋めるポロの新グレードだが、実は注目すべきポイントが多い。そんな興味深い一台を報道試乗会で試した。

画像1: 【試乗記】ポロ TSI R-Line

ポロ TSI R-Lineの見どころのひとつが、日本向けポロとして初めてR-Lineパッケージを採用したこと。試乗会場で初対面したポロ TSI R-Lineは、GTIの赤いラインこそないものの、R-Line用のフロントバンパーや専用の17インチアルミホールなどのおかげで、実に精悍な印象に仕上がっていた。

どちらかという女性的なイメージが強いポロ TSI ハイライン/コンフォートラインよりも、このポロ TSI R-Lineのデザインのほうが個人的には好みである。

画像1: 撮影協力: BIOTOPIA

撮影協力:BIOTOPIA

しかし、一番の注目点は、日本初上陸となる新エンジン「1.5 TSI evo」を搭載したことだろう。ポロ TSI ハイライン/コンフォートライン/トレンドラインが3気筒直噴ターボの1.0 TSIを採用するのに対し、このポロ TSI R-Lineのエンジンルームには新開発の1.5L 直列4気筒直噴ターボが収まっている。

この1.5 TSI evoは、ゴルフなどに搭載される1.4 TSIの進化型で、気筒休止機構のACT(アクティブシリンダーマネージメント)や高圧の直噴システムなどに採用により、最高出力110kW(150ps)/5000〜6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500〜3500rpmを発揮する。

ヨーロッパではすでにゴルフ7.5に採用されているものの、日本ではゴルフ8までお預けになりそうなだけに、そんな新エンジンを搭載するポロが気になるのは当然だろう。

画像2: 【試乗記】ポロ TSI R-Line

室内のデザインや装備は、ほぼポロ TSI ハイラインそのまま。厳密には、パドルシフトが標準装着されることと、ポロ TSI ハイラインにはない「ドライビングプロファイル」のモード切替スイッチが追加されるのが違いといったところだ。

ボディカラーが“ピュアホワイト”の試乗車ではダッシュパッドが“ディープアイアン”だが、有償オプションの“リーフブルーメタリック”または“エネジェテックオレンジ”のボディカラーを選択した場合、ダッシュパッドがボディ同色となるのもポロ TSI ハイラインと同じである。

前置きはこのくらいにして、さっそくポロ TSI R-Lineを走らせると、低回転から余裕あるトルクを発揮する1.5 TSI evoに頬が緩む。最大トルクは1.4 TSI ACTと同じ250Nm/1500〜3500rpmだが、アクセルペダルを軽く踏んだときのトルクの出方やレスポンスは、この1.5 TSI evoのほうが優っている印象だ。

常用する2500rpm以下では、車重1210kgをポロ TSI R-Lineを軽々と加速するほど、余裕たっぷりのトルクを示す。しかも、エンジンが発するノイズや振動は、従来の1.4 TSI ACT(アクティブシリンダーマネージメント搭載の1.4 TSI)よりも一段と抑えられている。直列3気筒ターボの1.0 TSIを積むポロでも十分な動力性能を備えているが、やはり4気筒のスムーズさは捨てがたい。

アクセルペダルを踏み込めば、さらに力強く爽快な加速が6000rpm付近まで続く。一方、アクセルペダルに軽く右足を載せている状態では、2気筒を休止する“2シリンダーモード”を多用し、低燃費に貢献。4気筒と2気筒の切り替えの際にショックやタイムラグが発生することはなく、メーターの“eco”や“2シリンダーモード”の表示がなければ、4気筒か2気筒か言い当てるのは難しいだろう。

それでも1.4 TSI ACTでは、慣れてくるとエンジン音やステアリングホイールに伝わる微かな振動で2シリンダーモードに切り替わったことがわかるのだが、この1.5 TSI evoではその変化がさらに軽微になっていて、さまざまな点で洗練度を上げているのがわかる。

画像7: 【試乗記】ポロ TSI R-Line

一方、ポロ TSI R-Lineの走りは期待以上の仕上がりだった。2段階の減衰力が選べる"Sport Select"シャシー付きスポーツパフォーマンスキットをはじめ、XDSやスポーツサスペンション、215/45R17タイヤ&アルミホイールなど、ポロ GTI同様の装備を手に入れたことで、ポロ GTIと肩を並べる軽快な走りを実現していたのだ。

ポロ TSI ハイラインに対し1インチアップした17インチのタイヤ&ホイールやスポーツサスペンションのおかげで、一般道ではノーマルモードでもやや硬め。路面によってはときおりショックを伝えることもあるが、それでも十分17インチタイヤを履きこなしていて不快さはない。スピードが上がると乗り心地はフラットさを増し、優れた直進安定性とあいまって、高速道路を長距離移動するようなときでも疲労は最小限で済みそうだ。

XDSが搭載されたこともあって、ハンドリングはポロ TSI ハイラインよりもアンダーステアが抑えられ、より軽快な動きを見せた。そのうえ、試乗車に装着されていたのがスポーツタイヤの「ContiSportContact 5」だったこともあり、むしろポロ GTIよりもキビキビと走る、バランスの良い仕上がりだった。

ポロ TSI ハイラインなどがリヤにドラムブレーキを装着するのに対し、このポロ TSI R-Lineはディスクブレーキになったことでブレーキのタッチや制動力が向上したのもうれしいところだ。

画像8: 【試乗記】ポロ TSI R-Line

ということで、短時間の試乗だったが、ポロ TSI R-Lineの魅力、すなわち、パワフルでスムーズなエンジンと、ポロ GTIに匹敵する軽快な走りが確認できた。

ポロで走りを楽しみたいというなら、200ps/320Nmの2.0 TSIと湿式クラッチ式の6速DSGを積むポロ GTIもいいが、このポロ TSI R-Lineもその期待に十分応えてくれるはずだ。個人的にはこのポロ TSI R-Lineが、いまのポロのなかではベストグレードである。

画像2: 撮影協力: BIOTOPIA

撮影協力:BIOTOPIA

それだけに、唯一惜しいのがポロ TSI R-Lineという名前。特別なモデルということを考えると、もっと特別な名前がほしかった。たとえば、先代には、1.4 TSI ACTを積む「ポロ ブルーGT」があった。その特徴を受け継ぐことを考えれば、「ボロ ブルーGT evo」なんて名前だったら良かったのにな……と思う。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Kenji Ichi)

This article is a sponsored article by
''.